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「ど、どうしたのかしらオスカー……。あの子があんな風に狼狽えるなんて……」
シャリーは戸惑った様子でしたが、私にはその理由が分かりました。
彼は、私に恋してくれていました。
でも、その恋が決してあってはならないものだという真実を、突きつけられてしまったのです。
彼の最愛の母と、今日この日まで彼の最愛の女だった私に。
気の毒だ。
そんな他人事のような慰めを、彼に言うつもりはありません。
彼からの恋心を感じた時、私も確かに幸せだと思ったのですから。
彼が祖母を、祖母と知らずに愛してしまったことがもし罪に問われるとするならば。
きっと、私もまた……孫を誘惑した女として断罪されるべきなのかもしれない。
そう思ったその時でした。
「お母さん、私……ごふっ……」
シャリーの背後に黒い影が現れました。
何かの刃物がシュッと空気と布、そして肉のようなものを斬った音がし、シャリーの口から鮮血が飛び散りました。
そしてそのままシャリーは、私の体の上に倒れました。
すでに、心臓の鼓動は止まってしまってました。
私は一瞬の出来事に、頭が追いつかず、体が氷漬けになったように固まってしまいました。
「怪しいと思ってつけてみたら、やはりこの女は魔女と繋がっていたか」
見知らぬ男の声がしました。
感情のない、冷たい声だと思いました。
でも……。
「お前が魔女か。王の命令で城まで連れて行く」
倒れたシャリーの後ろにいたのは、この国の騎士。
床にしゃがみ、シャリーを抱えている私を、その冷たい眼差しで見下ろしていました。
声も違いました。
匂いも違いました。
もちろん、顔形も、何もかも違いました。
だけどわかったのです。
どうしてだか。
彼こそが……オリバーの生まれ変わりであると。