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「ようこそ」

3 - 第3話

♥

85

2022年08月30日

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_1話からご覧下さい

紫橙


「ねぇ、今日は行ってからのお楽しみで良い?」

「へ?…あ、い、良いよ」

「…ありがと」


「着いた〜」

「…いやどこここ」

「えぇ〜、見ての通り崖だよ!」

「…なんで!?」

「さーて、ここで質問です」

「え、急…」

「崖、そしてこの立ち位置、何か分かんない?」

「えぇ…あ、刑事ドラマとかでよく見るヤツ」

「そう!せいかーい」


「あれって、飛び降りて欲しくない警察官と、飛ぶ勇気は無いけど「飛ぶぞ」って脅す犯人が基本でしょ?」

「あー、確かに。飛ぶ勇気なんてあるわけ…」

「じゃあさ」

「止めたい人と飛びたい人、だったら?」

「へ?」

「「今から飛ぶ」そう言ったら、君はどうする?」

「えっ…そんなの」

「止める?名前しか知らないような人間のために」

「そ、そんな事…」

「君も巻き込むかもしれないのに」

「……」



「…じゃあ質問を変えよう」

「今君が生きている理由は何」


「理由…?…そんなのなっ」

「ない、はなしだよ」

「…紫くんの手に触れて本当の笑顔をみたいから…」

「…へぇ〜」

「それに…」

「それなら簡単だよ」

「…へ」


そう言って、彼は崖から飛び降りた


気づけば体は動いていた

そう、自分も飛び降りていた


無我夢中で彼の手を掴もうとした



彼が手を差し伸べる


俺は確かに、彼の手を掴んでいた

もう、消えていかない


すると君は笑った


「君は本当に最高だよ、橙くん」


その笑顔は、本当の笑顔だった




_𝑒𝑛𝑑

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