テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#鬱展開
Mist-404
963
MIRAN@📢なつーー!!!
1,749
#日常系
⭐︎𖤐エウロパ✩.*
263
あまみず @ 低 浮
8,151
…あら?もう来てくださったんですか?いえ、znkps様がお亡くなりになられましたので、読むのが億劫になってしまったのでは、と思い…。…え?慣れてる?……?…!あぁ、そういえば仲春様は容赦のないお方ですもんね…。なるほど…。いえいえ。また、お会いできて嬉しい限りですよ。…改めまして。お手を拝借。ちょうど、幕が上がるところですよ。
…?おや、先客が。けれど、あの方に案内をする必要は無いみたいですね。何か、悪さをしなければ良いのですが…。
余計な話をしてしまいましたね。それでは、行ってらっしゃいませ。
…席に座る。その物語を見るために。隣には相変わらずの神がポップコーン片手に見ていた。ここは何ルートなのだろう?いや、私がこの世界にいない時点で、そういうのではない、分かっているが長年の癖はそう簡単には抜けない。はぁ、とひとつため息をついて私はその物語を見届けることにする。なーに、ただの余興だ。数年前に終えた、Sルート。次のルートまでの息抜きと思えばいい。私は、長い瞬きの後、スクリーンに視線を移した。
しんと静まり返ったその部屋で、私は1人、ベッドに横たわる。いつもなら、隣から私を呼ぶ声が聞こえるのに、もう、聞こえない。いつも、もふもふで溢れた部屋は、既に殺風景へと変わってしまった。頭がぼーっとする。何も考えれないし、考えたくもない。けれど、起きなければならない。何故ならば、私は軍隊に所属したただの軍人でしかないから。喉は、まだ仕事をしていないというのに乾きを訴える。…どうせ、この後着替えて訓練するだけ。別に、飲まなくてもいいだろ。そう思っては見たものの、喉の訴えには勝てず、渋々洗面所へと向かう。こんな、些細な行動すらも面倒だと感じてしまっては、何も出来なくなってしまう。頭ではわかっていても、どうも脳はシャキッとしない。流されるがままに、ぼーっと行動に移して、そして、着替える。いつものルーティンをなぞるかのような、脳が何かをすることは拒んでも、習慣というものは恐ろしいもので、いつの間にか身支度を終えて、部屋から出ようとしていた。
けれど、今日はいつもと違って、1度振り返り部屋を見渡す。キラキラ輝いていた部屋が、今はどんより、くらい影を落とす。心做しか、照明も暗くなってしまった気がする。…何より、声が聞こえない。znの、拙い話し方の声が。───あの子は、私より年下だった。こんなところにいなければ後何十年も生きられたのだろうか?この軍隊で1年生きていればベテラン。そんな話をどこかで聞いた気がする。znは、ベテランになれなかった。それだけ、と言われらばそれだけなのかもしれない。そんな、無茶苦茶な理論を立てないと私の心が壊れてしまう気がして。
「…なんて、ね。」
そんな一言を呟いて、再びドアに向きなおる。そして、ドアノブを捻る。
しかし、私がそれに触れるより前にドアが開く。普通ならありえない。けれど、正面を見ればその理由は納得に足るものだった。
「───おっはよー!gso!」
いつもの陽気な挨拶とともに、hn先輩は私を出迎える。けれど、迎えに来られたのは久々だった。迎えに来られる時は基本任務の時くらいなものだ。───私の心臓が大きく音を鳴らしながら鼓動が早くなっていく。怖気付いてしまったのだろうか?znの死を目の当たりにして。もしかしたら、次の任務で命を落としてしまうのでは?と。死にたくない。その気持ちが色褪せることはない。けれど、それでも行かないと、という使命感があった。何を勘違いしたのか、znの仇を取らなければならない、と思ってしまったのかもしれない。それとも、命知らずのバカになってしまったのか。しかし、その理由が私を前へと突き動かしてくれる───
「ご飯、食べに行こ?」
「…へ?」
「いやー!食堂で食べるの久しぶり!美味しいねー!」
「え、あ、はい…。そう、ですね?」
