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紫橙
「ねぇ、今日は行ってからのお楽しみで良い?」
「へ?…あ、い、良いよ」
「…ありがと」
「着いた〜」
「…いやどこここ」
「えぇ〜、見ての通り崖だよ!」
「…なんで!?」
「さーて、ここで質問です」
「え、急…」
「崖、そしてこの立ち位置、何か分かんない?」
「えぇ…あ、刑事ドラマとかでよく見るヤツ」
「そう!せいかーい」
「あれって、飛び降りて欲しくない警察官と、飛ぶ勇気は無いけど「飛ぶぞ」って脅す犯人が基本でしょ?」
「あー、確かに。飛ぶ勇気なんてあるわけ…」
「じゃあさ」
「止めたい人と飛びたい人、だったら?」
「へ?」
「「今から飛ぶ」そう言ったら、君はどうする?」
「えっ…そんなの」
「止める?名前しか知らないような人間のために」
「そ、そんな事…」
「君も巻き込むかもしれないのに」
「……」
「…じゃあ質問を変えよう」
「今君が生きている理由は何」
「理由…?…そんなのなっ」
「ない、はなしだよ」
「…紫くんの手に触れて本当の笑顔をみたいから…」
「…へぇ〜」
「それに…」
「それなら簡単だよ」
「…へ」
そう言って、彼は崖から飛び降りた
気づけば体は動いていた
そう、自分も飛び降りていた
無我夢中で彼の手を掴もうとした
彼が手を差し伸べる
俺は確かに、彼の手を掴んでいた
もう、消えていかない
すると君は笑った
「君は本当に最高だよ、橙くん」
その笑顔は、本当の笑顔だった
_𝑒𝑛𝑑
コメント
1件
おもしろかったーーー!✧◝(⁰▿⁰)◜✧