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そしてくるみは最後に三つの石を一つに繋ぐビーズを選び始めた
彼女の手が止まったのは、ラピスラズリのビーズだった
「これなんかどうかしら?」
店員がニッコリ笑う
「良い選択ですね、ラピスラズリの深い青色は、真実と愛情の象徴であり、さらに知恵を授けるとも言われています。あなたの深い愛情がこの三つの石のパワーを繋ぎ止め、彼の人生の道標となることでしょう」
店員は、くるみの選ぶ様子を優しく見守りながら、石の持つ力やその伝説を、優雅なトーンで語ってくれた
「素敵です!どれぐらいで出来ますか?」
「およそ1時間ほどですね、ケースをお選びください」
店内は、まるでハワイの自然をそのまま閉じ込めたような空間で、壁にはマウナケアの写真や、カウアイ島のナ・パリ・コーストの絵が掛かっている
洋平はゆったりと壁にもたれながら、腕を組み、自分の事を思って石を選ぶくるみの真剣な表情に心を打たれていた
胸が熱くなる
くるみが一つ一つ丁寧に選ぶ様子を見ながら、そのストーンブレスレットは、洋平にとって、くるみの愛情の証そのものであり、何よりも大切にしようと思った
「これで、洋平君の聡明さと金運、そして冒険心がさらに輝くね」
「毎日つけるよ・・・」
とくるみが嬉しそうに言うと、なぜか洋平はその言葉に感動し、彼女の頬にそっとキスをした
「わっ!洋平君!店員さんが見てるよ・・・」
「いいじゃん、あ~~可愛いい、あ~ヤバイ・・・」
真っ赤になるくるみをぎゅ~~~っと抱きしめる
店員もニコニコ仲が良い二人を見守った
このパワーストーンショップでの時間は、洋平にとってくるみの自分への愛を再確認する、大切な思い出になった
ボソ・・・・「新婚旅行にハワイを選んでくれたお母さんに感謝だな・・・」
「?・・・何か言った?」
「ううん(はぁと)」
洋平はくるみが選んだブレスレットを一生身につけることを決め、この石達と一緒に、男として彼女と家族を守り、未来への冒険を始めることを誓った
パワーストーンショップで、洋平の買い物を済ませた二人は、今はアラモアナセンターのフードコートにいた、ハワイらしくこのフードコートは日本と違って異国情緒にたっぷりだった
広大なスペースに広がるテーブルと椅子は、どれも異なるデザインで、まるで世界各国からの旅人が集うような雰囲気を醸し出していた
洋平とくるみのテーブルの周りに座る人は、日焼けした観光客や地元の人々、そして多彩な言語が聞こえてくる
少し待つと、二人が注文した、ハワイアンパンケーキをウェイトレスが二つ運んできた。大きな木のプレートでくるみの目の前に置かれたパンケーキは、まるで絵画のように美しかった
「うわぁ~~~♪美味しそう(はぁと)」
思わずくるみが感激の声を上げる
ふわふわとしたパンケーキの層が四つ、付け合わせはサイコロ状にカットされたマンゴーが山盛りで、甘い香りが漂い、その上にはココナッツクリームが優しく溶け込んでいた
マンゴーの黄色とココナッツの白が鮮やかに彩り、まるでハワイそのものを皿に載せたかのようだった
さらに、洋平の注文したパンケーキはシンプルながらも、黄金色のバターミルクパンケーキが高く積み上げられ、その上には純粋なメープルシロップがかかっていた
シンプルながらも、丁寧に焼かれた分厚いパンケーキは、食欲をそそる香りとともに、奥深い味わいを約束しているようだった
「やっぱりシンプル・イズ・ベストが最高だな、いただきまぁ~す」
「いただきまぁ~す」
「おっと!その前に動画♪動画♪」
くるみは、自分のゴープロで撮影した
クスクス「やめて!くるちゃんも早く食べなよ」
「ほら!食レポして!」
クルミが大口を開けてパンケーキを食べる洋平を撮影する、その姿に笑いながら洋平が突然、フォークをマイクに見立てて、くるみのゴープロに向かってレポーター口調で話し始めた