軍の基地の一室。そこにはこじんまりとした食堂があった。先輩に言われるがままに私は朝食セットを、先輩はオムライスを頼んで向き合って食べていた。ベーコンに目玉焼き、ブロッコリーにポテト。なんとも珍しい食材ばかりだった。どれもこれもあまり見かけたことの無いもので食べ方に戸惑いつつもテキトーにフォークを使い、食べ進める。先輩はスプーンで大口でオムライスを頬張っていく。美味しそうに食べる先輩に和みつつも突然呼ばれた食事に脳内にはてなマークを浮かべる。昼食を共に食べることは多いが、朝食は各自でとったり、抜いたりすることが多い。ので、尚更この現状が理解できていなかった。そんなことを考えていると、先輩に声をかける人がいた。
「あれ、hn?ひさしぶりですね。」
「ん〜?んぐっ。mzrじゃん!久しぶりー!」
先輩は、口の中に入っていたオムライスを飲み込みつつ、声をかけてきた人に手を振る。mzr、というコードネームに恥じない雪色の髪を持ち、一目見ただけでもわかるスタイルの良さと、顔の良さ。黒くまとめられた服装に、その髪は良く映えておりまるで精霊を見ているかのような気分になる。ふわっと舞うロングの髪と、前髪に隠されながらも存在感の強い氷のように透き通った瞳が先輩を真っ直ぐ見据えていた。そして、もう1人、mzrさんとは違い、身長が低めの女の子。白色と紫のグラデーションの髪をふたつに束ねたツインテールを揺らし、少し強気な瞳にはmzrさんとはまた少し違う明るい水色の瞳が私を真っ直ぐ見つめていた。
ふたりが隣にいると、尚更mzrさんの身長の高さが際立っていた。
「えと、先輩。この方々は…?」
ジロジロと見るのも気まずくなってしまい、先輩に目線をズラす。先輩はニコニコした笑みを浮かべつつ、2人を紹介してくれるらしい。
「こっちの銀髪のお姉さんはmzrだよ!私と同期なんだ〜!」
「初めまして、可愛らしいお嬢さん。コードネーム:mzrです。隣の子は私の新しい相方、新人のrir-よ。」
「…初めまして。私、rir-。まだ2ヶ月目の新米ですが何卒よろしくお願いします。ギフトは黒の雷。年齢は11。よろしく。」
「次は私たちのターンだね!私のコードネームはhn!今は2年越えの大ベテラン!mzrと同期だよー!ギフトは白の恋と回復だね〜!」
そう言って、先輩は私を見る。次は私の番、ということだろう。私は1度深呼吸をしてから自身の紹介を始める。
「こちらこそ初めまして。先輩の相方をやってます。gsoです。4ヶ月目です。年齢は13。ギフトは刀と角です。よろしくお願いします。」
私たち4人は互いに自己紹介をしながら、相席という形で朝食を取り始めた。話す内容はこの軍に所属している方々の話だった。私には、あまり聞き覚えのない人の名前が上がったが、聞くことに損は無いと思った。…共に命をかける仲間だ。少しでも、多く知っておきたい。出来れば、お互いに死ぬ前に会ってみたい。…znとは、ちゃんとお別れができなかったから、あの過ちを繰り返したくはなかったから。
「───そう!今双子ちゃんたちがペアでやってるらしいんだよね!」
「あー、あの特殊な子達ですか?1度だけ共に任務をしたことがありましたが…あれは別々の人間、というより1人が分裂した、みたいな感じしますね。」
「そーなの?私、噂でしか聞いたことないんだよねー。会ってみたいなー。」
「ふふっ。難しいと思いますよ。今は遠征で基地を守ることになってるそうです。詳しいことは知らないんですけどね。」
「変な冗談やめてよmzrもん〜!基本的に隊長さんと相方以外に詳しい任務の内容を教えるのは禁止でしょー?知ってたら隊律違反だよ〜!」
「先輩ってルール守るタイプの人だったんですね。」
「なっ!?gso!?そんなこと思ってたの?酷いよー!」
「仲が良いですね、お二人共。rir-もそう思わない?」
mzrさんに話を振られ、先程まで無言でご飯を食べすすめていたrir-さんは手を止めて、しばらく考え込む素振りをしてから、返答する。
「確かにそうですね。ベテランをからかう人なんて初めて見ました。…ただ、私が知らないだけでそういう人も多いのかもしれませんね。」
「…真面目だぁ!すごい!真面目!!」
「先輩、語彙力忘れてますよ。」
「それはいつも忘れてるよ〜!」
先輩はそう手をヒラヒラとさせながらケラケラと笑う。その明るい笑顔に私の緊張が解けつつ、朝食をお腹の中に収める。
その後もしばらく雑談した後、2人は訓練場へ行くらしく、その場は解散となった。
「───gーsoっ!今日は私に付き合ってくれない?」
