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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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読み終えました。今回のエピソード、チーム戦の連携がとにかくかっこよかったです。出っ歯が囮になって誘導し、主人公がショットガンで逃げ道を封じてクロが待ち伏せ——役割分担がきっちりハマった時の気持ち良さが伝わってきました。それにしてもクロさん、めっちゃ“ガチ”ですね。あと残り4と10。白川さんとナナさんの参戦が鍵になるってところで電話が来るラスト、続きが気になりすぎます。
「クハハハ! どうしたどうした“爆音のシスター”! 我にとってはこの程度、通り過ぎるそよ風くらいにしか感じぬぞ! 賞金首の名が廃るなぁ!?」
「くっ! 時間制限がある事知ってるくせに……逃げてばっかり! それに煽って来る人嫌いです! どうしてそんなに馬鹿にする様な事ばっかり言うんですか!? 嫌いです!」
「フッ、クロが予想した通り煽り耐性は限りなくゼロに近い様だなぁ!? ちなみに女性からその発言はモテないメンズには効くので止めて下さいお願いします!」
アホな会話を続けながらも、出っ歯が叫びつつ縦横無尽に走り抜けていた。
アイツを迎撃しようと、火薬付きボウガンやらグレネードランチャーやらをぶっ放しつつ……爆弾魔こと、“octopus8”がバイクで付いて行くが。
「今のところ、予定通り。これじゃ相手が“誘い込み”も出来ない以上、向こうは慌てて攻撃してる感じだ」
『良いね。自分からフィールドを作れない戦闘は、エイトには向かない。時間いっぱいまで逃げ切れば、こっちが“試合には”勝てるから。やっぱり賞金首にとっては、この実績は不味いみたいだ。読み通りだね』
少し離れた所で監視しつつ、クロと話していたのだが。
出っ歯のヤツ……最近、本当にすげぇな。
いよいよシロさんの超高速ダッシュに近付いて来た勢いで、バイクから逃げ回ってるし。
むしろ前回とか、いくら巡行中とはいえ555の車に追い付いて飛び乗ったからね。
アクションが得意なsevenや、同じスプリンターの3daysとさえ良い勝負してたし。
こりゃ俺も、ウカウカしてらんねぇなぁってなもんで。
「そろそろかな。こっちが、“誘い込み”を始める番だ」
『とんでもなく危ない囮役だから、十分に気を付けて』
「任せろ。それが俺の役目だかんね」
そんな事を言いながら構えるのは、セミオートショットガン。
生憎と俺の射撃性能は、相も変わらず向上しないんでね。
とにかくぶっ放して、相手に“撃たれた”って心境にさせる事が大事。
という事で、予定の場所で銃を構えながら待っていると。
「どうしてそう、神経を逆撫でする様な事ばっかり言うんですか! 普通に酷いですよ!?」
「すまぬシスター! これも作戦の内! 俺は友の為に、神様にすら唾を吐きかける男なのだぁぁぁ!」
未だ馬鹿な会話を大声で続けているらしい出っ歯が、バイクに跨ったシスターを引きつれて真っすぐこっちに突っ込んで来る。
さぁて、作戦開始だ。
「俺とも遊んでくださいよ、爆音のシスターさん!」
叫んだ瞬間出っ歯は横に跳び、道路に残されたoctopus8の視線は此方を捉える。
が、しかし。
「おらぁぁ!」
とにかく、連射。
しかしあえて逃げ道を作る形で、片側に集中攻撃。
すると相手は慌ててバイクを傾け、大型のモールへと乗り物ごと突っ込んで行く。
はい、いらっしゃぁい。
「出っ歯! 追え! 俺も続く!」
「承知! 相手の得意分野で勝ってこそ、ナンバーズキラーは輝くと言うものだぁぁぁ!」
超高速お馬鹿が、バイクに負けない勢いで建物に突っ込んで行けば。
早速内部からは爆発音が。
向こうの得意分野は誘い込みであり、建物その物を武器とする行為でもある。
であれば……相手が想定していない建物をあえて“使わせて”、その場で対応するしか無くしてやれば。
そしてその建物が、既に俺達の“手中にある”とすれば、どうかな?
