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初コメ失礼します! 家族の前なのにニコニコしてて恥ずかしくなってきた… めちゃくちゃ好きな作品なんでこれからも頑張ってください!応援してます!
868ロスヨントス組
警察時代捏造ノベル
本人や実際のストグラ内のストーリーとは一切関係ない捏造ノベルです。
事実と捏造を混同しないようにお気をつけください。
本編⤵︎ ︎
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刃弐が医務室を見つけ、使えそうな応急処置キットを持ってきてくれたんで何事もなく応急処置を終えることは出来た。
その医務室も他の部屋と同じく綺麗に掃除されていて、ベッドやその他の家具も使える状態だったから赤毛の青年をベッドに寝かせ、俺たちはその子が起きるまでその子を囲んで談笑しながら様子を見つつ、彼 が目を覚ますのを待っていた。
そして青年が失神してから2時間が経って、やっぱり多少のリスクは犯してでもこの街の救急隊に連絡した方が良かっただろうか、とあわあわし始めた頃の事だった。
???
「ん………るせぇ…」
レダー
「あ、起きた」
音鳴
「え?!ほんまや!!」
夕コ
「うわ良かったぁ〜」
刃弐
「もう起きないかと思ったよぉ」
???
「だ、え、誰?なにこれ?なんでこんなことになってる?」
そりゃ誰だってそうなるだろう。目を覚ましたら知らない天井どころかその天井を知らない大人が4人で囲っていい歳して病人の周りででっけぇ声で談笑してんだから。
とりあえず全員自己紹介から始めることにした。
夕コ
「突然ごめんね、自分は成瀬夕コって言います」
こうして初対面の人との夕コの挨拶を見ていると、夕コが入ってきた日と比べて驚くほど成長したなぁと思う。あんなに無愛想で生意気で何考えてるか分からない感じだったのになぁ。
なんて考えてるとすぐに俺の番が回ってきた。
レダー
「あ、俺はレダーヨージローって言います。いいおじさんです。仲良くしてね。」
夕コ
「なんか自分でおじさんって言ってくの最後の悪あがきみたいで嫌だからやめて」
音鳴
「ほんまやでレダー!」
レダー
「夕コはいいけどお前はもうすぐアラサーだろ!」
音鳴
「アラサーはおじさんちゃうから!!」
刃弐
「あははww」
???
「えっと、次自分…すね?」
自分そっちのけで盛り上がってる俺たちを目の前にして何だこの人達は、みたいな目で見てくる青年。そりゃそうだろうなぁ。無理もない。
牢王
「改めて、自分は牢王蓮って言います。」
音鳴
「ろうおうれん?」
夕コ
「どこで区切ってんの?その名前」
牢王
「ろうおう、れんです。」
レダー
「へぇー。なんか呼びにくいね」
牢王
「え、一応失礼ではあるっす、それ」
夕コ
「ほんとっすよレダーさん。見損ないました」
刃弐
「ダメだよレダーくん。初対面でノンデリはさぁ。」
音鳴
「ほんまやでレダー」
レダー
「えぇ?」
牢王蓮と名乗るその子は一体なぜこの館とも呼べる詰所を掃除していたのか、全員が薄々気になっていたことを音鳴が突っ込んでくれた。
音鳴
「ちなみにろうおうれんくんはなんでここを掃除してたの?」
牢王
「あー…それはっすねぇ……」
夕コ
「あ、なんか言いづらい事情があるんなら無理しなくてもいいよ」
牢王
「…いや全然大丈夫っす」
少し気が引けるような表情で渋った直後、すぐに話し始めてくれた。
これはあとから聞いた話だけど、夕コの発言で、この人たちになら話しても大丈夫な気がするって思ったらしい。
牢王
「俺去年警察学校卒業して、今年度から警察として仕事をする予定だったんですけど、なんか今年度はこの街配属の新人が俺しかいないだとか、教育係の人員不足だとか、昨年度の新人がワケアリだったとかで、警察ではなく監獄の管理の方に回されたんすよね」
レダー
「え今年度新人いたんだ」
音鳴
「本署では一切見なかったからおらんもんやと思ってたけどまさか1人しかおらんかったとは」
刃弐
「えじゃあ俺らの後輩ってこと???? 」
夕コ
「え俺らの時代来たくない??」
牢王
「え、俺の話を聞く気はないってことであってる??」
みんなで笑いながら謝罪をしつつ牢王の話に耳を傾けた。初対面の割にはノリが合うしめっちゃ空気が良いなって思ったのを今でも覚えてる。
牢王
「でもまぁ誰かを守る仕事ってことに変わりはないかと思って真剣に取り組んでたんす。そしたらある日、本署で偉かったらしい人たちが汚職で捕まって収監されたんすよ。」
