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「任せてよ。今、2歳児を担当してるんだけど、もう可愛くて仕方ないんだ。ところで、赤ちゃんの名前とかは決めてるの?」
「まだ……決めてない。名前は大事だから真剣に考えてるけど、なかなか決められないんだ」
龍聖君が言った。
確かに、最近は時間があれば名前辞典を見ている。
「碧は決めたのか?」
「うちもまだだよ。絵麻が決めるって言ってたから任せようと思ってる。俺は、あいつが決めた名前なら何でも賛成だから」
「そうなんだ。絵麻ちゃんならきっと可愛い名前をつけてくれるよね」
「うん、俺もそう思う」
名前……
子どもにとって、一生自分を表すものだから、大切に付けてあげたいと思うのが親心だ。
すぐにまたバスケの話になったタイミングで、私は碧にそっと話かけた。
「ねえ、碧。いつかは絵麻ちゃんと籍を入れて結婚すると思うけど、美容師は……続けるんだよね?」
「うん。美容師は天職だと思ってるから。ずっと……続けたい」
「そっか……ちょっとホッとしたよ。碧は人気があり過ぎて、いつもすごく忙しくしてるから、絵麻ちゃんが寂しがると思って辞めちゃうんじゃないかって。碧の人生だから私がとやかく言うことじゃないけど、でも、碧には美容師を続けてもらいたいって思うから」
「ありがとう、琴音。たぶん、俺は美容師以外の仕事はできないと思う。確かに忙しいけど、美容師もちゃんとやりながら、絵麻1人に子育ての負担をかけないように、できることはなるべく一緒に頑張りたいと思ってるんだ」
「碧は本当に優しいね。そういう姿勢、すごく素敵だよ」
「子育てなんて未知の世界だけど、俺は父親になるんだし、しっかりしないとね。絵麻もママになること、すごく喜んでるしね。あいつ……この前、名前に『龍』か『聖』を付けようかなって言って笑ってたよ」
苦笑いの碧。
でも……すごく幸せそうだ。
ずっと大切に想ってきた絵麻ちゃんとの子どもだから嬉しくてたまらないのだろう。
私も、もちろんそう。
お互い、大切な赤ちゃんがこの世に生まれてくるのを心待ちにしているんだ。