初めてだった。
勇斗と真っ向からぶつかったのは。
いつものように5人で集まり、和気あいあいとしながら話し合っていた。
ライブの構成や衣装、何かを決める時はみんなで集まって話し合うのが俺らのスタイルだった。
その中でも俺はいつも一歩引いて話し合いを見ていた。
どうかと聞かれれば、"みんなに合わせる"の一点張りで。
正直、周りに俺みたいなやつがいたら面倒臭いことは俺も感じている。
だけど、俺が"みんなに合わせる"にはちゃんとした理由があった。
たとえどんな方向に転んでも、コイツらとなら立て直せると思ってるから。
どの道でも絶対いい方向に変えれるって。
だから、勇斗たちにより良いものを出してもらって、俺はそれに従う。
もし仮に違う方向へ転んだとしても俺が支えてやればいい、そう思っていた。
けど、今回は違ったらしい。
いつもよりも難題でみんなが深く頭を悩ませていた。
意見は出るも、なかなか"これ!"というまとまりが出ず、次第に場はピリつき始めた。
勇『俺的には、最初はこれで、中はこれとこれ…最後にこれでまとめればいいんじゃないかなって』
舜「4つもやるん?大変よ?これとこれだけでええと思うけど…」
勇『俺らが楽な道選んでどうすんの?俺たちの目的は来てくれた人を楽しませることでしょ?』
太「まぁまぁ。時間的にみたら3つが限界ちゃう?」
勇『う〜ん…仁人は?』
仁「…俺はみんなに合わせるよ」
勇『みんなに合わせるって…仁人もちゃんと考えて。みんなで決めることなんだからさ』
柔「…じゃあさ、勇ちゃんが言った途中のこれとこれ混ぜちゃえば?二つで一つみたいに」
勇『あー!それいい』
舜「確かに」
太「そしたら、それようの二つ合わせた構成に変えないとだね」
勇『じゃあ、みんなはそれでいい感じ?仁人は?』
仁「だからみんなに合わせるって」
きっとこの発言が良くなかったのだと
後から後悔した。
勇「あのさぁ、前から思ってたんだけど、仁人のそれ"みんなに合わせる"って逃げだかんな?みんなに合わせるって言って全然考えてねぇじゃん。」
仁「いや考えてるよ?」
勇「考えてんならそれ言えって。話し合いなんだから言わなきゃ意味ねぇだろ」
それはそうだけど…
俺だって別に考えてないわけじゃない。
言ったところで、俺の意見はどうせ流されて白紙になるだけだし
俺よりもいい案もってんだから、わざわざ俺が口出すほどでもないなって。
各々の見解があるからか、お互いの言葉が気に食わず、徐々にヒートアップしていった。
仁「別に俺が言わなくたって、いい案でてんでしょ?なら別にみんなに合わせたっていいじゃん」
勇『だから、俺はお前のその考えてないような態度が気に食わねぇの。みんなこうやって一生懸命考えてんのに、1人だけ"みんなに合わせる"なんてただの甘えだろ。』
柔「勇ちゃん落ち着いて…」
仁「甘え…?笑お前らが変な方向に転んだのを助けてやってんのは?俺だよな?」
勇『は…?笑』
2人の距離が一歩一歩近づいていった。
ドンッ
睨み合う中、1mもない間合いでとうとう勇斗が俺の肩を弾いた。
理性が削られていた俺はそれに腹を立て、
勇斗を,,
ドンッ
突き飛ばした
大きな音と共に目の前で勇斗が倒れた。
心配の声をあげて勇斗に近寄る柔太朗
痛そうな表情をする勇斗
俺はその光景を前に立ち尽くした
舜「待って…勇ちゃん,,血でてない…?」
太「目蓋切ったんちゃう?」
柔「タオル持ってくるわ」
ただ一言"ごめん"って言いたかった。
"俺が悪かった"って…
けど、その言葉が喉につっかえて口に出せなかった。
あぁ…やってしまった。
俺はこの日から世界が真っ黒に見えた。
to be continued…
コメント
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悲しい😭