テラーノベル
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希望を見出したと思いきや、再び絶望が覆いかぶさる。
夢「じゃあ、結局逃げ切れないってこと……?」
隣人「いえ、内側の『間』を消す方法も、一つだけあります。ですが、それは……**『死』**を意味します」
雄大「死……?」
隣人「あれらに狙われた者は、体の中に『間』、つまり境界線の隙間を持ってしまう。その隙間を塞ぐには、宿主がこの世から消えるしかないんです。肉体的な死を迎えることで、あれらは居場所を失い、消滅します」
静寂が部屋を支配した。夢は雄大を見た。雄大は隣人を見た。隣人は静かに続けた。
隣人「……私の家族は皆、そうしてこの呪縛から逃れました。自らの命を絶つことで」
夢「そんな……」
雄大「そんな方法、俺は認めない! 他に方法はないのか!?」
隣人「私が見てきた限りでは、ありません。あれらは人間の死という明確な境界線を、最も恐れています。ですが、生きている限り、いつか必ず隙を狙って入り込んでくる」
隣人は疲れた様子で、窓の外に視線を向けた。遮光カーテンが閉め切られているため、何も見えないはずだ。
隣人「あなた方が今できることは、新しい契約で一時的に身を護ること、そして残された時間で、この呪いを断ち切る方法を模索することだけです」
夢は雄大の手を強く握りしめた。雄大は夢の手を握り返す。二人の目は決意に満ちていた。
雄大「分かりました。俺たちは逃げません。戦います。契約書にサインします」
二人は隣人から渡された書類にサインをした。日付は今日の深夜日付、明日からの賃貸契約。物理的な住所はないが、法的には有効な契約だ。
隣人「これで一時的に、あれらはあなた方の住所を特定できなくなります。ですが、すぐにまた探しに来るでしょう」
夢「ありがとう、隣人さん。私たち、絶対に負けない」
二人は隣人の部屋を出た。外はもう真っ暗だった。
雄大「夢、俺たち逃げない。絶対に」
夢「うん。死ぬなんて絶対嫌だもん。雄大とずっと一緒にいたい」
その時、二人の背後にある雄大の部屋のドアが、ゆっくりと、音もなく開き始めた。
つづく
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