レダー
「あー確かあったねぇそんな話」
夕コ
「あー……」
とぼけてはいるが、そいつに汚職収賄罪を突きつけて監獄に送ったのは紛れもなく夕コ本人だ。
いつぞやの刃弐に対する体罰教育係と関係者数人の汚職の証拠が取れたので、無視できない形で突きつけてやった話。
だがそれをわざわざ言う必要もない、というか刃弐に黙って2人でやった事だったので言えなかった。まぁ言ってしまえば牢王が話をしづらくなる可能性だってあったし特に問題は無いんだけど。
それから牢王は話を続けた。
牢王
「で、こっちでも結構恨みを買ってたらしく、上官の看守達が日々鬱憤を晴らすために不当な時間で刑務作業をさせたり食事を抜いたりしていじめてたんすよね。」
正直俺はざまぁみろとすら思ったけど 、本来は囚人であろうが人権は守られなければならないので、その看守たちの嫌がらせも犯罪にほかならない。
牢王
「で、それってダメな事じゃないすか。なんで1回上層部に抗議したんすけど、入って数ヶ月のペーペーの話なんて聞きいれてもらえる訳もなく、そのまま情報を看守たちに漏らされたんすよね。」
おそらくそれはペーペーだから聞き入れられなかったんじゃなく、それに対応すれば汚職収賄罪で収監された元警官を庇うような形になり、体裁が悪かったからだろうなと思ったけど、話を遮る必要も無いと思ったので特に言わなかった。
まぁ俺からしてみれば今更守るべき体裁なんてどこにあるんだよ、って話になってくるんだけど。
牢王
「それで翌日出勤したら突然、汚職被らされて退職からの豚箱か、まぁあの……それ以外の対価を払って解雇かを選ばされて、もちろん豚箱は嫌だったんで、それ以外の対価を払う事にして、今っす。」
夕コ
「なるほどね」
刃弐
「よく頑張ったね」
音鳴
「……大変やったなぁ」
牢王が少し言い淀んだ「それ以外の対価」。おそらく体罰の類いだろう。
本人はバレていないつもりだろうが、さっき応急処置をした時に、既に処置はしてあったが一方的に殴られたような無数のあざとムチ打ちの跡があった。
俺も夕コも刃弐も1年前の記憶がフラッシュバックして反吐が出そうになったが、それ以上に音鳴が静かに憤っていたので冷静になれた。
きっと勘で、こいつは悪い奴ではないと感じていたんだろうな。あいつは本当に正義感が強くて優しいやつだなと思う。
それでこれ以上やると死ぬという1歩手前で俺たちの隊の詰所の話が出たから、軽い療養と嫌がらせを兼ねて1人で掃除をさせたのだろう。
大方「2日で全部終わらせれば少し罰を軽くしてやる」なんて大ホラを吹いて弄んでたんだろうな。
結局どこへ行ってもこの街はこの街。やってることは本署とそう変わらない。
牢王
「じゃあ自分まだ掃除残ってるんで、」
夕コ
「いやいやいや」
音鳴
「待て待て待て」
刃弐
「だめだめだめ」
レダー
「おいおいおい」
全員が牢王の肩やら腕やら足を抑えて動きを止めた。
夕コ
「お前、ろくに寝てないでしょ?」
牢王
「え、い、いや寝てるっす」
刃弐
「何時間??」
牢王
「え、えーっと、9時間……ぐらい?」
音鳴
「着くならもっとマシな嘘つけよな」
牢王
「でもやらないといけないんで」
レダー
「いやいや、死ぬよ?普通に」
牢王
「いや死なねっす。俺結構タフなんで。」
刃弐
「人間そんな丈夫にできてないよ」
牢王
「もういいっすて、俺の仕事なんでやらないと」
夕コ
「なんで?」
牢王
「腐っても直属の上官たちの命令だし、豚箱は嫌なんで。え 俺の話聞いてた??」
夕コ
「じゃあお前今日から俺の隊に来い」
俺と刃弐と音鳴は黙って目を合わせた。2人ともやっぱりな、ってどことなく安心したような顔をしてた。多分俺もそんな顔してたんだろうな。
肝心の牢王はと言うと、鳩が豆鉄砲食らったような、と言う慣用句をそのまま体現した顔してた。
牢王
「……え?」
夕コ
「聞こえんかった??『今日からお前は俺の隊の隊員な』って言ったんだけど」
牢王
「いや聞こえた上で聞き返してんだけど」
夕コ
「聞こえてんなら問題ないな。よし」
牢王
「いや全然よしじゃないよしじゃない」
刃弐
「よろしくねろうおうれん」
レダー
「ろうおうれんって呼びにくくない?」
音鳴
「ろーれんでいいんちゃう?キムタク方式で」
牢王
「えええ、待って待って俺まだ飲み込めてないよ?」
夕コ
「いやだから、きこえたんしょ?お前今日!今!この瞬間から!俺の部下!OK?」
牢王
「この街の警察ってそんなのがまかり通っていい組織なの??」
夕コ
