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「戻ったよ。」
俺はバレないように声を似せてみんなの前に出る。
しかし、部屋には誰もいなかった。
「おかしいな…さっきまでいたのに…。」
俺はあえてそう呟く。
それで警戒心をあえて無くすのだ。
「へー、分かるんだ、”三ツ谷″。」
「…!?」
マイキーの声が部屋に響く。
あいつは何処にもいないはず。
「視界だけで物事を捉えるのは良くないぜ?」
「春千夜!?」
俺は反応する前に被っていた金髪のかつらを取った。
「やっぱ三ツ谷だ。」
マイキーはつまんなそうな声でそう言った。
「…やっぱって言われてもな…。」
俺は腰に手を当てそう言った。
当人はそんな様子も気にせずにそそくさと去っていこうとしていた。
俺は告げる。
「二日後、あいつらがここに奇襲かけてくるよ。」
全員の動きが止まった。
「それどういうことだよ!?」
春千夜は大声でそう言い、ココが「黙れ。」と一蹴した。
「もしも嘘なら許さないぞ、三ツ谷。」
マイキーは俺を睨みながらそう言う。
「嘘じゃねぇって。盗聴器で本人の声から聴いたからな。」
俺はそれに対し、少しニヤッとして答えた。
「…タケミっちは?」
「今、俺らで預かってる。奇襲案件が終わったら返す。マイキーは死んだっていいんだろうけどタケミっちが死んじまったら死ねる物も死ねねぇからな。」
俺はマイキーの目を見ながらそう言う。
マイキーは「そ。」と言って目を離す。
「あ!あの薬はどうした!?」
ココがそう言って俺につっかかる。
「あれ俺の私物なんだが…。」
盗んできた、というのは置いておいて。
「じゃあ、あのドブはこいつと出会ってた上であんな行動してたのか!?」
「春千夜。」
「…うす。」
マイキーは春千夜のタケミっちの呼び方が気に入らなかったのか、そう言ってたしなめた。
「ま、明日、15分くらいなら会話を許すけど。どうする?」
俺はそうマイキーに聞く。
「…わかった。もしもこの条件を破ろうもんなら殺す。」
「わお、物騒。」
俺はそう言って両手を挙げた。
ま、守る気しかないんだけど。
とある人に言っておきたいこともあるし。
「ま、ちょうど今部屋が空きまくってるし、ちょっとなら居候してもいいぞ。」
ココはそう言うと自分の部屋へと行ったのか、姿を消した。
春千夜も舌打ちしながら自分の部屋へと消える。
マイキーはというと、正直どこいったか分からない。
恐らく、知りすぎたのもあるんだろう。
「ま、空きまくってるらしいし、適当にどっか借りますかぁ…。」
正直、あの環境から一気に移って驚いてはいるが、仕方のないことだ。
俺は部屋を探しに階段を登った。
あのスピードで普通「ここ借りろ」って張り紙貼れるか?
「仕事速すぎ…。」
俺はベッドの上で寝がえりを打った。
窓からは無数の星が見えた。
明日、あいつが来ることはほぼ確定している。
その時点でどうできるかって話だ。
「うし!とりま寝よう。」
俺はそう言って目を瞑る。
そこからは、闇が支配する世界。
俺は、そんな闇でさえも美しいと思えるほどに狂っていたのかもしれなかった。
マイキー殺害まで あと