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お名前とか、とてもセンスがいいですね!幻さんのお話を読むのが毎日の楽しみになっています。続きを楽しみにしています。 ( *´﹀`* )♡*゜
「シャルの猫耳、可愛い!」
「くそ…なんでこんなことに」
わしゃわしゃ、と両手で頭を撫で回し、抱きしめているルカに、シャルロットの耳が下がっていく。
「イカ耳だ〜」
シャルロットの耳を見れば完全に下がり、イカ耳になっている。尻尾も、自身の脚に叩きつけている。
「さっきからうるさい、いちいち言わなくていい!」
「シャルは黒猫なんだね?」
「お前は犬だろ!」
生えてきた牙を剥き出しにして、ルカに猫特有の威嚇するが、全く効いていないようで。ニマニマ笑いながら尻尾を振っている。
「…怒ってるけど、尻尾は素直だねぇ。」
「?…うわあああああっ!!!!」
恥ずかしさのあまりどんどん口が悪くなっては居るが。
シャルロットの黒い尻尾はいつの間にかルカの腕に巻き付き、離そうとはしなかった。
「もう嫌だぁ!なんでこんなことに…」
それは遡ること数日前
_______________
_____「…獣人仮面舞踏会に来てほしい?」
「お願いシャルロット!」
正座して手を前で合わせるロイにシャルロットは顔を引き攣らせた。
「嫌ですよ、ルイス様に誘われたのでしょう?」
「うう、そうなんだけど」
『ロイ、もし良ければ私とこれに行かないか?』
『獣人、仮面舞踏会?』
『ああ。』
獣人仮面舞踏会。
獣人化が出来る薬を飲み、目元に仮面をして、舞踏会に行く。そこで運命の人に出会ったり、パートナーと仲を深めたりする事がある。獣人化は人によって種族が異なる。
「…それで承諾してしまったと?」
「う、うん、それで、マナーに詳しいシャルロットに来て欲しくて」
(そりゃあ、シャルロットに叩き込まれたし…)
一瞬脳内で思い出されるシャルロットの地獄のマナー講座。
「もちろんルカ君も一緒に!魔法薬は用意してくれるみたいだから!」
「いいんじゃない?シャル」
「ルカ…でも」
「おねがーい、シャル」
きゅるん。といつも見上げていた顔が下にあり、上目遣いにキュンと来てしまった。自分より身長の大きいルカにキュンはないから、キュンは。絶対ない。
だから、これは決してキュンときたから許可する訳では無い。
腰を屈めて顔を覗くルカにシャルロットは天井を見上げ、顔を両手で覆い、隠した。
「…分かりました」
「!ありがとう、ルイスには迎えに行くように伝えとくね!」
「え。ちょ、迎えはいらなっ」
軽い足取りで部屋を後にし、ドアが閉じる。シャルロットの伸ばされた手は行き場をなくし、下がる。
「行っちゃったね。」
「ふふ、シャルの獣人化楽しみだな〜」
「お、お前、それが目的だろ!」
「え?当たり前じゃん!」
「嵌められた…」
嫌だなぁ、嵌めてなんてないよ?とニコニコと笑いながら言うルカにシャルロットは全て諦め、ベッドに飛び込んだ。
_________________
獣人仮面舞踏会当日 馬車の中。
(な、なんか気まずい!)