「本来はお高いんだけど、なんと今なら大特価、タダでなれちゃう上に上司も同僚も以前より質が大幅アップしますよー」
音鳴
「そんなテレビ通販みたいな」
刃弐
「やめてよなんかハードル上がるじゃん」
レダー
「んははw」
牢王
「…ほんとに大丈夫なの?」
レダー
「まぁうちの隊長が言うなら間違いないね」
音鳴
「ちょうど人も足りへんなと思ってたとこやしな」
夕コ
「心配すんな。お前が良いって言うなら本当に明日には組織上も俺の部下になれるように手続きする。」
牢王
「えそんなすぐに?」
レダー
「俺らは左遷… というかまぁちょっと別枠の組織だから上層部の陰湿な空気を食らうこともないしね」
牢王
「さ、え?左遷?」
刃弐
「そうだぞ、今日発足したとこだけど多分いいとこになる予定だから。てかいっしょいいとこにしていこうよ」
牢王
「なんか言いくるめられてる気がしてきたんだけど気のせいではあるよね?」
音鳴
「元々警察官志望やったんやろ?じゃあちょうどいいんじゃない?」
音鳴
「……それは本当にそう」
夕コ
「なる以外に選択肢なくない??」
牢王
「じゃあ……よろしくお願いします」
音鳴
「うおぉぉおおぉおおお!!!」
レダー
「久しぶりに新しい風だね」
刃弐
「初めての後輩なんだけど!!なんのパン買ってこさせよう」
夕コ
「やめてよ俺のパシリだから」
牢王
「え俺もうパシリ?大丈夫そ?」
そんなこんなで、隊発足直後に隊員が1人増えた。元々この隊ができる前から犯罪の対応は金にしか興味のない同僚達がやらない分俺たち4人でほぼ回してたようなもんだったが、常にフル稼働で休む暇もなかったため、本当に人員は欲していたから正直マジで助かった。
そしてみんながワイワイ喜んでいる中、平然と動き出そうとする牢王を全員が引き止めた。
レダー
「え、なにしようとしてんの?」
牢王
「え?いやだから、掃除を」
刃弐
「いやなんで?話聞いてた??」
牢王
「え、俺今日からこの隊の隊員でしょ?じゃあこの詰所は尚更掃除しないと」
音鳴
「はぁ?!」
刃弐
「夕コさん、こいつダメだ、全然わかってない」
牢王
「えなんかそれはもう悪口では無い??」
いまさっき休めと言ったのに、なぜ動き出そうとするのか、セリヌンティウスも顔負けの自己犠牲の精神に全員が呆れた。
夕コ
「よし蓮くん。君の気持ちはよくわかった。なので隊長の俺から直々に最初の命令を下すね。」
牢王
「え、はい!」
夕コ
「死ぬ気で寝ろ!!!」
そう言い放つと夕コはベッドから出ようとする牢王の肩をぐいっと押し込み、全身で覆いかぶさって頭を枕に押し付けた。
夕コ
「はいおっぱいガード!!!お前らも全身押さえつけろ!!」
レダー
「はい隊長」
刃弐
「よーし!」
音鳴
「最初の命令はこれか!腕が鳴るで!!」
牢王
「€$%#+?!」
夕コ
「おいちょっと喋るな!くすぐった、アン♡」
レダー
「おい喘ぐなw息はさせてやれ」
夕コ
「え?あぁごめんごめん」
牢王
「ぶはっ!おいこんなん寝れるもんも寝れねぇって!!」
音鳴
「大丈夫やローレン!人間は意外と心地良い重さを感じると眠くなるから!」
刃弐
「そうだぞ!これで何回レダーさんと夕コさんを眠らせてきたかしれない」
牢王
「いやそんなわけ…な…………」
夕コ
「…………寝たわ」
レダー
「よし完璧」
音鳴
「最初のミッションは一旦成功か」
刃弐
「幸先いいねぇ」
レダー
「じゃあ隊長、次のミッションは?」
夕コ
「蓮くんに代わってこの詰所の掃除するぞ!!」
刃弐
「よしやるかぁ」
音鳴
「これもまた腕が鳴るねえ。もうボキボキよ」
レダー
「俺はくしゃみ止まんなくなるからローレンの看病も兼ねてこの部屋であいつの転属手続き済ませるわ」
夕コ
「はいよー」
昼過ぎに始めた掃除は事件対応の合間合間に進めて結局その日の夜までかかったが、終わってみればやっぱり居心地も良く、その日はみんなで晩御飯を作って食べた。
そして俺たちが帰る頃になってもローレンが起きなかったので、1人にする訳には行かないと思った俺はここで泊まるって進言した。
でも全員全く同じタイミングで同じことを考えてたみたいで、最終的に全員医務室で泊まることになった。
結局ローレンは翌日の昼頃に目覚めた。ほぼ丸1日寝てたから相当疲れとダメージを溜め込んでいたんだろう。
そりゃあんなに体罰を受けて傷を治癒するためにエネルギーを使ってるのに3日以上まともに睡眠を取っていないとなれば、死んでいないのが不思議なくらい。
まぁ目覚めることがなかったおかげであの日は監獄に進捗を報告しに行く必要もなかったからちょうど良かったのかもね。
つづく