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隣人は言葉を切り、蒼白な顔で二人を見た。その目は、諦めと恐怖に満ちていた。
夢「そんな……じゃあ、私たちはどうすれば……」
隣人「一つだけ方法があります。あれらが最も嫌うもの、それは……**『契約』**です」
雄大「契約?」
隣人「人間同士が交わす、明確な約束。あれらは曖昧な『間』を好みますが、法的にも物理的にも明確に定められた『契約』という境界線は、侵すことができないんです」
夢「契約って、どうやって?」
隣人「私たちはもう、この土地に留まることはできません。あれらは土地に根付いてしまった。逃げるしかない。……そして、逃げた先で、『新たな契約』を結ぶんです」
隣人は、古びた書類の束を二人の前に置いた。
隣人「これは、私が用意していた、遠方の賃貸契約書です。今すぐ、この書類にサインして、新しい『住居の境界線』を確立するんです。早ければ早いほどいい」
雄大「遠方って、どこですか?」
隣人「この街から数百キロ離れた、山間部の過疎地です。電気も水道も通っていませんが、法的な住所としては存在します」
夢「そんなところに、どうやって……」
隣人「行く必要はありません。書類上の『契約』が重要な(じゅうような)んです。それこそが、あれらに対抗するための、絶対的な境界線になります」
隣人は続けた。自分もこの後、別の土地で新たな契約を結び直すつもりだと。
雄大「本当にこれだけで、追ってこないんでしょうか?」
隣人「一時的には追ってきません。契約が有効な間は。ですが、問題は別にあります」
夢「問題って?」
隣人「一度、あれらに狙われた者は、体の中に『間』を持ってしまいます。契約で身を護っても、いつかその『内側の隙間』を狙って、あれらは現れます。時間の問題です」
希望を見出したと思いきや、再び絶望が覆いかぶさる。
夢「じゃあ、結局逃げ切れないってこと……?」
隣人「いえ、内側の『間』を消す方法も、一つだけあります。ですが、それは……」
つづく