テラーノベル
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ギルドのカウンター前、俺とリバは次の依頼で胸をワクワクさせながら並んでいた。そのとき、広いホールに声が響く。
「おい、あれが噂のキノコだろ?」 「珍しいキノコ種族で“覚醒胞子”持ち……よく新人でイノシシ倒したって――」
数人の冒険者のチームがこちらを囲むようにやって来た。
「やあ、君がマッシュ・モルグさんだろ?」 リーダー格の男がニカッと笑いかける。
「俺たちはAランク冒険者の“疾風の牙”。良かったらウチのチームに入らないか?新戦力を探してるんだ。キミならきっと活躍できると思ってね!」
リバが一瞬、手をぎゅっと握りしめる。
「お……俺を?」 「そうだ。キノコ種族でサポートもできる奴は貴重だからな。いきなり大仕事だって夢じゃないぞ!」
ニヤリと他の隊員も笑う。
「ありがとう。でも……俺、今はリバと一緒に旅がしたいんだ」 周りが一瞬ザワッとなる。
リーダーがもう一度食い下がる。 「君ならもっと強くなれる!大人数なら大きな依頼も受けられる。考え直さないか?」
モルグはリバを見る。
リバはうつむきながらも、モルグの袖を小さく握っている。
「……俺はリバと組んでる。彼女と一緒に、成長していきたいんだ。すまない」 リバがぱっと顔を上げる。ほっとした、でもちょっぴり照れくさそうな微笑み。
リーダーは肩をすくめて大声で笑った。
「そいつはいい!誇りを持っている奴は好きだ。困ったらいつでも声をかけてくれ!」
彼らは手を振ってギルドを出ていった。
リバが小さくつぶやく。 「……私で、本当にいいんですか?」
「当たり前さ。俺の冒険は、リバと一緒じゃなきゃ始まらないからな!」
リバの顔が少し赤くなって、いつものように拳を握る。
「最高のコンビになりますね、マッシュ様!」
「おう、これからもよろしくな!」
――こうして俺は、大きなチームの誘いを断り、
リバと一緒に歩んでいくことを改めて決めた。
次はどんな冒険が待っているのか、ちょっとワクワクしている――。
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