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うみ
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『何色の薔薇で染めますか?』〜私の白い薔薇を染めるのは〜
第3話『本の読み聞かせで2人仲良く』
ラトを担当執事にしてしばらく経った今日。
今日は2人で書庫に来ていた。
『本の読み聞かせをして欲しい?』
『はい。今日は雨で外に出かけられませんから。屋敷の中で2人きりで過ごしたいんです。』
『2人きりって言っても他の階には執事がいるけど…。』
『書庫なら静かに過ごせます。この本を読んで欲しいです。』
ドサッ。
ラトは何冊か本を持ってくる。
『クスッ。いいよ。読んであげる。』
私は本を広げる。
『昔昔あるところに、一国の王子様とその王子様に仕えるメイドの女の子がいました…。2人は幼なじみで、身分も違いますが、幼い頃から惹かれあっていました…。』
数分後。
『王子様には許嫁がおり、メイドの女の子とは引き離されてしまいました。でも王子様は諦めきれず、メイドの女の子を求め、お城から逃げ出します。』
『…ふふっ。ねぇ、主様。』
『どうしたの?』
『私も……主様と逃げ出したいです。』
『…!』
『貴方が私を選んでくれるのなら……このまま2人きりになれる場所に行きましょう。主様といられるのなら幸せですから。』
『ラト……。』
私は思わず頬を赤らめる。
『つ、続き読むね…。』
『2人は再会を果たし…誰もいない静かな土地で幸せに暮らしました……めでたしめでたし…。』
『いいお話でしたね。ありがとうございました。では次はこのお話をお願いします。』
『う、うん。』
(さっきのラトの話は本心だ。私のことを好きでいてくれて本気で思ってる。私はどうすればいいのかな。)
『主様?どうしましたか?』
『!な、なんでもないの。次はこれ読むね。』
『……。』
『わかった、お前の願いを叶えてやろう。ただし、その綺麗な声を頂くよ。海の魔女は人魚にそう告げ、契約書を書かせました。すると、声を出せなくなってしまったのです。私は声と引替えに綺麗な足を貰いました。』
『王子様に会いに行った人魚姫。だけど、王子様には恋人がいたのです。人魚姫は諦めきれず海辺の石に佇んでいました。もう、このまま死んでしまおうかしら。そのとき、お姉様達が現れました。』
『海に戻ってきて、人魚姫。王子の生き血を足に塗れば人魚に戻れるわ。海の魔女から貰ったこの剣で王子様を殺すのよ。そんな……っ!
私にはできない。愛する人を殺すなんて。』
『人魚姫は王子様の城に向かい…寝室に入り込む。そして……。グサリっ。なんと、王子様の恋人に剣を立ててしまいました。王子を殺すのを失敗した人魚姫は、海の泡となり消えてしまいました。』
『切ないお話ですね…。ねぇ、主様だったらどうしますか?』
『え?』
『愛を貫く為に、王子様とずっと一緒にいたいと願いますか?それとも、恋人を殺して海の泡となる人魚姫の運命を辿りますか?』
『……私だったら…。好きな人が幸せなら諦める。好きな人が幸せでいるなら、私も幸せだから。』
ラトの目を真っ直ぐ見つめ、そう告げた。
『フフッ。お優しいですね。主様。同じ立場なら私はどうしてたでしょうか…。』
『……。』
(私に対するラトの気持ちは本気だ。今もこうして私のことを見つめている。私はその気持ちにまっすぐ応えたい。だけど、誰か一人を特別愛して、選ぶことはすぐには出来ない。)
『次はどれ読もうか。』
私は本を探す。
『主様。』
ラトは私の手を掴む。
『ラト…?』
『どうしたら…主様は私のことを 好きになってくれますか?』
『!』
『私は……あの3人の中で1番あなたのことを思っています。誰にも渡したくないと思ってます。ねぇ、私のことを選んでくれませんか?』
『ラト……。』
一方その頃――。
2階執事部屋
『主様とラトさん書庫で何してるんすかね…。』
『気になるなら行けばいいだろ。』
『ダメっすよ。相手のデートに干渉しないのが約束なんす。フェアじゃないっすから。 』
『書庫は別にデートじゃねぇだろ。そしたらフェネス行けねぇだろ。』
『あはは…2人きりだし邪魔したくないないから少し我慢するよ。その間に仕事するし。』
『そうだぞ、アモンもボスキも仕事してくれ。』
『チッ。今俺は休憩だ。』
『お、俺も今日は雨なんで…。』
『はぁ…全くお前らは…。』
治療室 薬品庫
『ルカス様!片付終わりました!』
『ありがとう、ラムリ君。でもラムリ君もお掃除の仕事があるんじゃない?いいのかい?』
『今はルカス様といたいんです!』
『ふふ、嬉しいけど…主様には会いにいかないの?』
『い、今はラトっちが担当執事でデートしてるので干渉しない決まりなんです!』
『そういえば1週間担当執事にして決めてもらうって言ってたね。』
『はい、公平に勝負しないとダメですから!』
『ふふ、偉いね、ラムリ君。』
別邸1階
『……ふぅ。』
『ユーハンさんどうしたんですか?溜息なんてついて…』
『主様のところに行けないからじゃない?ほら、今勝負してるみたいだし。』
『別に…そういう決まりですから。ただ、寂しくはありますね。』
『まぁまぁそんな顔するなって俺達と花札でもして遊ぼうぜ〜トランプもあるぞ。』
『仕事中ですよ。』
『釣れねぇなぁ。』
『…今はすぐ決められないよ…でも、ちゃんと悩んで、考えて決める。約束。』
私はラトと指切りげんまんする。
『約束…。フフ、分かりました。楽しみにしてます。主様。』
その指を絡めて見つめ合う。
次回
第4話 『月夜に想いを込めた告白を』
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