5年前4月
僕は今日社会人になった。
僕は高卒なので18歳だけど一緒に入社した人は大学を出ていて新卒だから22歳。4つ歳が離れている。うちの会社はそこまで規律が厳しくなくて明るい髪色でも長髪でも怒られない。彼は長い明るめの茶髪だった。初めて見ると女性にしか見えないような美しさで、僕は一目惚れした。
そんな入社初日も退勤の時間になった
「大森くんだよね?藤澤涼架です。よろしくね」
帰りの支度をしていると彼から声をかけられた
「あ、お、大森元貴です。よろしく…」
「もう退勤でしょ?一緒に帰らない?」
「あ、えっと…」
戸惑っていると藤澤さんは続けた
「あ、ごめんね!方面も聞かずに…」
「いや、北千住ですけど…」
「ほんと!僕も同じ!一緒に帰ろ!」
「はい!」
正直向こうから距離を詰めてくれたのは僕にとって好都合だった。
電車に乗ると運良く2席空いていて座ることが出来た。
「あ、敬語やめよ!同期なんだし!」
「え、でも藤澤さんの方が年上だし…」
「そんなこと気にしなくていいの!名前も藤澤さんじゃなくていいよ」
「じゃあ…なんて呼ぼうかな」
少し考えてひとつの呼び方が生まれた
「涼ちゃん、でいい?」
「うん!ありがと元貴!」
キラキラとした笑顔で見られれば不思議とこちらも顔がほころんでくる。
「あ、着いたよ」
僕は照れを隠すようにそそくさと電車から降りた。その後を小走りで涼ちゃんが追ってくる。
「ねぇ、元貴は家どの辺なの?」
「すぐそこだよ。〇〇マンション」
「え、同じだよ!僕ね、306号室」
「隣だ… 305号室だよ」
「うわぁ奇跡だ!よろしくね!お隣さん」
「うん、よろしく」
入社初日はそんな感じで1日が終わった
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