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目の前には、陸華が居る。
そう、目の前に居るのだ。私の中ではなく。
「だ、誰?!」
典華と陸華の声が重なる。
「も、もしかして、軍艦島か?」
愛華が恐る恐るといったように私に尋ねる。
「、、」
たった一言、「うん」と答えようとしただけなのに、声が出にくい。
きっと、できたばかりの体だから、声も出しにくくて、体も動かしにくいんだ。私はそう思って、首を縦に振る。身振りで会話ができるなんて、喜びしかない。
いや、そうも簡単に喜ぶこともできないのかもしれない。
まぁ、そんな事、今はどうでもいい。
「り、っか。わらっ、て、」
精一杯の笑顔を浮かべて、陸華にここ十数年言いたかった言葉を伝える。
「っ!うん!」
私の言葉に陸華は満面の笑みで返してくれた。私が陸華とした初めての会話。一番嬉しかった瞬時。