テラーノベル
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大学2年・12月。
軽音部室。
部員 「仁ちゃーーーん!」
「来週路上ライブやるんだけどさ!車運転できる?」
仁義 「うん!任せて!」
「MT持ってるからなんでもできるよ!」
一瞬静まる軽音部。
周囲「……え?」「MT!?」「マジで!?」
仁義 「あと小型船舶。」「2級だけど」
周囲「船は聞いてねぇんだよ!!!」
「東京湾でライブするつもりか!!!」
仁義「え?船便利だよ??」
まりか「なんかトラクターとかも乗れそうだよね。大型特殊だっけ?」
仁義「あ〜ごめん、あとフォークリフトくらいしかないや⋯。」
部員「免許が過積載かよ」「なんでお前そんな社会人みたいな資格ばっか持ってんの??」
仁義「魚運ぶのに使うから取っとけって親が。」
部員「はあ〜…」
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夜。
仁義から直弥にメール。
「引っ越し手伝うね!」
「MT乗れるしフォークリフト使えるから任せて!」
直弥、返信。「……フォークリフト?」
仁義「うん。」
直弥「使う?」
仁義「使わないの?」
直弥「なんで持ってるの?」
仁義「魚。」「あとバイト。」「仕分け。」
以上。
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引っ越し当日。
直弥の荷物。
まさかの宅配便オンリー。
段ボール2箱。うちひとつは布団。
終わり。
仁義「……。」
「フォークリフト要らんかった。」
直弥「うん。」「洗濯機はあす届くけど。」
仁義「ていうか」「ミニマリスト?」
直弥「違うよ。」
「必要なものしか買ってないだけ。」
仁義「いや、それをミニマリストって言うんよ。」
直弥が箱から中身を出す。
一番上に、衣類に包まれたCDプレーヤー。
それと、
ビートルズ『Abbey Road』と、
『Let It Be』の古いCD2枚。
仁義「音楽好きなの?」
直弥は「……好きっていうか。」
少し考えて、
「ずっと聴いてる。」
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仁義「とりあえず。」
「引っ越しうどん食べに行こ。」
直弥「……引っ越しうどん?」
仁義「うん。」
「引っ越したらうどん食べるんだ。」
「西讃ではやるらしいよ。」
直弥「……せいさん?」
仁義「西讃。」
直弥「どこ?」
仁義「え?」一瞬固まる。「……西讃。」
直弥「うん。」「だからどこ?」
仁義「⋯あ。」「香川の西のほう。」
直弥「そうなんだ。」
仁義「風呂で食べるもんなんだけど。」
直弥「……風呂?」
仁義「うん。風呂。」
直弥「…………。」
「今日は普通に食べよう。」
「ユニットバスだし。」
仁義「ベッドとテーブル買いに行こうね。」
「冷蔵庫も。」
直弥「ベッドいる?」
仁義「収納とか便利だよ。」
直弥「そう。」
仁義「夏物の服も今度買いに行こ。」
直弥「うん。」
ASIAN KUNG-FU GENERATION
『君の街まで』。
コメント
1件
いやあ、第20話、めちゃくちゃ良かったです。仁義くんの免許過積載エピソード、笑いました。「魚運ぶのに使うから取っとけって親が」って、なにそのリアルな背景(笑)。フォークリフト持ってるのに引っ越し荷物が段ボール2箱の直弥くんとの対比が絶妙で、でも最後、CDプレーヤーとビートルズの古い2枚が出てきたところでグッときました。音楽に「ずっと聴いてる」って言葉、シンプルだけど重みがある。『君の街まで』ってタイトルも、あの曲知ってるとさらに染みますね。