それは、朝食の後の話。何も話さない先輩を前に意心地の悪さを感じてしまい、部屋に戻ろうとした時先程まで黙っていた先輩が話しかけてきたのだ。それはあまりにも突然の出来事だったので私は柄にもなく驚いてしまったわけだ。先輩は悪びれる様子もなく、なんならいたずらが成功した子供のようにくすくすと笑う。その態度にムッと顔をしかめる私の反応すら楽しむかのように私の手を引いて、私が入ったことのない居住エリア───先輩の部屋へと連れていかれる。
先輩の部屋はznの部屋と似て非なる見た目をしていた。もふもふとした雰囲気を放つその部屋。その要因はふわふわのカーペットと、マカロンのような形のクッションが3つほど、全体的に丸い形の家具が多い。また、全体的に暖かな色味を持つもので埋め尽くされていた。znの部屋はくまのぬいぐるみがたくさんに埋め尽くされていたが、先輩の部屋にはうさぎの小さなぬいぐるみがぽつんと置かれていた。また、隅には大きめの箱の中にお菓子が山ほどのっていた。
この部屋と、私の部屋を見比べれば違和感を感じた。その要因は、この部屋にもうひとりの相部屋相手の部屋と区切るための仕切りがなく、またおそらく先輩用であるベッド以外に寝床はなかった。私の疑問を見抜いたかのように先輩は軽く答える。
「…あぁ、隣の人もう死んじゃったんだよね。だから、しばらく私は一人部屋かな。」
…地雷を踏んでしまったな、と自覚する。先輩はいつも通り明るく振りまくが、友達を失くす痛みを知ってしまった今、私はその痛みに強く共感してしまう。私が、何も言い出せなくなってしまうと、先輩は私の腕を引いて、思いっきりベッドへ投げ飛ばす。
「───うわぁっ!?」
私は突然の先輩の動きにされるがまま、ベッドへ投げられ、頭からぶつかる。投げ飛ばされた衝撃を、ベッドが暖かく迎え入れ、緩和してくれる。痛みは感じない。なるほど、これは余程良いベッドを使っているようだ。ちょっぴり羨ましいな、なんて思いながら顔をあげると眼前に先輩の顔があった。
「ひゃぁっ、!?」
本日三度目の情けない、驚いた声を出してしまう。目の前にいる先輩は満足気に笑い、そのまま私を巻き込んでベッドへと倒れ込む。
「あははっ!楽しいね〜!」
そう声を上げて笑いながら私の方を見る先輩は少し腹も立つが、何より愛らしく見えた。けれど、その感情を隠すようにその後に出てきた感情をそのまま伝える。
「…、何がですか?私としては振り回されてばっかりなんですけど…。」
そう、濁して言っては見たが、つまり不満だ。けれど、その文句の理由が私だけ振り回されるが気に食わない、という子供っぽい理由だったため、深くは言えなかった。先輩はそれを見透かしたかのように、私の頭をわしゃわしゃと撫でる。立場としては先輩後輩だと言うのに、年齢でいえば私の方が年上だ。社会に出るって、案外こういうものなのだろうか?そんな今の状況に関係のない話に脳内で花を咲かせていれば、先輩は私のことを今度は優しく撫でながら話をしてくれる。
「…。gsoにとって、今回が初めてだったんだよね。仲間が、知っている人が死ぬこと。」
私は、どきりと心臓が跳ねた。それは、私がずっと引きずっていることだから。そうだ。私はそれで朝から元気が出ていなかったのだ。先程までどうしてこんなことを?と思っていた先輩の行動の謎が解けていく。
私を、励ましたかったのだ。塞ぎ込んでしまった私を。その事実に気づいた時、私は溢れる感情を止められなくなってしまう。その感情は涙となって先輩のベッドを濡らす。先輩は私の頭を優しく撫でながら、優しい声音で励ましてくれる。
「大丈夫、大丈夫。あなたは強い子だから、困難なことでも乗り越えていける。」
「っ〜〜〜〜!!悲しかった、です…っ、znが、死んじゃって…っ!!私、まだプレゼント返せてなくって、っ!」
「うん、うん。悲しかったんだね、znくんが死んじゃって。」
「そうなんです…、ぅ、あ。まだ、なにも、できてなくて…、何か、してあげないとって、思って、たのに…、、。」
「うん、大丈夫。わかってるよ。ゆっくりでいいから、その感情を吐き出してみようか。きっと、少しはスッキリするから。」
