テラーノベル
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腐ってるかどうか怪しいライン
これが腐ってる判定されるならcishp
軍パロ
何でもあり
その他諸々
それではいてら
チーノ、猫集会行こうぜ
「…???」
チーノside
眼の前にはいつもの紫と白のラインの入ったヘルメット…
ではなく、少しアホ毛が立っている、ふわっとした栗色の頭
ふわりと香る柔軟剤に、いつものバイク用のジャケットとは違う
薄手の大きなコートが似合う落ち着いた服装
普段寝袋姿で蠢いているとは思えないほどしゃんとめかしこんでいる
今日は軍基地を抜け出して城下町
それも入り組んだ路地の方に来ていた
少し下にある顔を見ると、いつもの無表情と冷たい目に今日は少し赤みがさしている気がする
俺よりも賢くて強かな姿とまったく違う
やっぱり彼も子供なんだなってことを実感した
それにしてもだ…
「あの‥ショッピさん?」
「ん?」
名前を呼ぶと、短く返事をしてくれた
「俺は一体何をしに行くんですかね〜?」
「だから言ってんじゃん。猫集会」
「それって猫同士の集会やろ?人間である俺とショッピが行く理由は何よ?」
すっと無言になり、ただ前を歩くだけの機械と化したショッピ
表情も”無”としか形容できない物だ
まって、なんでそこの説明くれないの?
歩いていこごとに暗くなっていく路地は少し不気味
あたりに感じる鋭い気配も恐ろしい
なにより、同期の彼が何も言わず、のうのう、すたすたとこの中を歩いているのがまた怖い
え?なに?俺この先で何されんの?
「ついた」
そう短く呟いた彼の先には
先の路地裏の先とは思えないほど暖かく柔らかな空間
まるで人間が滅んだ後の世界のようにツタやしだれ草で覆われたビル壁
穏やかに陽の光が差し込む草原の上には
茶色、白、黒、グレー‥沢山の猫たちが穏やかに交流をしていた
「やっほ、遅れてごめん」
まるで当たり前かのようにその輪に入っていき、何やら会話を始めてしまったショッピ
「うん、今日は友達も連れてきた。大丈夫、ちょっとアホだけどいいやつだから」
見たことがないほど穏やかで優しげのある慈愛に満ちた声
お前‥そんな声出せたんだな…
元から甘く退廃的で美しい声に磨きがかかっている気がする
コレで女の子とか口説いたら絶対モテるだろ…
「チーノ、」
そう言ってずっと入口でぼーっとしていた俺を手招きして呼ぶ
言われるがままにショッピの隣に座り
どうすればいいかとちらりとショッピの顔を見る
「挨拶、」
端的に最適解を返してくれた同期にお礼を言いながら
「えっと‥ショッピの友達のチーノです?」
そう言うと、眼の前の猫がにゃーにゃーと鳴き出した
「いつも集会を開いたりしてる、猫会のナンバーワンだよ」
そうショッピが補足をするように続けて言うが、何も解らない
「いや俺言葉が…」
そうおずおずと言うと
ああ、と言ってポケットから一つの機械を取り出した
「相手方には言葉は伝わってるから、ちっちはコレ使って」
差し出されたのは手のひらサイズの丸い機械
見た目はたま◯っちとそう変わりない
「ネコリンガル。コレを使えば猫の言葉がわかるで」
そう手渡されたものは少しずっしりしていて
見た目はよく見ると不格好なのが解った
「…お前最近徹夜気味やったのコレやろ…?」
ガチャガチャと聞こえる此奴の自室をなんど通ったか
「……。」
真顔でこちらを見て、何も答えない
さては図星をさされるとだんまりだな此奴は
仕方無しに起動してみると
すぐに18ビットの画面の真ん中にネコ…そして端の方にはいつぞやのAIショッピの顔
真ん中に鎮座しているネコのボタンを押すと
『はじめまして、この地域一帯のネコ会長をしております。寅次郎ですじゃ』
そうAIショッピが言うように表示された
お前が言うんかいというツッコミの前にしっかりと起動された
かつちゃんと言葉がわかるというところに感嘆の声をもらす
「会長、今日はチーノのこと許してくれてありがとう。これ持ってきたよ」
そう言うと、ショッピはどこからともなく猫缶と液状おやつを取り出した
『おお、助かるの…皆に平等に配っておくれ』
「そんなの言われなくても解ってるよ。ちゃんと子猫達の分まであるし」
嘘だろ…?出会ってもうそろそろ10年…
お前にそんな思いやりがあるところなんて片手で事足りるぞ…?
