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私たちは先輩たちのいる三年生の教室へと向かった。
ドアを開けると、ちょうど戦闘が終わったところらしく先輩二人が片づけをしていた。
「こっちは大丈夫そうなの。」
「そうだね。」
そしてそのまま二年生の教室へと向かった。
(デビルター、思ったよりも弱いのね。)
教室に着くと私がドアを開ける。
ドンッ!
「うわっ?!」
その瞬間、私は衝撃派で向かいの壁にたたきつけられていた。
「桃花ちゃん!油断しちゃダメなの!」
「な、何がおこってるの?」
私があたふたしているうちに大きなデビルターが私に向かってきた。
(やばっ、流石にこの距離は無理だ…)
諦めかけた時、大きなデビルターが突然燃え尽きて地面に落ちた。
「加勢して!ビブロターが出現したから!」
美波さんが叫ぶ。どうやら、私を助けてくれたのは美波だったみたい。
「了解なの!ほら桃花ちゃんもなの!」
「はいっ!」
ところでビブロターってなんだろう。
そう思いながら教室に入るとそこにはデビルターとは比べ物にならないほど大きく動きの速い生き物がいた。
私は身に迫る危機を感じ、手を前に出していつでも防げるように構えた。
そうするとすぐにビブロターが回転し、デビルターを大量に出してきた。
「多すぎるっ?!なのっ?!」
私は防ぐのに精一杯で攻撃が全くできなかった。
葉月ちゃんは何度か弓を構えようとしたが、次々にデビルターが突っ込んできて攻撃が通らなかった。
「さすがに強すぎるよっ…」
デビルターをよけきったと思ったら、ビブロター本体が近づいてきた。
「あ….」
私は恐怖でよろけてしまった。なぜか全く力が入らない。
ビブロターが迫ってきているというのに。
「た、たすけて…」
スパっとビブロターの殻が斬られた。
「ひかりちゃん?!」
「桃花、魔力が尽きてる。」
「魔力が、尽きる…?」
「危ないから逃げて、っ!」
デビルターの核を斬ってひかりちゃんが叫ぶ。
(ごめんなさいっ…)
私は逃げた。
音が小さくなり、教室からは物音ひとつ聞こえてこなくなった。
「大丈夫かな…」
恐る恐る教室へ向かうと、ドアが外れて壁にめりこんでいた。
「まさか…だいじょうぶだよね…だいじょうぶだよね…だいじょうぶだよね…」
教室に入ると、ビブロターは消滅し、殻があちこちに転がっていた。
そして、美波さんが倒れていた。
「うそ、」
私はただ絶望するしかなかった。
葉月ちゃんは教室の隅で座り込んでいる。
「は、葉月ちゃん?」
「….。」
その表情が美波さんのすべてを物語っていた。
後ろから足音がして振り返ると、ひかりちゃんが近づいてきていた。
「クラスメイトのみんなや先生は、意識取り戻した。体育館にいるからね」
それだけ告げて戻っていく。
「葉月ちゃん、行こう」
「…..わかったの。」
私たちが教室から出た瞬間、葉月ちゃんが泣きながら抱きついてきた。
「もう、失いたくない。桃花ちゃんも、絶対にいなくならないでほしい」
「葉月ちゃん…?」
「私、あの時何もできなかった。美波さんのことを手当てすることもできなかった。」
「そう、だったんだ…」
返す言葉がなく、ただ返事をするしかない。
「私はいつもこう…魔法少女なんて、なりたくなかったのに!」
「魔法少女……。」
私はつぶやく。
憧れって何だろう。平凡が何よりの幸せだって、どうして気づけなかったんだろう。そして、失ってはじめて気づくなんて、私はどれだけ無力なんだろう。
そんな考えが頭をめぐり、私まで泣いてしまった。
魔法少女になって..しまった人たちは今何を考えているのだろうか。満足しているのだろうか。
そして、美波ちゃんはどうしてこんな…..。
重い代償に涙が止まらなかった。