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これまでの日々はただの悪い夢、実は単なる機械の表示ミス、故郷の星はすぐそこにあることを彼は強く祈った。汗ばんだ指をズボンで拭いて、配線管を束ねているヒモをほどき、システムチェッカーを一つひとつあてがっていく。腕で額をぬぐったついでに汗が目に入って、ランプの輪郭がぼやけて見えた。操縦室で揺らいでいた地球の写真が、空気の対流に乗ってドアの隙間から入ってくる。

チェッカーが、異常なしの音をあげた。

であれば、ワープ機器関係が故障しているのかもしれない。もしこれが壊れていたらどういうことになるか、考えただけで頭の中の細胞が委縮していくのを郷田は感じた。もしもこれまでのワープが全く効いていなかったならば、すべての地球帰還作戦は水の泡だ。地図を見ればこれほど明白なことはないが、今や空間を地道に移動する方法では、故郷に生きて帰ることなど、とんでもない。加えてこの箇所は、情報送信にもかかわっている。ここが原因でワープ便通信が使えないのならば、今日発したSOS信号が地球に届くことは、永遠にない。地球からの支援なしに、砂粒よりも小さな故郷の星粉を自力で見つけ出すなんて、宇宙の果てまで行ってこいと言われているに等しい難行だ。郷田はめまいで意識が飛んでしまいそうになる。ワープ・チェッカーを機械につなげる彼の手は震えていた。指先はすでに冷たくなり始めている。

宇宙の果ての向こう側

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