花は咲く
注意
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俺は昔から、周りより少し優れていた。
mob「らっだぁ!ドッチのチーム俺らと組もうぜ?」
rd 「別にいいけど、」
mob 「なぁ!!らっだぁどんな勉強したら、学年1位なんて取れるんだよ」
rd 「普通にやればできるんじゃない?」
どうして出来ないのか分からなかった。できない、は俺からすればただの言い訳に過ぎなかった。できない。できない。できない。できない。皆口を揃えてそう言うのだ。
そして、理解ができないからこそ、「できない」を軽く口にする人間たちと仲良くなろうとは思わなかった。
だから周りは自分らより優秀な俺を輪から弾き、優秀とされる俺は枠からはみ出したことで自分たちよりも弱いものとして見るようになった。
mob 「なんでもかんでも皆お前と同じように出来ると思うなよ」
「完璧にできる人間なんて居ない。お前は人間なんかじゃない。」
「あの男に近づくと呪がかかる!あいつは鬼なんだ」
ありもしない事実をさも本当の事かのように、ペラペラと流すものだ。
それについて別に傷つきも、悲しくもならなかった。なんなら同情や哀れみをもち相手をしていたくらい。
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高校1年の春。あの日は桜がきらきらと舞っていた。桃色がかったその色を見ては、もうこんなに時が経ったのかと腹立たしく思う。
そんな思いをしまい、やけに広い体育館へと歩いた。
周りは必死に友達を作ろう、もうグループがあるんだと見せつけよう、そんなくだらないとことばかりしている。
それを見ているだけで笑えてくる。滑稽だ。惨めだ。
用意されていた椅子に浅く座り、入学式が始まるのをじっと待つ。その間、体育館を見渡す。
1人の先生がマイク等の機械準備を行っている。あの先生はきっと、機会に強い。
またほかの先生は、入口付近に立ち案内を行っている。あの先生は、声が大きい。ベテランの先生のように見える。
考えなくても良い妄想を勝手に1人していた。
「あの!」目立たないくらいの音量で、でも近くの人には聞こえるくらいの音量で、誰かを呼ぶ隣の席の小さな男子がいた。
「ねえ!きみだよ?きみ!」
「黒髪のきみ!」
黒髪なんてこの近くには・・・
rd 「 え、俺?」
「もう!そうそう!!ね、名前なんて言うの?」
そういってこちらを輝かしい瞳で見てくる。初対面でここまで積極的な人間に会うのは初めてだから、少し話にくい。まぁもともと話すのが得意という訳では無いけど。
rd 「・・・、らっだぁ。」
「らっだぁ?ふーん?君、らっだぁって言うんだ!!いい名前じゃん!」
rd 「そりゃどうも。君は?」
「あ!言ってなかったや。ごめんごめん!俺、ぺいんと!よろしくな!」
rd 「ぺいんと、か。よろしく」
まぁ、どうせこの先「ぺいんと」と名乗るこの男と話す機会などないのだろう。ここまで積極的になれる人間なら簡単に友達というものも作ってしまいそうだ。
そんなことを考えている間に、教頭先生が入学式の開会を告げる。定型のような文を並べて話す教頭があまりにもその人間性を醸し出している。
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