テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
数日後…
そんなこんなで新居決定からの引越し準備が始まった。
まず必要な家具家電をリストアップし購入するものを調べた。
ハルが選ぶものはどれも可愛い物ばかりで見ているだけで癒される、主にハルに。
「ねぇねぇ!これなんてどう?」
「それ前も買ったしそんなにたくさんあっても邪魔だろ」
「いいじゃん別にー!それに僕のお気に入りなの!」
「ハイハイ」
そんな感じでワイワイ騒ぎながら進めていく作業も存外楽しいものだと感じる自分がいた。
◆◇◆◇
荷造りが終わり、玄関でダンボールを抱えたハルの背中を見て見送ろうとすると
ハルはドアノブに手をかけたところで
「そうそう、あっちゃん」と思い出したかのように足を止めて俺の方に振り返った。
「最後にサプライズとしてひとつ教えておきたいことがあるんだよね♪」
「ん?なんだよ?」
「僕、実はあっちゃんのお隣さんになるんだよね」
「は……っ?お隣?」
突然の報告に理解が追いつかない。
「だってお前の決めた家って、駅近5分の1Rじゃ…」
混乱しているうちにハルは得意げな笑みを浮かべながら話を続ける。
「うん、本当はあそこがいいなぁって思ってたんだけど…やっぱ辞めたの。あっちゃんのせいだからね?」
「は?俺のせいってなにが…」
「だって……あっちゃんがあんなキスして…俺のお前に対する意思表示だとか言うから…っ」
「おまっ、それ…!記憶ないって嘘だったのかよ…?!」
愕然としたまま声が出ずに固まってしまう。
するとハルは悪戯っぽく舌を出して
「まぁね♪」
と言った後、続けて言葉を紡ぐ。
「……それで気づいたんだ。僕、あっちゃんと一緒がいいって」
「……!」
「…勝手すぎるかもしれないけど…あのときのキスが遊びだとか、そういうのじゃないなら…僕、その…っ、あっちゃんと…恋愛、してみたく───」
ハルの告白が最後まで紡がれる前に、俺の体は勝手に動いていた。
遮るように両腕でハルを強く抱きしめた。
細い背中が軋みそうなほど。
その拍子にハルの手からダンボール箱が滑り落ちた。
「ちょっ──あっちゃん」
抗議の声をあげるハルだが、俺は力を緩めない。
腕の中で暴れる華奢な体を抱き留めながら、目線を合わせれば、今度は俺から熱烈なキスを贈った。
「んっ……ふぁ……あっ、ちゃ」
絡み合う吐息と唾液の音。初めてではない甘く切ない感覚。
何度も角度を変えながらお互いを求め合えば思考回路など簡単にショートしてしまいそうだ。
「はぁ……ハル」
一旦唇を離して耳元に吹き込むように囁けば、ハルの肩がビクリと跳ね上がった。
「なあ……もう一回言ってくれよ」
「……え?」
「今さっきの言葉だよ」
ハルの瞳が戸惑うように揺れる。頬に触れれば火照っていて熱い。
「……あっちゃんと……恋愛したいって……言ったんだよ……あっちゃんが本気だったら……ね」
そう言い切った直後、羞恥心に耐えかねたのかハルは再び俺の胸板に顔を埋めた。
「…お前の大好きなクズ男どもと一緒にすんじゃねぇ」
「べ、別にそんなんじゃ……!」
ハルの柔らかい髪を撫でながら苦笑した後、ハルは不安げに聞いてくる。
「…っ、でも、あっちゃん……本当に、僕でいいの…?」
「こちとらお前に15年も片想いしてきたんだ、舐めんな」
「……え?!じ、じゅうごねん?!」
驚いて顔を上げたハルの大きな瞳が俺を見つめる。
俺はハルの左手を取り薬指にチュッと軽く口づけをした。
「あぁ。高校の頃辻をボコったのだって……あんなクズ野郎に渡したくなかったからだし、元カレもそうだ。お前を不幸にさせるような奴に渡すつもりはない」
「……!…ずっと僕のこと気にかけてくれてたのも…そういう、こと?」
「それ以外に何があんだよ、ただの男友達にここまでしねぇよ」
「あっちゃん……っ」
「で?散々色んな家見てたくせに、あんなキス程度で俺の隣の家に越してくるとか…期待してもいいんだろ?」
ハルが潤んだ瞳のまま真っ直ぐに見つめてくる。
「…うんっ、あっちゃんなら…ううん、あっちゃんじゃないと…やだ」
そしてゆっくりと顔を傾けながら目を瞑った。
キス待ち顔。
それを合図に俺は迷わずハルの唇に自身のを重ねた。
◆◇◆◇
その後、荷物を新居に運び入れ終えた頃合いを見計らい俺たちは再びキスを交わしていた。
「あっちゃん……もっと、したい」
強請ってくるハルはすっかり蕩けきった表情になっている。
そんな姿に興奮を煽られた俺は更に激しく舌を絡ませた。
「んっ……ふぅ…」
粘膜同士が絡まり合う卑猥な水音が部屋中に響く。
ハルの舌先を吸ったり歯列をなぞったりして弄ぶ度に小さく喘ぐ姿が堪らなく愛おしいと思う反面
嗜虐心を擽られる感覚に陥る。
「ハル……そろそろヤバいから一旦やめ──」
言いかけてやめたのは、ハルの股間の膨らみに気付いてしまったから。
布越しに形を確認するように撫ぜるとビクンッと跳ね上がり可愛い声で啼く。
「ひゃうっ!?あ、あっちゃんのえっち…っ!」
「ハルの方がえっちだろ……こんな勃たせておいて」
────────…
壁際に追い詰めたハルの背中が壁にぶつかる鈍い音が響く。
逃げ場を失った華奢な体を覆うように俺の影を落とす。