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「僕って、本当、生きるの向いてないなぁ。」



そう言って、君は僕の握っているナイフを僕の手ごと握って自分の腹に刺した。





今日見たのは、そんな、いやな夢だった。



灰被り姫



君はいつも通り、僕の横でスヤスヤと寝ていた。


そして君の脈を確認する僕の手は、冷や汗でグッショリと濡れていた。



「おはようルーカス、朝食の準備が出来ている。」

落ち着いた低い声が静かな寝室に響く。


その落ち着きのある男性の声の正体は僕の実の兄、ウィルソン兄さんだった。


「ウィルソン兄さん、」


「どうかしたか、ルーカス。」

ウィルソン兄さんが首をかしげる。


「ちょっと…いやな夢を見ただけ、だよ。」

兄さんに話したって、どうにかなる事じゃないと思った。


「そうか。災難だったな。」


「あと、世代せしろも起こして来てくれ。」


「分かった、兄さん。」

そう言って、僕は薄く笑って、去っていく兄さんを見送った。上手くできただろうか。



「セシロ、セシロ…朝だよ。起きて。」

僕がセシロの体を揺さぶるとセシロはようやく目覚めた。


「……ルカ、おはよう。」

セシロが眠そうに返事をする。


「うん、おはよう。セシロ。」


「兄さんが朝食ができたって。行こう、セシロ。」


「うん、ありがとう。」


「僕はただ起こしただけだよ。お礼は兄さんに言ったほうが良いんじゃない?」


「そうだね、でも、ルカもありがとう。」

セシロが嬉しそうに笑いながら言うので、僕はなんだか心がふわふわしていた。



けれど、こんな日常が戻って来たのは、つい最近の事だ。





元々、セシロは僕たちと一緒には暮らしていなかった。


セシロには、もっと、相応しいひとが居た。


セシロは、森の近くの屋敷に住んでいた。

しかしその屋敷は、今は痛々しい記憶が蘇る廃墟になっている。


燃えたのだ。全て。


なんでも、祖母と祖父と暮らしていて、そこで姉と共に、酷い扱いを受けていたらしい。


だからこそ、燃えたのだ。

火災の原因は放火だった。


あの屋敷は全焼したが、セシロの、姉を失った悲しみは今もなくなっていない。




「ルカ、手が止まってるよ。どうかしたの?」

無邪気に首をかしげるセシロは、僕の唯一の希望だった。



「ありがとう。大丈夫だよ。」

僕はそう言って、また、薄っぺらい笑顔をしてみせた。







ああ、僕はなんて幸せ者なんだろう。

セシロの住んでいた屋敷に放火したのは、


僕なんだから。

ふふ、全部僕の思い通りだよ。



セシロ、これからずっと、よろしくね!!


















私は、ルカが何処か嬉しそうに見えたと同時に背筋が寒くなるような気がした。









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