テラーノベル
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💚「それでは、人狼ゲームを開始します。」
さっきの楽しげな口調とは違い、阿部は淡々とゲームを始めた。
💚「みなさん、机の右上の引き出しを開けてください。1人1枚ずつカードが配布されています。自分の役職を、周りに知られないよう確認してください。」
💜…
🧡おお…
❤️へぇ。
🤍どうにかして勝たないと…
各々がカードを確認すると、反応は様々だ。
だが全員の表情が硬く、酷く緊張しているのが空気から伝わった。
💚「恐ろしい夜がやってきました。右の引き出しにあるアイマスクとヘッドフォンを取り出して、着用してください。指令がなく外した場合はその場で殺害します。」
一同は震える手で装備を着ける。
ついに、始まってしまうのだ。デスゲームが。
全員が装備を装着すると、ヘッドフォンから指令が聞こえてきた。
💚「まず、人狼はアイマスクとヘッドフォンを外して、チャット内での会話のみを許可します。話し合いが終了したらゲームマスターに答えを送信し、装備を着けて就寝しましょう。」
💚「次に、占い師は装備を外して、占いたい人の机の右の引き出しを開けてください。見終わったら席に戻り、装備を着けて就寝しましょう。」
💚「次に、騎士は装備を外して、机の左の引き出しを開け、端末で守りたい人を選択してください。終了したら装備を着けて就寝しましょう。」
💚「最後に、パン屋さんは装備を外して、パンを全員に配ってください。終了したら装備を着けて就寝しましょう。」
💚「これで全ての夜のアクションが終了しました。全員、装備を外してください。」
10分にも数時間にも感じられた暗闇の時間が、ようやく終わりを告げた。
全員の視界と聴覚が元に戻り、またゲームマスターの冷淡な口調がスピーカーから聞こえた。
💚「朝になりました。美味しいパンがみなさんの机に届いています。昨夜の死亡者はいませんでした。」
🤍!!ってことは誰も人狼の被害にあってない!
🧡よかった、誰も死なんくて…
💚「それでは、会議を開始します。制限時間は10分です。」
ピッ、とタイマーの画面が、壁にあるテレビに映し出された。
深澤が口火を切った。
💜みんな、この段階で役職を言える人はいる?
🩷俺は市民だ。
💙俺も。
💛俺も市民だよ。
❤️え、俺も村人なんだけど…
空気が固まった。
3人のはずの村人は、現在4人が名乗り出ている。
🖤じゃあ、誰かが人狼…?
この中に嘘をついている人が、確実にいる。
また一層、空気に緊張が走った。
🤍そう、なるね。ちなみにめめは?
🖤俺は霊媒師。ラウールは?
🤍僕は占い師。だから、騎士の人は次回から僕のこと守ってほしい。
💜なるほどな…霊媒師と占い師はもう分かってるってことか。ちなみに俺はパン屋さん。
向井が驚いたように顔を反射的に上げる。
深澤はそんな向井の様子が気になったが、阿部に話を逸らされた。
💚じゃあ佐久間は?
阿部の声が響くと、佐久間の肩がびくっと跳ねた。
💛…佐久間、ここに来てから全然喋ってないよね。
❤️確かに。いつもなら人狼のとき、ずっと喋ってるのに。
🩷ち、違う。俺、人狼じゃない。信じてくれよ…
佐久間は狼狽えた表情で、必死に弁明しようとする。
だが、他のメンバー達は佐久間から目を逸らし、俯いている。
このゲームが苦手な佐久間が最も疑われてしまうのは、誰もがわかっていた。
🩷俺、市民だよ。なんで誰も信じてくんねぇんだよ!
怒気をはらんだ佐久間の声が部屋にこだまする。
🤍佐久間くん…
🩷そうやってみんな、俺を見捨てるの…
最後の方は声は掠れて、恐怖で震えていた。
❤️俺たちだって誰も見捨てたくないよ。でもこの中に、嘘をついて誰かを貶めようとしてる人がいるんだよ。だからそいつを探さないと。
🩷俺がそんなことするような奴に見えんのか!?
完全に理性を失った佐久間が、怒って机を思い切り叩いた。
💜立ち上がったら殺されんだぞ!さっきの俺見てたらわかんだろ…一旦落ち着け。
深澤も宮舘も冷静ではない。
間もなくして、テレビ画面に映し出された数字が0になり、ゲームマスターがまた喋りだした。
💚「投票のお時間です。では、自分の机の左の引き出しにある端末でメンバーを選択してください。ゲームマスターに答えが送信されます。」
各々が答えを送信する様子を、佐久間は震えながら見つめていた。
皆の手も震えている。
このボタンひとつで誰かの命を奪ってしまうかもしれないことに、計り知れない恐怖を感じていた。
💚「全員分の答えが送信されました。最も多く票を集め、本日処刑される人は…佐久間さんです」
全員が佐久間を見た。
🖤佐久間くん…
🧡ごめん、さっくん、ほんとにごめん。
佐久間はふぅっと大きく息を吐くと、諦めたように笑った。
🩷もう、いいや。お前らは悪くねぇよ。それに誰かが死ぬのなんか見んの、俺は嫌だ。だから、いいよ阿部ちゃん。俺を殺して。
佐久間の表情は穏やかだった。
🤍…!佐久間くん、そんなこと言わないでよ!
💜なんで、佐久間…
💚「…それでは、処刑を開始します。」
🖤阿部ちゃん!やめて!!
カチッ。ウィーン。
🩷ぐっ!!あぁぁぁぁあ!ぐ、あぁっ
🧡さっくん、さっくん!!
🩷みんな今まで、ありがと、な…
首輪が佐久間の首にきつく食い込み、時間をかけて命を削っていく。
💛佐久間…
涙を一筋流し、佐久間はその場に倒れこんだ。
🧡いやぁぁ!さっくん!なんで、なんで!
🖤康二!立ち上がったらダメだ!
💜くそ、なんで佐久間が死ななきゃいけねぇんだよ!!
💚「昼の時間になりました。席を立つことを許可します。夜が来るまで、暫しお待ちください。」
ゲームマスターの冷徹な声が、部屋を冷やす。
そして、照明が増えて明るくなった。
🤍立って、いいのかな。これ…
❤️いいんじゃないかな。あ、ほら大丈夫だよ。
宮舘が立ち上がって、安全を証明する。
他の皆も恐る恐る立ち上がった。
自然と全員が佐久間の元へ寄って、俯いた。
ラウールが佐久間の手をそっと握ると、その手はまだ少し温かかった。
悔しそうに目黒が唇を噛む。
🖤守れなかった…隣にいたのに。
💛目黒は悪くないよ。佐久間も言ってた。なんとかみんなで生き残ろう。
💜…そうだな。
それから、全員で亡骸を部屋の隅に寝かせて、簡単に弔った。
横になった佐久間の顔を見て、宮舘はきつく自らの手を握り締めた。
その表情は苦しんでいるようにも、どこか安堵したようにも見えたのだった。
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