会場は闇に包まれていた。人々の混乱する声に叫び声、その場に上がったのはロイの光属性。
暗かった会場はロイの光で明るくなり、その明かりで見えた物にまた会場が悲鳴で埋まる。
シャル「は…いや、おかしいだろ…」
(だって、そんな、ここに来るのはたった低狼魔獣数匹で…
そこにいたのは、普通のゴブリンよりも何十倍にも大きいゴブリンキングだった。
(おかしい、おかしいおかしいおかしい本来なら
本来であればたまたま入り込んでしまった狼の魔獣が来てしまった程度で、ロイとルイスで対処出来るはずだ、なのに、今の2人のレベルじゃゴブリンキングには勝てないっ…
ルカ「シャルロット!」
ルカの両手でシャルロットの頬を挟み、目を合わせた
ルカ「予想外の事が起きたんだね?」
ルカ「今のルイス様とロイ様のレベルじゃゴブリンキングには勝てない、それは分かる?」
シャル「う、、うん」
ルカ「俺が引きつけるからその間に避難させられるか?」
シャル「っ、でもルカも」
ルカ「大丈夫、俺の強さは分かってるでしょ?」
シャル「…うん、だから」
ルカに貰った青の元結を解き、ルカの左腕に結んだ。
シャル「防御力も上がる…絶対に手渡しで返して、他の人から返されるなんて嫌だからな」
ルカ「約束するよ、帰ったらお菓子作ってあげる」
シャル「絶対だからな」
ルカ「ああ、絶対、そろそろルイス様が限界っぽいから行くな」
シャル「ああ」
シャル「こっちから出てください!」
水属性で壁に穴を開け、人を外に逃がし、門まで逃げるように促す。
シャル「押さないで!落ち着いて門まで行ってください!」
ルイス「シャル…!」
シャル「ルイス様?」
ルイス「どういう状態なのか分かるか?」
シャル「はい、説明します」
シャル「ロイお兄様、ルイス様を治療しつつ聞いてください。」
ルイス「なっ、じゃあさっき横切ったのはルカだったのか?」
ロイ「そんな、ルカ君が危ないんじゃ」
シャル「…ルカは、ルカは大丈夫です…約束しましたから」
ロイ「…信頼、してるんだねシャルロットは」
シャル「そ、そんな事ありません!ただあいつは強いから…」
シャル「でもあいつは約束した、帰ってきたら俺の元結を返して、お菓子を作るって」
シャル「だから大丈夫です、だから俺は俺が出来ることをします」
ロイ「僕も手伝うよ」
シャル「助かります、門の所まで皆の誘導になるように光を出してください」
ロイ「わかった」
ルイス「私も手伝う」
シャル「ルイス様は呼び掛けをしてください、今の怪我では動かない方がいいです」
ルイス「わかった」
__________
そのまま門までの避難は終わり、騎士団の人達と合流をした。
騎士団長「分かりました、我々は直ちにゴブリンキング討伐に向かいます」
時々奥の方で戦っている音が響き、ゴブリンキングの叫び声も聴こえた。数十分もすると音も声も聞こえなくなり、数人の姿が見えた。
シャル「…あ…ルカ!!」
その中に騎士団の1人に支えられたボロボロのルカがいた。
ルカ「シャル」
ルカはふにゃり、と笑いシャルロットを抱きしめ頭を撫でた。
シャル「ボロボロだな…」
ルカ「見た目だけだよ、それより、猫耳なくなっちゃったね」
シャル「バカ…もう魔法薬の効果は無くなったよ」
ルカ「残念だな、ね、シャル」
シャル「なんだよ」
ルカ「髪、括らせて」
シャル「な、お前先に治療を」
ルカ「ダメ、先に約束守らせて、そうしたら大人しく受けるよ」
シャル「…分かったよ」
後ろを向いたシャルロットの髪をまとめ、手首に付けていた青の元結をシャルロットの髪に括り、リボン結びにされた元結にキスを落とした。
ルカ「ただいま、シャル」
シャル「ああ、おかえり」
ルカ「おかし、つくってあげる、、か、、ら」
シャル「ルカ!?」
シャル「な、なんだ寝てるだけが…」
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3日後
ルカは無事に回復して、元気にお菓子を作っていた。
ルカ「美味しい?」
シャル「美味しい」
「舞踏会での事件の話聞いたけど…距離がピッタリになってる」
「死ぬかもしれなかったんだし離れたくないんじゃない?」
「まぁ私たちには得しか無いんだしいいんじゃない?」
「それもそうだな」
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こんな甘い話聞いつまらないだろう?
「聖人という、人を救う人がいるなら悪役も必要なはずだ」
「そう思うだろう?」
「ただの平和な物語なんて、つまらなくて直ぐに終わってしまう」
「だから、終わらせないために自分達がいるの」
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16話 エンド 12⁄5
そろそろキャラを産みすぎてだんだん分からなくなって来ました。
ルイスの口調がまったく定まりません、男っぽくすればいいのか女っぽくすればいいのか…
シャルロット(中身碧)の悪役令息演技見てみたいです。
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