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虚
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#カンヒュイラスト
#イラスト
すず
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僕は父親が大嫌いだった
あいつの名はフランス王朝
イングランドとよく言い争っていたのを覚えている
それなのに仲良しな時もあって、不思議に思えた
だから、僕らもそんな関係性だった
言い合って、喧嘩して、それでも仲良しで
でも…初めて会ったときに、なるべく胸を張って、堂々としていたイギリスは かっこいいなんて思ってしまってはいたんだ
…それは、その時はその場限りの思いだったけれど
本気で好きになったのは、もっと先
あぁ、あの時のイギリスはかっこよかったなぁ…
僕がフランス王朝を嫌いなのには訳がある
「ほんっとにさ…」
鏡に映るのは、贅沢に絹を使った華やかな柄のドレスを着た自分
「似合ってるよ、フランスちゃん」
「…狂ってるよ、お前」
名前を呼ぶたびに何度もちゃん付けされて、もはや言い返すのが疲れてきて、呆れたようにそう言った
それに褒めてもらった子供のように笑うあいつに腹が立つ
彼の頭の良さは理解しているつもりだが、こういうところはよく分からない
普通の趣味じゃ飽き足りないのだろうか
貴族ってのは頭のおかしい連中だ
そのドレスだけでも嫌だってのに、フランス王朝はリボンやレースをつけてきた
僕は女じゃないってのに…
そうやって恨めしい気持ちで、鏡の自分を睨んでいた
造花なんかもドレスにつけてきて、装飾が多すぎる気がする
ドレスの柄も華やかなものだけれど、他の装飾もつけて、綺麗にまとまっているのが不思議でならない
…腹が立つが、こいつが着付けが上手いとでもしておこうか
「…よし、これで完成だ」
そうやって言われて、鏡に映った自分から顔を逸らす
フランス王朝の顔を一瞬見て、そのあと足元を眺めていた
「可愛いなぁ…」
「は?気持ち悪…」
可愛いなんて言うなよ、そんな気持ちで言い返した
けれど、あいつはどうせ笑うだけで、その度に殺したいと思うものだ
僕だってやる時はやるんだからな
「あ、そうだ。今日はイングが来てくれるんだよ」
「…は?」
…ということは、イギリスが来るってこと?
こんな姿見られたら、絶対に揶揄われるじゃん…
「なんでわざわざ今日にこんなことしたのさ!?」
フランス王朝に掴みかかろうと手を伸ばすと、お気楽にこいつはこうやって言った
「だってイングに見せる予定で…」
「私のこと呼びました?」
そのあとに、そんな声が聞こえた
ばっと声がした方を振り向くと、部屋の出入り口にイングランドとイギリスが佇んでいた
いつの間に…
そう思っていると、イギリスが僕に近づいてきた
行き場をなくした僕の手を、優しく掴んで、流れるようにチュッとキスをしてきて…
「あまり粗相を起こすものじゃありませんよ、お嬢さん?」
そして…そんなことを言われた
ドクンと胸が跳ねて、口を開けたら心臓が飛び出てきそうで、 つい言葉が出てこない
かっこいい…、それ以外になにも思えなかった
「…そこまででいいですよ、イギリス」
そんな声が頭を抜けていった
なにが…?ぼんやりした頭がそう思うと、イギリスがすっと離れていくのが見えた
助かったと言うべきか、物足りなかったと言うべきか…
「…そう、どこまでも息子が可愛いんだね、イングランド」
僕の前にフランス王朝が立って、そう言った
「えぇ、貴方を組み敷かないといけませんから、教育は入念に…ね?」
それに目を細めて、うすら笑って、イングランドは言った
イギリスの肩を持っていて、それでか背が高く見えた
バチバチッと火花が散ったのを感じた
でも、そんなことはあんまり気にしなくて、僕はイギリスを見つめた
イギリスは目を逸らしていたけれど、自分と目が合うと軽く苦笑を浮かべた
それが堪らなく嬉しくて、自分も笑みを返した
ガタン、ゴトン…
うつらうつらと汽車に乗っている感覚が戻ってくる
…あぁ、夢でも見てたのかな?
「イギリスのこと好きでもなんでもないって分かったはずなのにな…」
呆れたような声色でそうこぼす
それなのに、一回くらい告白はしてみたくって、そんな想いが胸に溢れてやまなかった
「…仕方ないな」
告白してもダメだったら、きっぱり諦めれるだろう
さっさとこんな想い手放したいんだ