「ぐあぁぁぁ!」
「おいコラ出っ歯! 早速やられてんじゃねぇよ! こっちの罠に自分で引っかかったんじゃねぇだろうなぁ!?」
お馬鹿に続けて飛び込んだ所で、アイツの死亡ログが。
マジで、オイコラ。
早ぇのよ、いつもなら別に気にしないけど、今回15分しかねぇって言ってんのに。
「チッ! そこか!」
「っ!」
建物に入った瞬間、妙な音が聞こえた気がして。
そちらに向けてショットガンを撃ちまくってみれば、物陰からシスターが飛び出して来た。
逃亡の最中も、背中から生えているロボットアームが色んな所に爆弾を仕掛けているのが見えるが。
「残念、そっちは“ハズレ”だ」
彼女が逃げ込んだ先で、こっちが仕掛けた爆薬に火が付いた。
これに対して、本人が仕掛けた爆弾も連鎖的に爆発を起こし。
「どうだ!?」
『まだ! 終わってない!』
「了解! 追う!」
弾切れを起こしたショットガンを投げ捨て、背負っている他の武器を持って来て正面に構える。
とにかく異音が聞えた瞬間撃ちまくり、威嚇射撃を繰り返しつつ目的地まで突き進む。
賞金首の8番目の癖、とも言えるのかもしれないが。
相手が多ければ多い程、一つの建物内でまとめて片付けようとする。
つまり、敵に脅威を感じたら絶対にそこで仕留めようとするのだ。
そしてクロが導き出した、その行動パターンの多くが……。
「大当たり、かな?」
「なっ!? 貴方は……」
「前の時はどうも。今回は……躊躇しませんので」
屋上に駆けあがった瞬間に、そこで待っていたクロからの一発。
これと同時に彼女自身がその身に纏っていた爆薬が大爆発を起こすが……。
「クロ~? 無事か~?」
「何とか、ね? やっぱりoctopus8は、“準備時間”さえ与えなければ制圧出来る」
爆風を防ぐ為に準備した盾が、随分とこんがりしていたけども。
それを押しのけてから、屋上に待機していたスナイパーが顔を出した。
向こうに近付くのはちょっと怖いくらい、屋上に大穴が空いてしまったけど。
「おっつかれい。これで、半分撃破だな」
「だね、けどまだ折り返しだ」
「ハハッ、今までだったらこのまま祝勝会でも開きそうなテンションだっただろうに。“まだまだ半分”ってか」
今回のクロは、“ガチ”だ。
本気で賞金首を全員狩りに行こうとしている。
これに付き合うと決めたからこそ、コイツを司令塔として何でも言う事聞いてやるよってつもりでは居るのだが。
「とりあえず、お疲れ。今日居るのは……あと4と10だが、どうする?」
「……今のままじゃ無理、だね。今日はこの後、ポイント稼ぎに集中しよう」
「おっと、弱気な発言……って訳じゃないんだろ? あの辺を攻略するには、“あと二人”必要か?」
「うん、間違いなく。だから二人が参加してくれた時、すぐに挑戦出来る様にしておかないと。二人には申し訳ないけど、今日はこの後普通にプレイヤー戦かな」
「いいさ、お前の指示に従うよ」
そんな事を言ってから、大して見てもいないリザルトメニューを閉じてから、対戦フィールドから退出するのであった。
ノリで、というか友達だから付き合ってはいるのだが。
今回の俺等……結構凄い事してねぇか?
だって相手は“プロ”のゲーマー揃いであり、他のプレイヤーは物凄く苦戦しているのだ。
たった一人に対して、5人で挑んだとしても。
それを俺等は3人でやって、もう半分倒した。
これはもう、本気で輝かしい“夏の思い出”ってヤツになるんじゃねぇの?
◆
「ふぅぅ……それなりにポイントは溜まって来た。後は……白川さんと、ナナさん次第って感じだな」
ガンサバからログアウトした後、思い切り溜息を零してしまった。
流石に、疲れた。
一日中対戦している様な状態だし、賞金首との戦闘は一瞬のミスも許されない。
付き合ってくれている友人二人に対してもそうだし、俺の実績という意味でも一つも間違っちゃいけないと思って良いのだろう。
「こんな緊張感を……兄貴や白川さんはずっと味わってるのかな」
若干痛みを感じる頭の奥、そして直接見ていた訳でもないのに目の奥が痛む。
VRは、直接脳みそで遊ぶゲームだと言って良い。
この環境で、システムサポートもなく。
全て脳で処理しながら、全部自分でこなしていくという。
そんな環境で、これまでのイベントを10人の賞金首は生き残って来たと考えると……正直、気が遠くなるというもの。
今回の戦闘なんて何万人、何十万人っているプレイヤーの中で一番目立っている10人だからこそ、対策が考えられているのだ。
だというのに、その十人は自らの対策をして来た相手に対して。
ぶっつけ本番で、常に対処しなければいけないのだ。
そんなの、とてもじゃないけど人間技じゃないよ……なんて、弱音を吐きそうになってしまうが。
俺だって、その11番目の席を目指しているのだ。
泣き事ばかり言っていられない。
自分に言い聞かせるようにして、残る賞金首達のフィールド情報と作戦をまとめる為、そのままパソコンに向かおうとしたのだが。
「ん?」
枕元に置いてあるスマホが、ブーブーと唸っていた。
そいつを持ち上げて目の前に持って来てから、迷うことなくタップして耳に当てる。
「はい! もしもし! 黒沢です!」
『え、えと……こんばんは、黒沢君。あの……白川です。今って、大丈夫だったり、しますか?』
最近聞いていなかったその声を聞いた瞬間。
頭痛とか疲れとか、そう言ったモノが大気圏の彼方まで吹っ飛んで行った気がする。