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「っと、まあ、思わしきものは見つかったんだが…。」
俺たちは、昨日春千夜くんと見つけた薬を見て言った。
「これなのか?」
「知らね。とりあえずそれしかなかったんだろ?」
ココくんはため息をつくと、「見つけてどうするんだよ」と言った。
「これで何か防げたらなぁ…。」
俺もそう呟く。
「俺らも使うか?」
「二の舞になるぞ、春千夜。」
「…うす。」
春千夜くんとマイキーはそんな会話をしている。
俺は瓶を揺らしてみた。
中の液体が揺れる。
俺はとあることを思い出して時計を見る。
時刻は11時48分を過ぎようとしていた。
俺はそれを握り締めたまま、玄関口へと向かう。
全員止めたが、俺はそんなのを気にしなかった。
「すぐ戻ってくるから、ね?」
俺はみんなをそう宥めた。
彼に呼ばれているから。
――ごめんね。
玄関と廊下を隔てるドアをくぐる。
「ねえ、何の真似ですか?三ツ谷くん。」
「…バレちまってたか。」
三ツ谷くんはつい最近侵入してきていた時と同じ格好をして現れていた。
「これ、三ツ谷くんが持ってきましたよね?」
俺はそう言って瓶を見せる。
三ツ谷くんはしらけているが、彼以外に可能性のあるものはいない。
それに、マイキーと拾ったメモ以外に、彼はたびたびメモを送ってきている。
「日の変わる宵闇の頃、万能の力を持つ物を持って異界の扉へと向かえ…。三回に分けてこれを送り付けたうえ、解釈が難しいんじゃ俺以外に伝わりっこないよなぁ?」
そう、現に時刻は11時50分。あと10分で日が変わる。
「ま、それが目的だし。」
三ツ谷くんはそう言って俺の手を握る。
そして、俺に語りかけた。
「おやすみ」
それが、俺の聞いた最後の声だった。
:三ツ谷視点(しばらくずっと視点はこの人です、ごめんなさい許してください):
タケミっちは睡眠薬が効いたのか膝から崩れ落ちていった。
「ごめんな、恨んでるんじゃないんだよ。」
俺はタケミっちを抱える。
「タカちゃん、こっち準備できたよ。」
八戒は無線越しにそう言った。
「おー、今向かう。」
俺はタケミっちを抱えて外へと出た。
外は少し蒸し暑い。
俺は八戒にタケミっちを引き渡し、不安そうにしている八戒の頭を撫でた。
そして、俺は黒い車へと向かい、窓越しに言った。
「すまねぇな、巻き込んで。」
車の運転手は窓を開けて俺に言う。
「別に構わねぇよ。じゃ、そっちは任せた。」
「次会うのはいつだっけ?武臣さん。」
「嫌味でもお前からのさん付けは勘弁。多分明後日だろ。」
「そっか。」
俺は物品を回収して車から離れた。
無線から声がする。
「あー、あー、聞こえてるか?ま、いいか。ワカだ。あと数えるほどだけだがくれぐれもばれないようにな。」
俺は無線のマイクをONにして答える。
「了解。じゃ、ここからは作戦通りに頼むよ。あ、作戦伝え忘れんなよ。」
俺はそう言って無線をしまう。
そして、回収した物品を勘で全部つけ、がんばってなりきった。
「いい感じか?」
八戒は全力でうなずいている。
「じゃ、いいか。」
俺は大きく伸びをして、マイキーたちのいるところへ足を踏み入れた。
時刻は、もう日付を超えようとしていた。
マイキー殺害まで あと