無言、無言無言。ロイは馬車の外を見ていて無言、ルイスはそんなロイを見ていて無言、ルカはシャルロットがなんの種族になるかと考えており無言、シャルロットはその空気に耐えられず俯いて居て無言。
その沈黙を破り、先に話したのはルイスだった。
「…そろそろ着く、魔法薬を飲んだほうがいいよ」
「分かった!」
ルイスから小瓶を受け取ったロイはワクワクした様子で一気に飲み干した。目の前に出された小瓶に顔を顰め、受け取ろうとした手を止める。
「あの…やっぱり俺帰っ_ムぐっ!?」
「はーいダメ!飲んで飲んで!」
帰る。と言おうとすればルカがルイスの手から取った小瓶を、シャルロットの口に押し込む。飲み込ませるために顎を掴んで上を向かせ、勢いよく流し込まれる。
「___んくっ、ぷはっ…けほっ」
「ルカっ…!!」
「うーん、味はそこまで無いんだね」
シャルロットに飲ませたあと、自分もすぐに飲み干し、唇を少し舐めた。シャル、零れてる。と何事も無かったかのようにシャルロットの口元を拭う。
「しゃ、シャルロット、大丈夫?」
「…はい、ロイお兄様、大丈夫ですよ。」
どすっ
「そ、そう?なら良かった」
どすっ
「ふふっシャル、痛い」
どすっ
「どうせ痛くないだろ」
どすっ
「まぁ、そうなんだけどね。」
脇腹を肘で殴っているが、対して痛くないのか笑いそうになるのを堪えているルカ。ぼふんっ。と音を立て、シャルロットが白い煙に包まれた。
「シャルはどうやら、魔法薬の回りが早いみたいだね」
煙の中から見えたのは、ゆらゆらと揺れる、黒く長い尻尾。頭に着いている黒い耳、耳はピクリと動いた。
「か、かわいー!!!」
「う、うにゃああ!!!」
突然の変化に呂律まで可笑しくなり、猫らしい声を上げてしまった。
耳と尻尾を抑えて、恥ずかしさのあまり走行中の馬車から飛び降りようとした所をルカに捕まった。
______________
現在___
(つ、疲れた…)ルカに撫で回された頭は、ボサボサになり威嚇ではないのに疲れで耳が下がる。
「はい、シャル。これ仮面」
「…ありがとう」
受け取った仮面は目元だけのベネチアンマスク。主な色は黒で、金色の装飾が施されている。
「俺、ここで何があるか分からないんだけど大丈夫?」
突然の問は、小説で起こるイベントの事。
「ルイス様とロイお兄様で対処出来るから、大丈夫。原作でも死者は出てない」
「なら良かった。」
ルカは微笑み、手をシャルロットの頭から背中にかけて、尻尾まで、まるで本物の猫を撫でるかの様に手を動かす。
「っっっ、その撫で方辞めろ!」
痺れるような感覚、それなのに気持ちがいい撫で方に思わず毛を逆立たせ、逃げる。
「シャルの尻尾サラサラだね、高級猫かな?」
ぽん、と頭に置かれた手がゆっくりと動く。
「なんだそ_」
ゴロゴログル
「…」
「…」
ゴロゴロゴロゴロ
顔を見合わせると、ルカの口角が上がって、シャルロットの顔がじわじわと赤くなる。
「その、露骨に嬉しそうな顔やめろ!」
「嬉しいかぁ、そっかぁー!」
「うるさい!早く行くぞ!」
「ああ、待ってシャル置いて行かないで~」
早足で歩くシャルロットを追いかけ、腰を抱き寄せて歩く。
_____________
度数の低いシャンパンを煽りながら、窓際に座るシャルロットに、1人の豹の獣人が近づく。
「そこの綺麗なお兄さん、良ければ僕と」
グラスを持っていない、窓際に置かれた手を取ろうと、手を伸ばすが、その手をルカに叩き落とされる。
「俺のパートナーなのでお断りします。」
数分もすれば、今度は蛇の獣人
「黒い猫さん良ければ私と」
「お・れ・の、パートナーなので!」
また時間が経てば、今度は鳥の獣人
「綺麗な黒の毛並みをした人__」
「却下!帰れ!」
肩を大きく揺らし、息切れをするルカがシャルロットに振り向く。
「モテすぎだよ…シャル!」
「そんな事言われても…」
「ちょっと目を離した隙にすぐナンパされてる!」
ぐるるるる、とルカは喉を鳴らして唸りながら、シャルロットの肩に頭を擦り付けた。
「髪の毛くすぐったい… 」
「獣人化したシャルが見たかっただけで、ナンパされてるシャルが見たかった訳じゃな~い!」
「はいはい。そろそろ、ロイお兄様達が踊る番だぞ」
中央のダンススペースには数名のペアがいて、その中にロイとルイスが居る。音楽が流れ、踊り始める。
