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兄さんって呼び方は「にいさん」じゃなくて「あにさん」です。兄弟ではありません。
A:はぁ…
F:あれ、もしかして…疲れてます?
A:ええ、とってもとっても疲れてるよ。
F:それはそれは、なんか嫌な事でもあったんすか?笑
A:嫌な事しかないよ、毎日毎日辛くて痛くて虚しい。
F:俺も最近は嫌な事ばっかすね〜、やってらんないっすよ、このクソみてぇな世の中。
A:同感だよ、本当に。
F:兄さんは殺ししかやんないんすか?
F:娯楽なんて探しゃ沢山あるでしょうに…
A:僕にとって殺し以上の娯楽なんて無いと思うよ。
F:あはは、確かに。
F:でも、兄さんにはもっと違う道もあったと思うけどなぁ…
A:違う道か…
A:それはそれで楽しめそうだね。
F:この世は楽しんだもん勝ちっすよ。
A:…君らしい。
F:あははは。
F:あーそういえば最近、やけに無差別にやってるみたいっすけど、なんかあったんすか?
A:いや?いつもと何も変わらないよ。
F:え〜?嘘つかんといてくださいよ。
F:前はあんなに監禁とか拷問とか大好きだったのに今は全然そんなのしてないじゃないすか。どうしたんです?
A:…
A:なんというか、まぁ色々と面倒臭くなってね。
F:へぇ~兄さんもめんどくさくなる時あるんすね〜。
A:勿論あるとも、人間だからね。
F:そりゃあそうっすよね!今まで人間だとは到底思えませんでしたけど。
A:はは…
F:で、何があったんすか?
A:さぁ?何があったんだろうね…僕自身にも分からないよ。
F:…ふーん。
A:強いて言うなら。
F:言うなら?
A:熱が冷めてきた様な感じかな?
F:なるほど。 スランプみたいな感じすかね?
A:そうなのかもね。
F:何にせよ早く元の兄さんに戻ってくださいよ、今の兄さんはなんだか兄さんじゃ無いみたいっすから。
A:どう戻れって言うのさ。
F:それは…わかんないすけど。
A:人間は変わり続けるものだから、いくら待ったって元の状態には戻れないよ。
F:…いいや兄さん、 人間は変わったりしませんよ。
A:おや、そうかい?
F:生まれてから、死ぬまで…ずっとバカなまんま!なっんにも成長しない。
A:はは…なるほど、それは良いね。
F:え?何が良いかはよくわかんないっすけど、まぁ、兄さんにとっては良いことなんすね!
A:ああ、とても素晴らしいよ。
彼の様な人間ほど、心の底に深い闇を抱えているのかも知れない。こちらからすればどうでもいい事だが、彼の中では長い間、かさぶたすら出来ないほど致命的な傷を、いっそ死んでしまえば楽だと思えるほど深い傷を、一番のコンプレックスだと言うのに何故か大事にしてしまう。何故かなんて分かっている癖に、夕暮れに零れた彼は笑う。同情と慈愛を嫌って何もかも諦め続ける。他の誰とも違う、馬鹿げてるけど飽きの来ない、爽やかで涼しげな音がした。とても不思議な気分だった。そして僕は結局何がしたいのだろうか。どうして楽しく殺しをする事ができないのだろうか。