テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ちょむ
382
141
今日は、私だけを見て欲しい
二人は文化祭の出し物を見て回った。
ゲームをしたり、展示を見たり。
ふうかは何を見ても楽しそうに笑う。
「先輩、見てください!」
「はい?」
「これ、すごく可愛い!」
「本当ですね」
「こっちも見てみましょう!」
「ええ」
気づけば、ベリアンも自然と笑っていた。
けれど、途中でふうかが別の男子生徒に呼ばれた。
「ふうか、ちょっと手伝って!」
「今行く!」
ふうかが離れようとする。
そのとき――。
ベリアンが、ふうかの袖をそっとつまんだ。
「……先輩?」
「すみません」
ベリアンはすぐに手を離す。
「……もう少しだけ、ここにいていただけませんか?」
「……」
ふうかは驚いた。
ベリアンがこんな風に引き止めるのは初めてだった。
「先輩……もしかして」
「はい」
ベリアンは困ったように笑った。
「嫉妬しています」
「……!」
ふうかの頬が赤くなる。
「今日、あなたが他の方と楽しそうにしているのを何度も見てしまって」
「……」
「分かっているんです。私がこんなことで嫉妬するのは、少し困ったことだと」
ベリアンはふうかを見つめた。
「でも……」
一瞬だけ、声が小さくなる。
「今日くらいは、私だけを見ていてほしいと思ってしまいました」
ふうかの胸が、どきっとした。
「先輩……」
「困らせてしまいましたね」
「ううん」
ふうかは首を横に振る。
「……嬉しいです」
「え?」
「先輩が私のことを、それだけ大切に思ってくれてるって分かるから」
ベリアンは目を丸くした。
そして――。
「……それは、少し反則ですね」
「え?」
「そんなことを言われたら、もっとあなたを独り占めしたくなってしまいます」
「……!」
ふうかは顔を真っ赤にした。
コメント
1件
いやー、もう最高でした🔥 いつもクールなベリアン先輩が嫉妬して袖つまむところ、めっちゃ可愛かったし「今日くらいは私だけを見ていてほしい」って言葉がグッときた…! 素直じゃないのに本音が出ちゃう感じ、たまらんですね。ふうかちゃんの「嬉しいです」も良かったなあ。二人の距離が縮まる瞬間が丁寧に描かれてて、続きが気になりすぎます!