「ロイ様、踊れないって言ってたのに踊れてるね。」
そりゃあそうだ、シャルロットが一晩中踊りに付き合ったのだから踊れてなくちゃ困る。
「一晩中付き合わされたからな…」
「あ、次は俺達も踊ろうね?」
「…はっ!?」
ルカの顔を見ると、やはり笑顔で尻尾を揺らしている。
流れていた音楽が止まり、ダンススペース居たペア達が離れていき、次に踊るペアが集まっていく。
「ほら、いくよ!」
「待て!踊るなんて言って、なっ」
シャルロットの言葉を遮り、手を掴んで走り出す。
しかもダンススペースのど真ん中に連れてこられた。
「シャルが踊れないはずないでしょ?」
教えたって言ってたもんね!と微笑み、シャルロットの腰に手を回して手を取る。自然な動きで女性側にさせられたシャルロット。
「そうだけど…」
「ならほら、踊ってない俺達だけが目立ってるよ」
もう既に曲は始まり、踊っていないシャルロット達にが視線を向ける。
「っ…分かった、分かったよ…」
もうすぐ曲の前半が終わる、だから踊り出すのは後半から。
後半が始まる。
(…上手い、支える力も、テンポもいい)
身長に差があるはずなのに完璧で、逆に支えが安定して、踊り易い。チラリとルカの顔を見あげれば、ずっとシャルロットを見ていたのか眼があい、シャルロットは赤面し、顔を逸らす。
(そ 視線が…)
ちゃんと踊り、目立つことはしていないのに何故か、会場の視線がシャルロット達に向いていた。
「シャル」
曲が止まり、音のない会場で、突然名前を呼ばれ顔をあげる。
「……………は」
ルカの顔が近づいて、仮面がぶつかり、シャルロットの仮面が音を立てて落ちる。目元はルカの前髪で隠されたまま、キスをされた。後頭部に手を置かれ、引かれると身長差のせいで踵が上がる。
「これで、ナンパ来ないね」
「は…え…」
シャルロットは顔を赤くして、口を両手で抑えた。下を向いているから、シャルロットの顔は見えない。
「ほら、行くよ!」
周りが叫んでいる中、ルカはシャルロットの腕を引き、会場のバルコニーに飛び出した。
___________________
「な、は、え…?」
頭を抱え、しゃがみこんでいるシャルロットを覗き込む。
「まだ混乱してるの?」
「だって、ルカが、人前でっ」
「ナンパこれで来れないね?」
尻尾を振りながらシャルロットの手を取り、ルカは自身の頬へ持って行き、笑った。
「っ…はぁ…」
頬に持っていかれた手をルカの頭に持っていき、雑に撫でてやった。
が、すごい嬉しそうに尻尾を振り、抱きしめてきた。
「大好き、シャル」
「なんだよ、突然」
「絶対離さないから、大好き、離れないでね」
なんてクサイセリフ、こっちが恥ずかしくなりそうだ。
ん?
ここでシャルロットこと、[[rb:御宮 碧 > おみや あお]]は脳をフル回転させ、忘れていた事を思い出す
ルカ、ルーカル・ファスト。小説ではロイとルイスのルートであるが、番外編としてミル、ロイド、ルーカルのルートが存在する。ゲーム版でも存在はするが、確率は低い。
その数少ないルーカルのルート、それがヤンデレルートなのだ。ツンデレ気質だが気を許した人には甘く、懐く。恋人には依存よのうに。”自分の腕の中から居なくなる事なんて考えられない、もしそうなるのなら、閉まってしまおう。”これが監禁ルートに入った時のセリフ。
ロイは居なくなろうとはしなかったが、監禁ルート版で選択を間違え、このルートに入り、離れるような事があれば、監禁される。
その監禁ではない、ルカルートに入る時の確定のセリフ、それがこれだ。
シャルロットの脚が後ろに下がり、どんどん後ろに下がる。それをルカも追い、シャルロットは手すりに追い詰められた。
「あ、あの、ルカさん、ちょ、ちかっ」
「シャルが俺から離れなければ、大丈夫だから」
「な、なにが大丈夫なの… 」
「ん?気にしなくていいよ?」
「こ、こわぃ」
きゃあああああああ!!!
会場の中から聞こえる悲鳴。
「っ!」
「シャル、今の」
「本編が始まったんだ、行こう!」
_______________
シャルロット・ウィル・メルーデル (獣人仮面舞踏会)
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14話 エンド 12⁄5