私は、先輩に言われるがまま、ヒックとなる喉を抑えながらゆっくりと、ちぐはぐな言葉を紡いでいく。znは、とってもいい子だったこと。アドバイスをくれたこと。不器用だけど、優しかったこと。突然死んだと伝えられてパニックだったこと。znの相方がznに対して酷いことを言うのが許せなかったこと。けど、何も言い返せなかったこと。洗いざらい吐き出して、いいきったら、なんだか眠くなっちゃって。先輩が心地の良い声で歌を歌うものだから、のせられて、寝ちゃったりして──────
…gsoが寝たことを確認してから、私は扉の向こう側にいる人物に声をかける。
「…入ってきてどーぞ。」
そう、一言かけるとドアは音もなく開き、カツカツとヒールの音を鳴らしながら彼女は部屋へと入ってくる。
「随分なことを言ってくれたねぇ、その子。…私の事も、znのことも、大して知らないのに。」
「まだこの子は入隊して間もないの。死を怖がるのは当たり前だし、友達が死んだら悲しくもなるんだよ。」
私がそう彼女───htmnさんにいえば、彼女は瞳をニヤリと歪ませながら私を視界にはっきりと映す。金色の瞳が、私をロックして、追い込むかのように距離を詰めてくる。私はただ横から眺めるだけだった。
「ふふ、そーいうことを言うhnはもう慣れちゃったの?人の死に。」
「…。慣れることなんてないよ。私は生憎割りきれる側の人間じゃないし。そりゃ、htmnさんの考えは合理的だし、この世界では仕方の無いことだと思う。…けど、やっぱり私はバディを忘れることはできないんだよ。」
からかうように言うhtmnさんに、私は自身の考えを真っ直ぐ伝える。一瞬、彼女が固まったのを私は見逃さなかった。けれど、彼女はすぐに嘲の笑いを浮かべた。
「…ふはっ。そのバディって何人いるのって話。どうせgsoもすぐ死ぬよ。次の新人教育の糧にできるといいね。」
そう言って、私の肩に手をぽん、と置いたあと逃げるようにこの部屋を去ろうとする彼女の背に、一言声をかける。
「毎年墓参りに行くhtmnさんがそんなことを言うなんて、ねぇ。」
「…。それとこれとは話が別。それに、もう行くつもりは無い。」
珍しく私の言葉に反応する彼女を珍しく思いつつ、私は好奇心にかられ、聞いてしまう。
「なんで〜?」
彼女は少しバツの悪そうな顔をしたあと、私の顔を見て、観念したようだ。彼女は私を知っている。こういう時の私は石よりも頑固なことを。
「…墓が増えすぎた。一人一人に向き直る時間があまりにも少ない。…不公平にするつもりないよ」
そう苦い顔をする彼女を見て、私は、ふふっと笑う。…彼女は私の前では嘘をつかない。取り繕うのが下手になる。
「やっぱり、htmnさんは狂人ぶるのが苦手だね〜。」
「どちらかと言うとhnが魔性の女すぎるんだよ。お前以外にバレたことないし。」
「え〜?htmnさんの周りの人達は全員節穴なんじゃな〜い?」
…たしかに彼女は感情が表情に出にくいが、代わりに口数に出やすいし、目線や仕草で何となくわかる。…まあ、大抵の人は彼女に関わろうとはしない、それだけの話だろうが。この軍の中でベテランの中のベテランなのに、彼女と組んで生存した相方はあまりにも少ない。そのためか、彼女が裏で仕組んでいる、だとか敵国のスパイだ、なんて黒い噂が絶えない。ま、そんなことないと私は知っているけれど。
「それじゃ、”先輩”───。良い夢を。」
「…Good night」
そう言って先輩はこの場を立ち去った。私はすやすやと眠るgsoを大切に、優しく撫でる。こんなに可愛くて、必死で真面目で、自己犠牲精神が高い彼女。そんな彼女と誰かの影とが重なる。それが誰の影なのか。私はふふっと笑いながら、gsoの安寧を願う。
ここで幕を閉じます。いかがでしたでしょうか?…人の死は、決して軽いわけではない。けれど、大多数のものが亡くなれば死んだ方々はただの数字になってしまう。今はまだ1人だけなので悲しむ余裕がありますが、いつか、同時に何人も何人も亡くなってしまえば───?…もしものお話ですよ。そうならないことを、願っております。けれど、ご安心を。善行を積んだ人間は天使の名のもとに空へと運ばれ、また新たな命を授かることができるのですから。
それでは皆様、またの機会に。さよなら。
コメント
1件
「znの死に向き合うgsoをhn先輩が優しく包み込むシーン、涙腺崩壊しました……😭💕 自分も悲しみを抱えながら後輩を励ますhn先輩、強くて優しすぎる…! そしてhtmnさんの冷めた言葉の裏にある過去も気になる…✨ また次が気になりすぎる〜!! 続き楽しみにしてます!!🌸」