あずきさんが作る小説のタイトルは、「夜明けの探偵」です。
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夜明けの“名”探偵
昼と夜の間を取り仕切る“武装探偵社”。
其処には推理を決して外さない名探偵が居るそうだ。その次に頭の良い包帯と砂色の長外套を着た男が居た。
二人は、深夜弐時に海に来ていた。
其処には二人以外に人の気配も、人も居らず、ただ波の音が響いているだけであった。
二人は決して見詰め合わなかった。“解って”しまうからだった。
月光に照らされる二人は、美しかった。
名探偵は、何時も身に付けている帽子と上着とベストを脱いで、何時もより身軽な出で立ちであり、何時もは閉ざされている翠の瞳は開かれ、月を唯見ていた。
包帯を身体中に身につけた男は、何時もの砂色の外套を脱がず、何時もと何ら変わらない出で立ちであり、何時もは開かれている錆利休色の目を伏せ、海を唯瞼越しに見詰めていた。
二人は何も言わなかった。言わずとも、二人は互いが何を言うのか、解ってしまうからだった。否、違う。言葉を交わしもしなかった。二人は互いとの意思疎通を嫌っていた。
「お前は、何時か僕の元を離れていくのだろうね」
名探偵が口を開いても、決して包帯を巻いた男は答えない。二人にとって意思疎通は、唯の“手段”でしか無かった。意思疎通が無くとも、二人は互いを信じていた。
包帯を巻いた男は何も言わない。座った儘、目を偶に開く位であった。
名探偵は包帯を巻いた男が酷く嫌いになった。意思疎通をしようともしないからだ。男は六尺を越えた男であるが、触れると何かが雪崩のように全て崩れてしまいそうに思えたからである。
名探偵は、狂っている。
其れがどうしてか名探偵は自身を理解できない。だが自身が狂っているという真実だけを理解していた。
「僕は狂っていると思うかい?太宰」
男は答えない。瞼を上げ、瞳の色を海に反射させるだけであった。
「ねえ、海が死体の匂いだと言うけれど、それなら」
お前の匂いもするのかな。
そう口に出す時には、日が昇り始めている。
名探偵は、砂浜に一人、佇んでいた。
あとがき
「探偵の夜明け」というお題が出た時、これは乱太乱でやらなければと言う謎の使命感を抱いてこうなりました。本人は“名”探偵なのでそこだけ改変しました。
内容については分かりやすい死ネタです。二人で成立する文、太についての文は過去形(太宰の仕草はnot過去形)になってます。
最後の文の「佇んで“いた”」は乱が確かにそこに居たけど、日が昇るまで(お前の匂いもするのかな、の所で)海に沈んで入水自殺したということになります。
本文に至るまでの内容は、太が死んでから乱は受け入れる事が出来なくて、無理矢理太が死んだ事を忘れて幻覚の太を愛してた。でも完全に狂いきれなくて、幻聴までは聞こえなかった。だから太は何も話さなかったってこと。
太が生きてた間はお互いが出張だったりで居なくても互いに愛し合ってると信じ切っていたから連絡も無し(意思疎通は“愛を確かめる手段”だから互いに要らないと思ってた)。互いとの意思疎通は愛を確かめる行為、つまり愛があると思っていれば必要の無い行為の為、意思疎通すればした側が相手の愛を疑っているという事になるから生きてた時は二人とも意思疎通を嫌ってたって事になります。
二人の姿を描写する時の“乱はいつもと違って太はいつも通り”みたいな描写は、乱は太が居なくなっていることを無意識下で認識していて、いつもと違う感じになってて、太は乱と一緒に居た時とそっくりそのままの幻覚だからいつも通り。乱が目を開けてて太が目を閉じてるのは“本人が現在を認識できているかどうか”を表してます。太は死んでるから現世のこと認識できないよねって事で目を閉じてます。さっきも言った通り乱は太が死んでるのを認識しては居るからそういう幻覚になってる。偶に目を開けるのは太が生きてると信じ切ってる乱もいる為、それで太は目を開ける時がたまにある。
海なのはなんかいいかなって言うのと、どっかで海は死体の匂いって聞いたからつまり太は死んでる=死体の匂いがする=太は死体=海から太(死体)の匂いがする筈って考えで乱は海に来て「お前の匂いもするのかな」って言ってます
あとがきも読んでくれた神様は流石に居ないですかね?読んでくれている貴方は神なので宗教作ります(?)
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