「僕たちは葛葉と叶くんを、僕たちの世界に戻すために来ました。」
剣持の言葉にその場にいた全員が息をのんだ。
最初に反応したのは叶だ。
「でびちゃん達が来た時にそういうことだと思ってたよ。」
叶は話しながら椎名の膝にいるでびでび・でびるの顔を覗く。
「じゃあ呪霊探さなくても、叶さん達は元の世界に帰れるってこと?」
虎杖は剣持に聞く。
虎杖の質問に剣持は頷く。
「葛葉とかなかなをこっちに戻すために、いろいろ頑張ったんやから。ねぇ~。」
椎名はでびでび・でびるの頭を撫でる。
「そうだぞー!ぼくが頑張ったんだからなぁ!」
でびでび・でびるは両手を上げてやいやいと騒いでいる。
そんなでびでび・でびるを葛葉は一発叩く。
「元はといえばお前のせいだろうが!」
葛葉に叩かれたことで涙目になるでびでび・でびる。
「うわ~。暴力反対~。」
椎名がちゃかす。
そのちゃかしに叶も乗る。
叶も葛葉も久しぶりに会った仲間にテンションが上がってしまう。
「なるほど。じゃあ、葛葉くんと叶くんはもう元の世界に帰れるって事かな?」
わちゃわちゃしているにじさんじライバーに五条は質問する。
五条の質問に葛葉と叶も気になって、剣持の顔を見る。
「あー実は、すぐには帰れないんですよ。でびでび・でびるの魔力回復の時間がかかってしまって。」
剣持が答える。
剣持の話を簡単に説明すると。
呪術廻戦の世界に来るまでに、でびでび・でびるとスタッフで何度か実験した。
その結果、呪術廻戦の世界へ行く方法は分かった。
しかし、魔力回復に時間がかかってしまう事が分かった。
だいたい最低でも二日かかるらしい。
「じゃあ、それまでは帰れないのか。」
五条が顎を撫でながら話す。
「はい。なので、それまで寝泊まりする場所提供してくれませんかね?」
剣持は満面の笑みで答えた。
「もちろん、タダで貸してくれなんて言いませんよ。」
剣持は五条と向き合って交渉をしようとした。
五条は見た目の割には大人っぽい剣持に五条は少し驚く。
「なるほどねー。でも、別にいいよ。葛葉くんと叶くん達に十分手伝ってもらったし。」
五条の言葉に剣持は想定外だったのか、一瞬真顔になった。
しかし、すぐに笑顔に戻り感謝を述べた。
それから、でびでび・でびるの魔力が回復し元の世界に戻る日が来た。
「今までお世話になりました。」
叶が呪術高専の人たちにお辞儀をした。
場所は剣持達が出てきたとある路地裏の扉の前。
見送りに呪術高専の一年生の三人が来た。
「またな。あー、また会うことなんてないと思うけど。」
葛葉は笑いながら挨拶をする。
剣持や椎名、でびでび・でびるは元の世界に扉を繋げている。
「じゃーね。葛葉さん、叶さん。」
虎杖はシンプルな挨拶をした。
「お元気で。」
伏黒も典型的な挨拶だ。
「またこっちに来てら遊んでやるわよ。唯華ー!じゃーね!」
釘崎は胸を張って葛葉と叶の背中を叩く。
そして、扉を繋いでいる椎名に向かって叫ぶ。
釘崎の声に気づいた椎名は笑顔で大きく手を振った。
釘崎と椎名は少しの時間で仲良くなったらしい。
「ほら、行きますよー。」
剣持が二人を呼ぶ。
扉の向こう側は暗い世界が広がっている。
扉の中へ椎名とでびでび・でびるが入る。
「たくさん助けてくれてありがとうね。……三人とも強いから心配いらないと思うけど、負けないでね。」
叶が入る直前三人の方を向き話す。
三人が答える間もなく叶は扉の奥へ消えていく。
「じゃーな。」
葛葉も一言だけ言って、扉の中へ入る。
「後輩達がお世話になりました。それじゃ。」
最後に剣持が入り、扉を閉める。
残された三人には少しの沈黙が流れた。
「突然現れて、突然消えてったわね。」
釘崎がしゃべる。
「俺は楽しかったけどなー。葛葉さんと叶さんと遊ぶの。」
虎杖が続けて話す。
「……でびでび・でびるっていう悪魔、呪霊見たいだったな。」
伏黒がボソッとつぶやき、歩き出す。
虎杖と釘崎は「確かに。」と思いながら、伏黒のあとを追う。
「「ただいま~。」」
葛葉と叶はそれぞれの家に帰った。
久しぶりに帰る我が家のベッドの上に寝転ぶ二人。
ふと、スマホで呪術廻戦を調べる。
これから彼らの身にふりかかる出来事を想像して胸が苦しくなる。
しかし、それを自分たちが勝手に変えては行けないことを二人は分かっている。
そして、二人は眠りについた。
コメント
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めっちゃ最高です…! ただ「五条が顎を撫でる」のとこ 若干困惑しましたwwww