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銀次「あと少しだ」
 目の先には出口が見える。
 (あともう少し、この先に村が)
 出口に着いて初めに見たのは真っ赤な初日の出だった。
綺麗な初日の出に私は心を奪われその神秘さに自然と涙が出てくる。
 栞「こんなに綺麗な景色を見たのは初めて」
 銀次「俺も。それにここは村を一望出来るんだ」
 栞「言われてみれば村が見える」
 上には綺麗な日の出、下には一望出来る村、なんて眺めのいい場所なのだろう。
スマホさえ壊れて無ければ撮れたのに。
 銀次「ここを下れば村に着く行こう」
 栞「はい!………?!」
 その時、私は驚きで愕然とした。
足先がじわじわと消えて小さな光になっていくのだ。慌てて両手を見ると指先も同じ様に消えていってる。
 銀次「栞どうし…!!?」
 私が着いて来てない事に気付き振り返った銀次さんは私の消えかかった身体を見て驚いている。
 栞「銀次さん……私消えちゃうんですかね?」
 恐怖で声が震えてしまう。
あんなに戻りたいと思っていたのに今は消えるのが怖いとと思ってしまう。
 (私は本当に傲慢でわがままだ。けど、まだ一緒にいたい!まだ、消えたくない!)
 栞「まだ、消えたくない…?!」
 腰が抜けそうな私を銀次さんが支えるように抱きしめた。
 銀次「大丈夫、まだ一緒にいるから…」
 銀次さんの腕の中はとても安心する。
お陰で落ち着く事が出来た。
 銀次「ごめん、ごめん栞。実は俺嘘ついてたんだ」
 栞「へ?嘘?」
 銀次さんは私を抱きしめながら話す。
 銀次「本当は店主に言われたの足じゃないんだ。俺が本当に言われたのは『気持ちを素直に伝える事』だったんだ」
 栞「気持ちを素直に……伝える??」
 銀次さんは私から離れて一呼吸し、真っ直ぐに私の目を見つめた。その顔は林檎の様に紅かった。
 銀次「好きだ」
 栞「!!」
 銀次「消えてしまう前に言おうと思って…本当はずっと前から言いたかった。けど言える暇がなかったんだ…」
 (同じだったんだ)
 栞「私も好きです!…けど消えちゃったらもう会えない」
 銀次「じゃあ、これを受け取ってくれないか?」
 手渡したのは綺麗な簪だった。
 銀次「これを俺だと思ってくれ。そしたらずっと栞の傍にいれるだろ」
 栞「ありがとうございます!…一生大事に使います」
 そう言ってる間に身体はどんどん消えていく。
先程に比べて恐怖心は一切無くなっていた。
 栞「銀次さん」
 私はそっと唇にキスをした。
 栞「大好きです」
 銀次「俺も大好きだ」
 銀次さんの手が私の手を優しく握る。
そして私の身体は全て光の泡となって消えた。
私は一生この出来事を忘れはしないだろう
ピピピッッ
 長い夢を見ていたようなそんな感覚だった。
いつものようにアラームを止め、 ベットから出て学校の支度をする。
 (そろそろ髪切ろうかな…)
 長い髪を結びながらふと考える。
 栞「おはようー」
 母「おはよう、朝ごはん出来てるよ」
 朝食を食べながらテレビをつけて朝の天気予報を確認する。
 TV「 今日は一日中強い雨が降るでしょう。雷にも注意して外出してください」
母「最近梅雨でよく雨降るけど朝から雷って大変ね。学校まで送ろうか?」
 栞「いいの?!やったー」
学校に着いて靴箱で靴を履き替える。
(早く着きすぎてあんまり人いないなあ)
靴の数が少ないから一目見て分かる。
教室まで階段を上って行くが人が少ないせいかとても静かだった。
上の階から男子生徒が降りてきてすれ違いざまに荷物がぶつかって落ちてしまった。
?「すみません!」
男子生徒は急いで私の散らばった荷物を拾いだした。
栞「いやいや、私の方こそすみません!ちゃんと前見てなかったから」
私も荷物を拾っていくが明らかに見覚えのない物が落ちていた。
栞「これ……簪?なんでこんなに所に??」
?「それ君のじゃないの?」
栞「いや、これは私のじゃn 」
『私のじゃない』そう言おとして男子生徒の方を見た瞬間一気に思い出した。
長い夢なんかじゃなかった事に気付いて簪をギュッと握る。
男子生徒の顔は銀次さんと瓜二つだったのだ。
栞「ぎ、銀次さん?」
銀次「栞」
私は無我夢中で銀次さんの胸に飛び込んだ。
栞「銀次さんだ〜!!」
銀次「ずっと探してたんだ、栞のことを」
それから銀次さんは私が消えた後の事を話してくれた。
私が消えた後、村に無事到着し村人に助けて貰ったらしい。
その後、その村で一生を経たと。
栞「でも、生まれ変わっても銀次さんでしたね(笑)」
銀次「俺もびっくりしたよ。けど、もしかしたら栞に会えるんじゃないかって思ってな…ずっと探してた」
生まれ変わっても私を思ってくれていることに物凄くドキドキした。
栞「また会えて嬉しいです」
銀次「俺もだ……それと敬語は無しで!」
栞「はい…あっ…うん!」
まだ慣れないがこれから少しづつ慣れて行けば良い。
それから私達はすぐに付き合い始めた。
毎日が幸せでもう離れることは無いだろう。