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個人医通知が出された所は覚えのある場所で868の面々が揃っていた。どうやらチョケて大惨事になったらしい。
「いてて、ぐち逸先生ごめんなさい〜。音鳴先輩のせいですよ!」
「私は構いませんが今日は特に個人医が少ないみたいなので、程々にしてくださいね。」
「ぐち逸さん顔色があまり良くありませんよ?大丈夫ですか?」
「てかぐっさん最近あんま元気無くないか?無理したらアカンで。」
「そうですか?いつもと変わらないつもりですが、ありがとうございます。」
「怪我人いたら地の果てまで追いかけるって感じやもんな、そっちこそ程々にしないとお医者さんが倒れたら大変や。」
「医者の不養生ってやつですね、気を付けます。皆さんこの後の予定は?」
「アーティファクトかオイルリグができそうです。お願いできますか?」
「分かりました、通知が出たら向かいます。」
顔や態度に出ているのはまずい。1人になると誰にも知られてはいけない感情を心の奥底に無理やりしまって、スーパースターを喉に流し込んだ。落ち着こうと荷物の整理をしている最中 通知が鳴り、飛び交う銃弾の合間を縫って現場に突入する。
「誰かいますかー!」
「上です、屋根の上ー!」
「今行きます!」
梯子を登ってトピオを担ぎ、タイミングを見計らって素早く降りる。ここでの救助もすっかり慣れて成功率が上がっていた。
「ありがとうございます。西側から抜けたほうが逃げれるかも。」
「了解です、少し耐えてください。」
よし逃げるぞとバイクに跨って走り出したその時、視界の隅に映ったぺいんを目で追ってしまった。そのままスピードが緩まった所で頭を撃ち抜かれた。
「う゛っ…」
「ぐち逸先生ー!!大丈夫ですか!」
「すいません…」
捕まったのは2人だけだったようで刑務作業をしながら話す。
「すいません、助けられなくて。」
「いやあれはキツかったですよ。めっちゃ囲まれてましたねw」
「いえ今回は完全に私のミスです。少し気が散ってしまって。」
「そんな事無いですよ!警察がこっちに気取られてる間にヘリは逃げられたし!」
励ましの言葉をくれるのはありがたいが仕事に支障をきたしてしまった今回は本当にまずい。迎えのヘリに乗ってそのまま北の家まで送ってもらった。
「ありがとうございました、トピオさんすいませんでした。」
「またお願いしますね!」
「近々クスリを買いたいのでそちらもまたお願いします。お疲れのようなのでゆっくり休んでください、おやすみなさい。」
「次は必ず助けます。」
適当に置かれたソファーに座って考える。どうにか解決しないと、誇りを持って一流と名乗っていたのに自分の「医者」としての存在意義が無くなってしまうと焦る。
「あークソ、伊藤刑事……伊藤ぺいん…」
こんな時でもぺいんの事を思い出すと不覚にもときめいてしまう。自分でもどうしたら良いのか分からない、自分に恋愛感情があった事にさえ戸惑っている。色々考えていると漠然とした不安に襲われ、その日は眠れなかった。
コメント
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続きだぁ!!! 恋に戸惑うぐち逸... どうなるんだろう...