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披露宴(?)も無事に終わり、みんなで酔っ払った翌日。余ったケーキを配って回った。
今が冬でよかった。
もちろん一部の人達に大反対されたが、俺と聖奈さんの意見を採用した。
あんな量のケーキを食べたら糖尿間違いなしだ!
俺はただでさえ痛風真っしぐらなのに。
「妻がご迷惑をお掛けしました。お土産まで頂いてしまって…」
「夫がすみません。普段は酔い潰れることはないのですが…お土産もありがとうございます」
これは朝迎えに来た人達の言葉だ。美人さん二人の旦那さん達は優しそうな、腰が低い人達だった。
組合長の奥さんは怖そうだった。本当に怖いのは帰宅してからなんだろうな。組合長の目が死んでたもん。
みんな飲んだことのないお酒を飲んで、結局酔い潰れなかったのはノンアルコール二人だけだった。
俺も聖奈さんから注がれまくってたのは覚えているけど……気付いたらベッドだった。
聖奈さん含めた女性陣はリリーの部屋で仲良くつぶれていたらしい。
朝確認したら、組合長とマークさんは爺さんの部屋だった。
「えっ?これから行くのか?」
そんな騒々しい朝を過ごして今は昼前。
爺さんとリリーがリリーの里に向かうと伝えてきた。
「そうじゃ。年越しはリリーに家族の元で過ごしてほしくての」
「そうか。まぁ、二人のことだから心配は不要なんだろうけど。じゃあ、お土産に酒でも持っていってくれ」
俺は爺さんに純米大吟醸を渡した。
俺が自由に出来るのは酒くらいだからな。
「すまんの。手土産に迷っておったところじゃった」
「瓶が割れやすいから気を付けてな」
俺たちは二人を玄関で見送った。
「なぁ。こっちでは年越しはどうやって過ごすんだ?」
俺は昼食後のティータイムの時、二人へ質問した。
「そうですね…場所や人によって様々だと思いますが、ウチでは家族揃って初日の出を眺めるのが近年の習わしですね」
流石ミランさん。習わしときたか。
「んー。特にないですね。両親が家にいる珍しい日って感じです」
エリーは興味のないことにはトコトン興味ないな。もう少し世の中を見よっか?
「あっ!でも、水都に来てからは別ですっ!年越しはタダでご飯が食べられるですっ!」
「ん?どういうことだ?」
「なんか、食べ物を飲食店の人が夕方くらいから配り始めますよ?私はそれでお腹いっぱいになれたですっ!」
もしかすると、飲食店は食物に年を越させない習わしでもあるのかもな。
後は単純に慈善活動か。
正月休みはここでもやはり5日のようだな。
その間は行政も飲食店も休まないといけないらしい。
その影響もあり、どうせ食材を捨てるくらいならと、足が早い食べ物を配っているのかもしれない。
5日の間は、兵士以外は必ず休むようだ。ただ、店は閉めないとならないが、雇った従業員をどうするかは特にないらしい。
そりゃあ生活力のない貴族達は使用人がいないと着替えも出来んしな。そんな奴らが作った法なら自分達に不利益なことはせんよな。ここには貴族がいないが。
まぁ、使用人と兵士以外はみんな休みという認識で間違いないようだ。
あれ?そういえば……
「会社はどうなっているんだ?」
「もちろん正月休みだよ。みんなご家庭がそれぞれあるからね。ちなみに29日から5日までだよ」
よし。ホワイトだな!!
ん?あれ?なんかホワイトで引っかかるなぁ。なんか忘れてるような……
なんだっけ?なんか物凄く忘れてはいけないモノだった気がする……
「どうしたの?難しい顔をして。お腹でも痛い?」
「い、いや。ちょっと考え事をな…あっ!?」
やべっ!でかい声出しちゃった!!
「どうしました?」
「わりい。なんでもない。腹一杯で眠いから少し横になってくる」
俺はそう伝えると、リビングから出て寝室へと向かう。
やべー!!今日、クリスマスイブじゃん!!
ミランにサンタの話をしたのを忘れてた!!
『えっ?じゃあ一年間良い子にしていたら、セイさんの世界ではプレゼントが貰えるのですか?それは羨ましいですね』
このミッションは必ず遂行されなければならない。
『今年は初めて一緒にクリスマスを過ごせそうだね!プレゼントは婚姻届が良いけど、今回は別の物でも気持ちが篭っていたら許してあげるよ』
うーん。こっちはどうでもいいかな。
後が面倒だから渡すけど。
エリーには言っていないが、ミランや聖奈さんが伝えている可能性は高い。
何気、チームワークは抜群だからな。特に女性陣は。
良いんだ。いずれハーレム王になればそんなのは当たり前だし!
予習だよ、予習!
