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《第四章:佐野勇斗》
____希望とプライドは紙一重____
俺は、 気づいたら前に立っているタイプだ
「俺がやるよ」
「俺行く」
考えるより先に、口が動く。
そして体が動く。
昔からそうだった。
目立ちたいかと聞かれたら、わかんなけど
ただ、誰かが迷ってる時間がもったいなく感じる
止まるくらいなら、
進んだほうがいい。
それだけ。
太智がいなくなった日、俺は一番最初に声を出した。
「大丈夫」
本当に大丈夫かどうかなんて、分かんなかったけど。
分からないまま沈黙が続くのは、なんか嫌だなって。
誰かが崩れる前に、誰かが立っていなきゃいけない。
その「誰か」は、だいたいいつも俺だった。
大好きな仲間のためなら、どんなことであろうと厭わない
本当にさ、メンバーが大好きなんだよ、笑
太智はいち早く覚悟を決めていたし、
柔太朗は笑ってた
仁人は沈黙を無くそうと話してたし
舜太は舜太なりに考えてたと思う。
それぞれが、それぞれのやり方で場を保っていた。
ほんといいやつらだよなー笑
そういう俺はただ、前に立っていただけ。
旗みたいなもんよ
折れちゃいけない。
倒れちゃいけない。
それが俺が役目。
壁に描かれた花を見たとき、正直笑いそうになったわ
【希望】
【前進】
【導くもの】
「いや……出来すぎだろ、笑」
誰かが予め決めたみたいな花言葉。
でも、嫌じゃなかった。
むしろ、「ああ、俺だな」って。
希望ってさ、持つと重いけど
渡すと軽くなる。
でも、渡し続けるといつか空になる。
それでも希望を持つことをやめなかったのは、俺がそれをやめられない性格だから
弱音を吐くのが下手だし、
助けてって言うのが遅い。
大丈夫って言うのは、得意なのになぁ、笑
だから、いつもメンバーから怒られんの笑
夜、一人になるとたまに考える。
「俺がいなくなったら、どうなんだろ…」
すぐにそんな考えを打ち消した。
縁起でもない。
考える意味もない。
俺は前に立つ人間だから。
絶対こいつらを上に連れて行くって
そう決めてきた。
全体を見た時、初めて足が止まった。
ガラスの向こうには、もう戻らない選択をしたメンバーたち。
逃げたわけじゃない。
投げ出したわけでもない。
みんな、役割を終えただけだ。
「……そっか」
俺は、ようやく分かった。
俺の役割も、終わりがあること
前に立つ人間が、最後まで立ち続ける必要はない。
立っていたという事実が、残ればいい。
こいつらと頑張ったってことが、
夢を見続けたってことが。
そう思えた瞬間、 肩の力が抜けた。
舜太が後ろで何か言おうとしているのが分かった。
末っ子なのに置いていってごめんな
俺は振り返って、いつもの顔を作る。
「大丈夫だって笑」
嘘じゃない。
既に眠りについたメンバーの傍によった。
「ちゃんと、ちゃんと出逢える。俺たちなら」
「太智…柔太朗…仁人…いつだって俺たちは一緒だから。絶対見つけてやっからな、笑」
標本になるというのは、消えることじゃない。
象徴になることだ。
誰かが迷ったとき、「ああ、あいつなら」って
思い出される存在になる。
俺は、それでいい。
プライド混じりの希望ではなく、
誰かの生きる希望になるなら、
睡眠薬をのみ、注射を打つ。
怖さより、なぜか納得のほうが大きかった。
「……行ってこい」
誰に向けた言葉でもない。
残る人たちへでも、 過去の自分へでもなく
どんなことがあろうと、それでも世界は、ちゃんと前に進んでいる。
だからきっと、これでよかった。
俺たちの幸せな未来を夢見て…
番号④
佐野勇斗
俺は、【希望】 置いていった。