テラーノベル
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「あなたは魔の妖精と契約を結び、魔法少女になってしまった。…..死ぬまで命を懸けるしかないの。」
あの時のクラスメイト….杉田葉月ちゃんが言った。
「そう…なんだ…」
私がうつむきながら言うと、三年生の水野しおん先輩が軽く肩をたたいてきた。
「魔法少女はつらいこともあるけど、がんばるしかないね。いっしょにがんばろ。」
「ありがとうございます。」
励まされたけれど、葉月ちゃんが言っていた「死ぬまで命を懸けるしかない」という言葉が引っかかって怖くてたまらなかった。
数分後、先生もクラスメイトも意識を取り戻し、学校はもう一度動き出した。
「あ、葉月ちゃん、もう教室戻った方が….」
「いや、だめ。今は先輩魔法少女もいるここが一番安全なの。」
「えっ、でも、もうあいつらは倒したはず…」
「あの生命体….デビルターは、時間がたてば蘇るの。」
「え…..っ」
一分もたたないうちに、人がいるであろう方角から叫び声や荒れる音が聞こえてきた。
「蘇ったみたいなの。さあ、もう一度倒しに行くの。」
「でも倒しても蘇るって….」
「デビルターの硬い殻を割ったら核があるの。その核を破壊すれば完全に消滅するの。」
「じゃあどうしてさっき破壊しなかったの?」
「ダウン状態になっているデビルターは有毒ガスを放っているから、近づいちゃいけないの。」
「そうなんだ…」
「さあ、行くの!」
葉月ちゃんの言葉で、私も含めた魔法少女6人が教室の方に向かって走り出した。
「あたしと迷子は三年の教室のほうにむかうよ。」
しおん先輩がそう言い、迷子先輩と一緒に曲がって行った。
「じゃあ、私と桃花ちゃんは一年のほうに行くの。」
葉月ちゃんが言うと、赤石美波さんが答えた。
「なら私とひかりは二年のほうに行く!」
そうして別れ、私と葉月ちゃんは一年の教室へと向かった。
「ひ…酷い…」
教室のドアを開けた先には残酷な風景が広がっていた。
「…確実にやるの。」
「絶対、やってやる!」
私と葉月ちゃんは飛び出す。
「桃花ちゃん!攻撃を出すときは技名を叫んで攻撃を繰り出すの!」
「承知っ!」
私は試しに、デビルターの殻をたたく。
ゴッ、と鈍い音がしたが、デビルターはびくともしない。
「…っ?!いいよ。やる気ね。」
私がデビルターに向かうと、デビルターも私に向かってきた。
今だ!技名…技名!
「サンダースパークル!」
思いつきの技名を叫ぶと、私の体は黄金の光に包まれた。
私は腕に力を籠め、思い切りデビルターに向かって拳を振り下ろした。
ビリビリ、バキッ!
デビルターの殻が弾け、中の核が見えた。
「今なのっ!」
葉月ちゃんが弓を構えた。
「ナチュラルアローボム!」
物凄いスピードで矢が飛び、デビルターの核に突き刺さり、爆発した。
核はばらばらになって弾け、デビルターは消滅した。
「やったね!葉月ちゃん!」
「こっちはもう安心なの。でも….先輩たちやひかりちゃん達が心配なの。」
「助けに行くしかないね!」
私たちはみんながまだ戦っているであろう別の学年の教室へと走り出した。
腰で結ばれた、魔法少女の象徴であるリボンが少し焼き切れて短くなっていることに、私はまだ気づいていなかった。
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