「よし。そうと決まれば今日は一人で地球に帰らないとな!聖奈さんは置いていく。どうせ会社も休みにしているだろうからな」
子持ちばかりだから、祝日やイベントの日は休みにしてい ると聞いている。
俺は社長だが、名ばかりの社長だから会社の休みも知らん。
「それよりもプレゼントって何を買えばいいんだ?古い恋愛漫画ならマフラーとか手袋とか…でも、それは女性が贈るモノっぽいな。
ミランとエリーはケーキが一番喜びそうだけど、それはそれだしな。
服は俺が買ったら…変態呼ばわりされそうだな…」
うーん。ミランの趣味がわからんなぁ。エリーは物作りだから…そうだ。あれにしよう。
「よし。二人のプレゼントは決まったな。後はついでの聖奈さんだけど、一番世話になっているからしっかりしたモノをあげないとな。
アクセサリーは前にもあげたし、やっぱり向こうで使うものよりもこっちで使える物の方が嬉しいのかもな?
必要なモノは聖奈さん自身が用意しているから…」
まぁ、向こうで探そう。
夜になり、転移出来る時間を迎えた。
「セイくん。私も向こうに行きたいんだけど良いかな?」
えっ!?用意していないのがバレるやんけ……
「ど、どうした?仕事か?軽い用事なら済ませてくるぞ?」
「ううん。少しメールの返事をしたいのと私用だよ」
私用か…それなら断れないな……
「わかった。エリーとミランは寝てて良いからな?」
「はい。お気をつけて」
「いってらっしゃい」
二人に見送られ、地球へと転移した。
「じゃ、じゃあ俺は出掛けてくるから。2時間くらいで戻ってくるから!」
向こうに着いて早々、着替えた俺は一人出掛けようとするが、それを止める声が掛かる。
「待って。どうせプレゼントを買いに行くんでしょ?」
バレとるぅー!
「私も選びたいから一緒に行くよ。クリスマスデートだねっ!」
「デートって…」
いや、クリスマスイブに若い二人がプレゼントを買いに行くのはデートか……
いや、まぁ、デートと遊びの違いがわかんねぇけど。
「じゃあ、行こうか」
「うん!その前にこれに着替えてね!」
聖奈さんはドレスみたいな服に上着を羽織っている。
確かに俺のカジュアル過ぎる(ユニ◯ロ一式)格好とは合わないか。
「これは…?」
こんな服あったっけ?
「クリスマスプレゼントだよ。どうかな?」
「最高にカッコいいな!」
革ジャンに下はデニムだ。
「ジャケットは本革だから普段着でも向こうでも着れるよ!」
「ありがとう!早速着替えてくる!」
着替えた俺を聖奈さんは笑顔で出迎えてくれた。
「うん!似合ってるよ!行こっか!」
そのまま腕を絡めてきて、俺達はマンションを出た。
普段からこの感じだと絶対に惚れてたな。
今は黒聖奈を見過ぎちゃって……
車に乗った後、聖奈さんが聞いてくる。
「何をプレゼントするのか決めたの?」
「ああ。パズルを買おうと思っている」
そう。ジグソーパズルだ。
「ジグソーパズルかぁ。思いつかなかったなぁ。でも良いと思うよ!ミランちゃんもエリーちゃんも集中力は高いし、異世界の人でもすぐにやり方はわかりそうだもんね!」
「良かった。じゃあ行くか」
どうやらそう大きくは間違っていなかったようだな。
「うん。玩具屋は混んでそうだから覚悟しないとね」
うん。めちゃくちゃ混んでた。
殆どが人気アニメのコーナーだったから、パズルはゆっくり選べたから良いけど。
車に戻った俺は覚悟を決め、すぐに聖奈さんへと謝罪の言葉を述べる。
「ごめん!聖奈のプレゼントをまだ選べていないんだ!」
「いいよ。セイくんが今日はずっと挙動不審だったから、どうせギリギリになってクリスマスに気付いたんだと思ってたから。
半日私へのプレゼントのことを考えてくれていたんだから許そう!」
そう言って笑って許してくれた。
この子はホントに良い子なんだよな。
オタクで思い込みが強くて、何でも思い通りにしようとして。
でも、それは自分の為だけでは決してない。
異世界に夢中過ぎてヤバいときもあるけど、それも愛嬌だと思えば…。
俺は聖奈さんに何か一つでも返すことが出来ているのだろうか?
道行く人達が浮かれている中、俺はそんなことを一人考えていた。
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聖「そう言えば、クリスマスってどう祝うんだ?」
聖奈「女の子達はサンタやトナカイのコスプレをして男を誘惑し、男は女の子に高いプレゼントを買うんだよ!」
聖「それは俺の知ってるクリスマスじゃねーな」
聖奈「クリスマスは祝う気持ちが大切なんだよ。形じゃないの」
聖(高価な贈り物は形じゃない!?)