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夜、トオルの家のガレージ。エンジンオーバーホールで緑の180SXの一部だと判明した愛車を眺めながら、トオルは後藤に電話をかける。「後藤さん、エンジンはケンジさんの車のパーツだったけど、他の部分はどうなんですか? 残りのパーツってどこにあるんだろう…」。後藤は「確かに、外装や足回りは純正だ。お前が買った中古車店で何か分かるかもしれねえな」と提案。トオルは「じゃあ一緒に行ってください!」と頼み、後藤と再訪問を決める。
週末、トオルと後藤はトオルが180SXを購入した中古車店「カーショップ・マツダ」に到着。店長の松田は40代の恰幅のいい男で、トオルが「この車のこと、もう少し知りたいんです」と切り出すと、「お前、あの180SX気に入ってるんだな」と笑う。後藤が店内に入ると、松田が「おお、後藤! お前かよ!」と驚き、二人が旧友であることが判明。後藤は「昔、走り屋の車をこいつに売ったこともあったな」と苦笑しつつ、「この180SXの書類、見せてくれ」と頼む。
松田が奥からファイルを持ち出し、書類を広げる。車検証や整備履歴を細かく確認すると、後藤が「こいつ、一度純正に戻されてるな」と気づく。トオルが「どういうことですか?」と聞くと、後藤は「エンジン以外のパーツが全部純正品に交換されてる。ケンジの事故後、次のオーナーが手を加えたんだろう」と説明。さらに驚くべきことに、書類には「大阪府からの移送記録」が残っており、一度関西に移送され、また関東に持ち込まれた経歴が判明。松田が「俺が仕入れた時はもうこの状態だった。前のオーナーのことは知らねえよ」と言うと、トオルは「何で純正に戻したんだろう…残りのパーツはどこに?」と疑問を募らせる。
後藤は「ケンジの車がこんな状態で売られたってことは、次のオーナーが何か隠したかったのかもな。チューニングパーツを外して純正に戻すなんて、走り屋じゃねえ奴の仕業だ」と推測。トオルは「じゃあ、ケンジさんのパーツがまだどこかにあるってことですよね?」と目を輝かせる。松田が「関西にいたオーナーを探すなら、大阪あたりで聞き込みでもしてみな。夏休みだしな」と提案すると、トオルは「よし、ユウジと車で行ってみます!」と決意。
夏休み初日、トオルとユウジは自分たちの車で大阪へ向かう準備を始める。トオルの180SXとユウジのS13シルビアをガレージに並べ、荷物を詰め込む。ユウジが「新幹線じゃなく車で行くとか、お前らしいな。まさか大阪までドライブになるとは」と笑うと、トオルは「俺の180SXがケンジさんの車なら、全部取り戻したい。この車で探しに行くのが筋だろ」と真剣に答える。後藤が「高速じゃ無茶すんなよ。道中気をつけな」と見送りに来て、工具箱を渡す。「何かあったら自分で直せ」とぶっきらぼうに言う後藤に、トオルは「ありがとうございます!」と笑顔で返す。
二人は首都高から名神高速へ入り、大阪を目指す。トオルが180SXのハンドルを握り、ユウジがシルビアで並走。窓を開けて風を感じながら、ユウジが「これぞ青春だな! 車で旅してパーツ探すなんて、最高じゃね?」と叫ぶ。トオルは「残りのパーツが見つかったら、この車が本物の緑の180SXになる。ワクワクするよ」と目を輝かせる。途中、サービスエリアで休憩し、書類のコピーを手に計画を立てる。「大阪の中古車店回って、走り屋の噂も聞いてみよう」と意気込む二人。
大阪に到着したトオルとユウジは、夜の道頓堀のネオンを見ながら車を停める。トオルが「ここからだ。ケンジさんのパーツ、見つけ出すぞ」と呟くと、ユウジが「お前なら絶対見つけるよ。俺のシルビアも負けねえように走るからな!」と笑う。180SXとシルビアが並ぶ姿が街の光に映え、遠くの高速道路の音が二人の冒険の始まりを告げる。