翌日の昼休み・教室
ほのかは窓の外を見ながらノートにペンを走らせていた。
文字というより図。ーー小さな人のシルエット。並ぶ線。炎のような模様。
(……あのタイミングで、あんな場所に偶然いるなんて、おかしい )
昨日の帰り道のこと。
あの尾行から突然の閃光。誰かが助けてくれたのは間違いない。
(光……むつるくんに似てた。体格も。あれって……)
「……ほのか、何描いてるの? 」
声に驚いてノートを閉じた。
振り向くと楓が立っていた。笑顔。でも、その目がどこか探ってくるようで。
「ううん、なんでもないよ。……ちょっと思い出し絵」
「……ふーん」
二人の間に、いつものような軽さはなかった。
放課後︰帰り道にて
3人で並んで歩く帰り道。
ほのかはポツリとつぶやいた。
「……ねぇ。楓って、小さい時から忍者とか憧れてた? 」
「えっ」
「……なんか、そういうの、得意そうだから」
むつるが一瞬立ち止まったが、楓がとっさに答える。
「うーん、アクション映画は好きだけど、忍者はさすがに……。何、いきなり?」
「……ううん、ちょっと気になっただけ」
(嘘だ)
ほのかは、目の奥で確信を深めていた。
ほのか・夜の独白
部屋でノートを開く。
「楓」、「むつる」、「忍者」、「光」、「炎」
ーー並ぶキーワード。
紙の隅に書いたメモ︰
『もし、2人が何かを隠しているなら
ー私はどうするべき?』
その時。窓の外に、気配。
風のない夜に、カーテンが揺れた。
(見られてる……?)
恐る恐る窓を開ける。
何もいない。だが、手すりに黒い羽根が1枚ー。
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