E:…
A:浮かない顔だね、どうしたんだい?
E:…な、て。
A:ん?
E:…もう、終わりなんだなって。
A:それは…まぁ、次に期待してみなよ、君なら大丈夫だと思うから。
E:…そう、ですかね。
A:…そうだよ。
E:…
A:はは…なんで落ち込むのさ?笑
E:「次」なんて、全く想像がつかないんですよ。
A:想像する必要があるのかい?
E:…え?
A:だって、なんでも想像した通りになる訳では無いんだし、まず想像してる時間が無駄だろう?もっと有意義に使いなよ。
E:…本当に貴方は自由で良いですね。
A:そうかい?自由なんて案外、良いものでも何でもないと思うよ。
E:…またそんな事を。
A:冗談じゃないよ本当さ!自由なんて別に何も面白く無いんだよ。
E:でも、そう口にできるのは貴方が自由だからでしょう?
E:私は、喉から手が出る程に自由が欲しいのです。だからこそ、貴方が羨ましくて仕方ない。
A:…そうかい。
A:なら、君も自由になりなよ。
E:そんな簡単になれ…
A:なれるよ。
E:…
A:いつまでも籠の中の鳥で、良いのかい?
E:良くないです。
A:なら、知恵を振り絞ってそこから出てさ、こっちの世界に来なよ。
E:…
A:大丈夫、怖くはないよ。
A:ただ…ものすごく痛いだろうけど。
E:良いのでしょうか…
A:何がだい?
E:この籠の中から外に出ても、僕は…自由になっても、良いのでしょうか?
A:良いんじゃないかな?別に。
A:というより最初から人間は皆自由だろう?君の好きなようにすれば良いじゃないか。
E:…貴方らしい。
E:あぁ!そうだ、一つ賭けをしませんか?
A:賭け?
E:はい。
A:面白いね、じゃあ…
何を賭ける?
E:勿論、私の命を賭けます。
A:へぇ、それで?
A:僕は何を賭ければいいんだい?
E:貴方には、 貴方の自由を賭けてもらいましょうか。
A:僕の自由?
E:ええ。
A:ははは、 つまり僕が勝ったら君は僕に殺されて、君が勝ったら君が僕に代わって自由を得るということか。
E:その通り。
A:良いね!やろう。
E:では、コイントスにしましょう。
A:OK。どっちが投げる?
E:貴方に任せます。
A:良いのかい?
E:ええ、勿論。不正なんて出来ませんよ? ちゃんとこの目で見てますから。
A:分かってるよ、不正なんてしないよ賭けが面白く無くなるからね。
A:じゃあいくよ?
E:はい。
A:はっ!
…パシ!(コインをキャッチする)
A:表?裏?
E:表。
A:なら僕は裏だね。
A:僕の勝ちだね。
E:流石、豪運の持ち主ですね。
A:それはどうもありがとう。
A:…じゃあ、また来世で。
E:…次は自由な人生が良いですねぇ〜
A:鳥だったりして?
E:あはは…それは良い!
彼の頭は笑いながら冷たい地面を転がっていった。残った身体はやっと解放されたのか、とても心地よさそうに眠り始めた。身体とは不思議だ。頭を胴体から切り離してしまえばどんな動物も死んでしまう。あまりに脆い。けれど、仕方が無いのかも知れない。だって誰も殺される事を想定していないんだもの…笑えるよね。生きる為に最善を尽くしていた筈が実は、すぐに死んでしまうほど貧弱な生き物になっていたのだから。自由を得る事は誰にでも出来る、でも誰もやろうとしない。頭が追いついていないから簡単な事に気付かない。誰かが作ったルールは誰かのエゴ、それを無知な者に強制的に押し付け自分達のエゴが正しいんだと思い込ませ矯正する。素晴らしいサイクルだ。
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自作Q&A。 Q.何故賭けをする必要があったのですか?