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【1章︰ 3月のすみれ】
「卒業おめでとうねぇ」
腰の曲がった小さなおばあちゃんがにこにこと私に言った。
しわしわの柔らかい手がそっと私の手をとり、ポチ袋を握らせた。
「このお金で好きな物買いなさいな」
そう言って
くりっとした優しい目で私を見つめた
「おばあちゃん、ありがとう。
私、お花の図鑑が欲しかったの。それを買うことにするね。」
「あら、お花が好きなのかい?お母さんと一緒なんだねぇ。すみれの名前らしくて素敵ね。」