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<涼太side>
自分がずっと秘めていた恋心をみんなに暴露した。その場は混乱一色に包まれた。みんな、ひとしきり驚いたあとは案の定言葉を失ってる。
涼「じゃあね、翔太。起きたら電話して。」
ついさっき片思いを終わらせると宣言した相手に、我ながらあっさりと別れを告げた。明日にはきっと、この恋心はさっぱりと全部無くなって、翔太も目を覚ます。
翔『なんか治ったわ~。』
って、ケロッとした顔で事務所に来るだろう。
ゆっくりと立ち上がろうとしたその時、服の裾を引っ張られてバランスを崩しそうになった。
視線を落とすと、そこには俯いた顔で俺の服を掴む翔太の姿があった。
照「翔太!」
康「翔太くん!!!」
大「翔太…っ!」
辰「…しょっぴー……ッ」
ラ「翔太くん…!!」
涼「………えっ、しょ…翔、太…?」
翔「……言うだけ言って…終わりかよ。」
俺を睨みながらそう言う翔太の目尻には涙が溜まっている。
涼「い、いつから起きて……。」
翔「最初から。……なんとなくわかってたよ、涼太が俺にだけ態度違うの。でも気づかないフリしてた。勘違いして傷つきたく無かったから。」
翔太はゆっくりと起き上がって膝立ちの俺の両肩を掴んでじっと見つめてくる。
翔「…勘違いじゃ、無いんだろ。」
涼「うん。好きだよ、翔太のこと。世界で1番。」
翔太があんまり真剣に聞いてくるから、つい本音が漏れていく。
翔「…だったら…ッ!!…ケホッ、ゴホゴホッ…ッハァッ…。」
何かを言いかけた翔太の邪魔をするように、無情にも翔太の口からはリナリアとツルニチニチソウが出てくる。
翔太は俺に手を伸ばし、むせながらも俺を力いっぱい抱きしめた。その手は震えていて、それでも、手を握ろうにも力が強く翔太の腕の中から抜け出せない。
抱き締め返しても翔太の苦しそうな声は止まらない。辛い、苦しい。翔太のそんな声が聞こえた気がした。
この苦しさを止めてあげないと。ただその一心で俺は思い切り力を振り絞って翔太の腕から抜け出すと、翔太に口付けをした。
翔「…うん。もう苦しくない。」
翔太は口を離すと同時に、ふにゃっとした笑顔をして優しい声でそう言った。その笑顔を見た瞬間、考えるよりも先に口が動いていた。
涼「翔太、俺とずっと一緒に居てください。」
翔「…もちろん……っ!」
メンバーが見守る中、俺たちはもう一度強く抱き締めあった。嬉しさだとか安堵だとかで我慢していた涙が止まらない。
翔「…ケホッ。」
翔太は最後にもう一度だけ花を吐いた。
その花は、誰が見ても美しい。
たった一輪の『白銀の百合』だった。
俺と翔太は今日で付き合って3ヶ月。この日を迎えるたびにあの日のことが未だ鮮明に蘇ってくる。
翔太はあの日から花を吐くことは無くなった。
翔「なぁ涼太!疲れた!!」
涼「お疲れ様」
翔「はぁ〜?ちょっと冷たくね〜?」
涼「ふはっ…ふふふっ笑」
翔「何笑ってんだよ!」
涼「いや?…ふふっ…好きだなーって思って。」
翔「…そうかよ……//」
無自覚の恋 《END》