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無自覚で恋してる😻と分からせ🍅
「勇馬ってさ、なんで俺にだけやさしいの?」
リビングのソファ、並んで座っていた愁斗が、不意にテレビから視線を外して俺を覗き込んできた。
さっきまで、今日あった出来事を楽しそうに話していたはずなのに。急に真剣なトーンになった愁斗に、俺は少し面食らいながらも、手に持っていたコップをテーブルに置いた。
「は……? 何、急に」
「だって、勇馬、他のみんなにはあんなにツンツンしてるのに。俺がこうやってずっと喋ってても、嫌な顔しないで笑って聞いてくれるじゃん」
愁斗の瞳が、じっと俺を捉える。
そんなの、考えたこともなかった。ただ、愁斗が隣にいるのは俺にとって当たり前のことで、こいつの楽しそうな声を聞いている時間は、何よりも落ち着くから。
俺は深い考えもせず、心に浮かんだままの答えを口にした。
「……別に、そんな深い理由ねーよ。……まあ、好きだからじゃね? 」
俺にとっては、息をするのと同じくらい自然な言葉だった。
仲がいいから。一番の親友だから。だから「好き」。
……だけど、次の瞬間。
「…………勇馬」
愁斗の手が、俺の首筋に滑り込んできた。
ひやりとした指先の感触に、心臓が跳ねる。
「……今、なんて言った?」
「え……? だから、好きだからって……」
「それ、どういう意味で言ってるのか、分かって言ってる?」
愁斗の顔が、ぐいっと近づく。
鼻先が触れそうな距離。俺を閉じ込めるように、愁斗のもう片方の手がソファの背もたれにつかれた。
「っ、……え、どういう意味って……」
「俺が言ってるのは、友達として『気が合う』なんて、そんな可愛い話じゃないんだけど」
愁斗の低い声が、鼓膜を直接揺らす。
あいつの瞳の中には、見たこともないような熱い色が宿っていて、俺は逃げ出すこともできずにただ固まった。
「……あ、……っ」
愁斗の指先が、俺の耳たぶを優しくなぞる。
その瞬間、脳の奥に直接熱が伝わったみたいに、今まで隠してきた……いや、気づかないふりをしてきた感情が、一気に溢れ出した。
あいつが他の誰かと笑っていると、胸の奥がざわつくこと。
あいつの声をもっと近くで聞いていたいと思うこと。
今、この距離で、あいつの唇から目が離せないこと。
「……気づいた? ……勇馬が俺にだけ優しいのは、……俺に、恋してるからだよ」
「……っ……、ぁ……」
俺の「好き」という言葉の定義が、愁斗の手によって、ドロドロに溶かされて書き換えられていく。
俺は真っ赤な顔で、ただ熱に浮かされたように愁斗を見つめることしかできなかった。
「……教えてあげる。勇馬のその『好き』が、どんな熱を持ってるのか」
愁斗は満足げに、そして優しく微笑むと、呆然と固まる俺の唇を、逃がさないように深く奪った。
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