普段の悪魔のような人の不幸で悦に浸った悪い笑顔とは違う
まるで憑き物が落ちきったような爽やかな顔…
確かに此奴のあだ名はクソ猫だが…
普通、ここまで猫だとは思わないだろう
『それじゃあ…始めるかのぅ…』
そう寅次郎が言うと、高らかに鳴いた
あたりからぞろぞろとさっきまでいた猫よりも圧倒的に多い数が現れた
「えぇ…!?」
思わず声が漏れるほどの猫、猫、猫
「やっほ、遅れてごめん、おやつだよ」
そう言ってショッピが液状おやつを開けて見せびらかすように振る
おやつの開け口に合わせて猫全員の頭が動いてシンクロしていて
ちょっとシュールだ
ゆっくりとおやつを下ろすと一斉に猫たちが集まってくる
猫たちが液状のおやつを美味しそうに貪りながらなにかうにゃうにゃと鳴いている
突然、ネコリンガルが揺れた
画面を見ると、やっぱりショッピが喋っている
『おやつだー』
『いつもありがとー』
なんて微笑ましい
ニヤニヤしながら視線をネコリンガルとネコとを行き来させる
たくさんのネコが鳴く
ネコリンガルがたくさん反応する
あっという間に流れていく言葉の一つに”姫”という単語が出てきた
よく見えなかったから確信はないけど
何故かその文字だけがやけに胸に引っかかった
「チーノ?」
そう俺を呼ぶショッピ
俺は思考を止め、猫と戯れるショッピのもとに行った
遊んでいると、気がつけば真上だった太陽が傾き始めていた
「……ありがとう。チーノ」
ショッピが改まった顔でこちらに向かってそういう
「?いや、なんでそんな改まって‥」
そう聞くと、ショッピの頭からぴょこんと茶色の猫耳が生えた
驚いて声も出ない
そんな俺を少し憂い気な瞳で見つめながら。ショッピは立ち上がる
「俺はもう軍には戻れない…」
陽の光に照らされ、ショッピの猫耳が反射で紫の光を纏った
「この猫たちの女王になんねん…本当は何も言わずに消えるつもりやったんやけど、チーノだけには言わんとなって思ってな…」
そう言ってショッピは肩に乗った猫を愛おしげに撫でる
色々ツッコみどころがあるのは重々承知の上だが
俺はこの瞬間、確かに焦りしか感じていなかった
ショッピが軍からいなくなる
それだけがただひたすらに嫌だった
もうそれ以外考えられないほどに
野良猫風情に、俺の大切な仲間が連れて行かれるのがどうしても許せなかった
足が動かない、声も出ない
唖然、焦燥
そうとしか形容ができなかった
「今までありがとう。楽しかったで。チーノ」
そう言って紫のコートを翻し、彼は路地に消えていく
嗚呼、めかしこんだのは猫のためか
俺を呼んだのは、みんなへの伝言役か
たくさんの猫を引き連れて消えた背を、腕を伸ばして掴もうとする
その手は、当たり前のように空を切った
待って、いかないで
俺は…お前が居ないと…
去る相棒に叫ぶ
___________________________
「待って!!!」
そう叫びながら俺は飛び起きた
パジャマがじっとりと嫌な汗で冷えて少し寒気すらする
夢かどうかを確認する間もなく、俺は部屋を飛び出した
靴も履かず、寝間着のまま、眼鏡だけ引っ掴んだ
すぐとなりのショッピの部屋
ドアを押し開け部屋の中に転がり込んでいく
紫を基調とされた彼の部屋は物の配置は粗雑ながらも最低限整頓されていて、清潔感はある
だが、居ない
彼自身はどこにもいない
視界の端に、猫グッズが捉えられた
またあの光景が思い出されて胸の内の焦りは募るばかり
ショッピの部屋も飛び出し、宿舎内を捜索し始める
息をつく暇もなく走り抜けていると
ふと、眼の前からコネシマさんが歩いてくるのを見つけた
「コネシマさん!!ショッピッ!ショッピ知りませんッッ!?」
自分でも気づかないくらい息があがっていて、喋るのも辛い
あまりの必死さと、俺の姿を見て、コネシマさんが苦笑いといった様子で言う
「しょっぴくん?あ〜‥さっき中庭で猫と戯れとんの見たで」
猫
その一単語に俺は激昂した
「てかチーノ…そない格好でどうしたッッて!おいチーノォォ!??!?!??!」
耳がつんざけそうな程の俺を呼ぶ叫び声
まぁそうか
ここ3階だし
直ぐ側の窓から飛び降りればビビられるか
この先は中庭
そのまま着地しようと下を見ると
眼の前には木の葉
「う、」
わぁぁぁ!!!
叫び切る前に木に盛大にぶつかる
枝や葉に阻まれて、色んなところを打ち付けながら
下へ下へと落ちていく
地面に尻餅をつくころには
俺の寝間着はボロボロで、どこもかしこも木の葉まみれ
体中が痛くて、眼鏡も飛んでったから視界も最悪だ
どうして俺はこんなに格好がつかないんだろう
「…チーノ?」
いつもと変わらぬ声が聞こえる
「ショッピ!!!!」
思ったよりも大きい声が出た自分に驚きつつも
眼の前の紫の塊をちゃんと見ようとメガネを探す
すると不意に目の前になにかが差し出された
手に取ると、俺のメガネ
それをかけると、差し出してくれたのはショッピ本人で
いつものヘルメットに、いつものジャケット、いつものゴーグル
何一つ変わっていない彼の姿
「良かった…」
そう彼のかたを抱いて、安堵のため息を付いた
「あ”っはっはっはwww!!」
もはや珍しくすらなくなった口角をにゅっと上げての大笑いをするショッピに躍起になって言う
「こっちガチで焦ったんやぞ!?」
「いやチーノアホすぎやろww!!なんやねん女王ってw!!俺男やしww!!」
ムカムカするが、確かにツッコミどころが多くて
大変おもしろい夢だった
「あ〜もうおかしいわ…ww…ほら、医務室行こ、その打撲どうにかしてもらわな」
そう言ってこちらに背を向けてしゃがむショッピ
俺が歩きたくないのを察したのかは、知らない
「んじゃ、お言葉に甘えて〜」
それでもそう言って、薄い割にしっかりとした背中に乗った
「ショッピ号しゅっぱーつ!」
そう高らかに言うと
「よっしゃ〜振り落としてやる〜」
そう気だるげな声と共に、スピードが上がる
朝も早い軍基地に
二人の無邪気な声が響いた
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