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机に届いていたフランスパンを噛り、取り留めのない話をしたりして緊張は少しずつ、少しずつ和らいでいった。
ただ、1人の男を除いては。
険しい表情をし続ける目黒に、向井が話しかけた。
🧡めめ?パン食べへんの?せっかくあるのに。
🖤ごめん。考えたいことがあるんだ。
🧡そうなんや。…俺、みんなとまだSnow Manやってたい。だから俺は死なへん。さっくんのためにも。
🖤そうだね。それがいいと思う。絶対生き残ろうな。
🧡うん!!
💚「二日目の夜がやってきました。全員、アイマスクとヘッドフォンを着用して眠りに就いてください。」
指令が終わり、装備を外す。
💚「朝になりました。美味しいパンがみなさんの机に届いています。昨夜の死亡者はいませんでした。」
🧡また…よかった。
🖤…
💚「それでは、会議を会議します。」
画面に映し出された数字が、目減りしていく。
昨夜のことが思い出されたのか、また部屋を緊張が包んだ。
そこで、目黒が挙手をした。
🖤あの、気になることがあるんだけど…
💜どうした?
🖤俺たち、眠らされてここに来たわけじゃん。みんなは多分催眠ガスみたいなもので眠らされてたんだと思うけど、佐久間くんと俺は違ったの。
目黒は俯いたまま、ゆっくりと話す。
💛と言うと?
🖤眠らされたんだ。ここにいる人に。
部屋が一気にざわつく。それぞれ顔を見合わせて、驚きを隠せずにいた。
🖤しかも、今日佐久間くんを占ってみたんだ。そしたら、”村人”だった。
💜じゃあ人狼は別に居るってこと…
🖤そう。それが…
目黒は、”その人”を真っ直ぐに指差した。
🖤舘さんだよね。俺たちを眠らせたのは。
❤️…
宮舘は動揺せず、目黒を見つめ返した。
💜舘さん、協力者だったのか?俺たちを裏切った…
❤️裏切ってはいないよ。阿部に手を貸したんだ。
それから、宮舘は一切臆せずに全てを白日の元へ晒した。
❤️俺は、阿部が最近おかしいことに気づいて、声をかけたんだ。
💙おかしいって、何が?
❤️何となく、思い詰めているような、絶望したような顔をしていたんだ。それで話を聞こうとして、しばらく様子を伺った。
そこで、宮舘は黙ってしまった。
🧡そっ、それで?
宮舘はスピーカーやカメラの方を気にしながら話を続けた。
❤️見たんだ。阿部が、スマホに一生懸命、この計画を打ち込んでいるところを。後ろにいた俺にも気づかず、取り憑かれたように。 それからすぐ、俺は気を失った。眠らされたんだろうね。でも目を開けたら、もう逃げられなかった。
❤️首にナイフを突きつけられて「協力したら、生かしてやる。逃げたり誰かに口外したら即刻殺す」ってね。思い返してみると、あの時からもう、あれは阿部じゃなかったんだ。それこそ狼みたいな。そんな狂暴な目をしてた。
深く息を吸って、宮舘は顔をしかめた。後悔しているような、酷く悲しそうな顔。
❤️でも、ごめんな。俺が協力なんかせずに1人で死んでたら、こんなことにはならなかった。佐久間が死んだのは俺のせいだ。処刑するなら、俺にして。
🖤舘さん…
阿部の細い腕だけでは、岩本やラウールといった大男を運ぶことは不可能に近い。
道具を使ったとはいえ協力者がいたのだ。
それが、宮舘だった。
しかし、彼も脅された末の苦渋の決断だったのだ。
彼にしては珍しく早口で独白するその姿は、嘘をついているようには誰も見えなかった。
💜もう、誰も悪くないじゃん…
❤️…そうだと良かったんだけどね。俺は共犯だよ。みんなを眠らせてまで、阿部に協力したんだ。
ずっと顔をしかめていた宮舘は、ふっと笑った。みんながよく知っている、優しい笑顔だった。
❤️みんな、こんな俺と居てくれてありがとう。俺のことは許さなくていい。俺たちの分まで、どうか生き延びて。
宮舘は、静かに微笑んだ。
ずっと胸中に秘めていた思いを、ようやく言えたのだ。
スッキリしたような、潔い笑みだった。
💚「制限時間が終了しました。投票のお時間です。端末から、処刑する人を選択してください。」
誰も佐久間の二の舞にはなりたくない。
が、ひとりは違った。
宮舘は自分に投票してくれ、と心の中で祈っていた。
もう誰も、自分のせいで死ぬことがありませんように、とも願いながら。
💚「全員分の答えが送信されました。最も多く票を集め、本日処刑される人は…宮舘さんです。」
後悔はない、と自分に言い聞かせ、宮舘は瞳を閉じた。
徐々に首輪が締まり、宮舘を猛烈な痛みが襲う。
❤️くっ!!うぅぁぁぁぁ…っ
🖤ごめん、舘さん、ごめんなさい…
🧡死なんといて、舘ぇっ!!
❤️あり、がとう…みんな…
宮舘は踠きながら、やがて疲れ果て、力尽きた。
💚「それでは、昼の時間です。席を立つことを許可します。夜になるまで暫しお待ちください。」
ずっと頭を抱え込んでいた向井は、狂ったように泣き叫んだ。
🧡うぁぁぁぁぁっ!なんでっ!なんでこないな2人も死なんとあかんねん!!
🤍康二くん、落ち着いて…
🧡落ち着けるか!仲間がいなくなったんやで!?そんなん、俺耐えられん。俺ももう…
涙をボロボロと溢す向井には、限界が近づいていた。
それまで黙っていた岩本は、向井に歩み寄り、腕の中へ引き寄せた。
💛それでも、俺たちは生きてるんだ。託されたんだよ、生きることを。だから諦めちゃダメだ。
🧡…っ…うぅぅぅ~照にぃ~(泣)
💛怖いよな。俺も怖い。みんな怖いんだよ。それでもみんな向き合ってる。
🖤康二、さっき約束したでしょ。生き残ろうなって。
🧡ゔん…
🖤ゆっくりでいいから考えてみて。佐久間くんも、舘さんも、自分のことよりもみんなが生き残ることを望んでた。だから、自分から生きることを辞めようとしないで。
🧡…せやな。生き残る、絶対。もう死ぬなんて言わへん。
💛よし。偉い偉い。
岩本が笑って向井の頭を撫でる。
🧡子供扱いせぇへんで!もう、赤ちゃんやないし。
💜さっきまでビービー泣いてた赤ちゃんみたいなもんじゃん。
🧡な!あれはちゃうし!ジリツシンケンの乱れやし!
💛あははっ、何それ。
🤍それを言うなら自律神経だよ。笑
その様子を、少し離れたところから見ていた渡辺は、倒れている宮舘を見下ろした。
動かなくなってしまった幼なじみの顔に、渡辺はそっと触れる。
ぐったりとした体を持ち上げて、佐久間の横へ寝かせた。
💙…ありがとな。
その独り言は壁に反射して虚空へ消えていった。
安らかに眠る宮舘と相反して、渡辺は怒ったような険しい表情で宮舘の顔を見つめている。
それからすぐに決心したかのように目付きを変え、皆のいる方へ歩いていった。