「皆さん、こんにちは!ここは甘味の極楽浄土、アラモアナセンターからお送りします!私、甘味エキスパート・佐々木洋平がお届けするパンケーキドキュメント!!さあ、ゲストは我が愛するくるみさんこのトロピカル・パラダイス・パンケーキについて、一言どうぞ!」
くるみが笑いながら言う
「ええと、まず見た目からして、まるでハワイがお皿の上に乗ってるみたい!マンゴーの黄色とココナッツの白が、南国のリゾート気分を完全に再現しています!」
「視聴者の皆さん、見てください!これが、南国パンケーキです!」
洋平がナイフでカットして一口パクリと食べた
「うん!甘い!これはもう味覚がフラダンスしてる!マンゴーが僕の舌を一瞬でハワイに連れて行った!」
キャハハハッ「何その表現っっ!」
「次は、私のプライドをかけたクラシック・メープルシロップ・パンケーキ!見てください、この完璧な分厚さ!これぞ、パンケーキの原点」
クスクス「どこにプライドかけてるの!」
洋平がナイフでカットしながら、忙しくレポートして大袈裟に大口を開けて一口パクリと食べる
「うん!甘い!以上!」
「え~・・もう終わりぃ~~?」
大爆笑しながらくるみも洋平とパンケーキを食べた
洋平がくるみの唇を舐めとった
「こっちも甘い・・・」
彼が目を閉じて唇を舐める姿を見たくるみは、思わずぼーっとその唇を見つめ続けた
あの唇を味わえたらと・・・洋平の唇を見つめながら思った、どこか血が騒ぐような、落ち着かない感覚はどんどん強くなっていく
「どうしたの?・・・くるちゃん?」
二人はじっと見つめ合った、じっと熱く洋平がくるみを見つめる
洋平の瞳に浮かんだ表情を見て、くるみの頭の中を悩ましいイメージが次々と蘇った
「ちょっと・・・疲れたかなって・・・」
彼の広い肩幅・・・・胸元が広く、深く切れ込んだアロハシャツからは彼の逞しい胸板と鎖骨が協調されている
ハーフパンツから覗く硬そうなふくらはぎまで、無意識のうちに目で辿ってしまう、思わず口の中がカラカラになる
まだ昼間だし、他のお買い物も残っているのに、洋平君のことをこんな風に考えてしまうなんて・・・
でも今すぐ洋平君と二人っきりになりたい・・・
もじもじしているくるみの気持ちを察したのか、洋平のくるみを見つめる目つきが変わった
今彼は獲物を狙うライオンのような目つきで、くるみの唇をじっと見つめている
くるみはクリームを一さじすくってゴクンッと飲み込んだ
「こ・・・このクリーム・・・本当に甘いね・・・」
「君も負けてないと思うけど?」
彼が熱っぽい眼差しでくるみを見つめ、クロックスを脱ぎ、テーブルの下でそっと脚を伸ばしくるみのふくらはぎをつま先でそっと撫でた・・・
くるみは飛び上がりそうになるほど驚いた
ドキドキ・・・・・どうしよう・・・今すぐ洋平君と二人っきりになりたい・・・
「す・・・すこし・・・疲れちゃった・・・」
「そう?大丈夫?」
「ホ・・・ホテルに帰って休憩する?観光は・・・・また・・・夜でもいいかな~って・・・」
ドキドキしてくるみが洋平に言った
「今ホテルに帰ったらくるちゃんは足腰立たなくなって、夜の観光どころじゃなくなるかもよ?」
ええっ!よっ・・・洋平君ったら・・・
途端にくるみの心臓が早鐘のようにドキドキし出した
この旅の一番の目的の、彼と素敵な夜を過ごす事は、第一日目は自分の飲み過ぎ失態でおじゃんになった
でも新婚の二人のハッピーハネムーン(はぁと)は昼間でも全然構わないよね・・・・
かぁ~・・・「ぜ・・ぜひ・・・足腰・・・立たなく・・・してください・・・」
くるみは聞こえるか聞こえないほどの小声で真っ赤になって言った
カッと洋平の瞳に炎が立ち昇った気がした
ガタンッ「行こう!バスが間に合うよ」
洋平が勢いよく立ち上がり、ぐいっとくるみの手首をひっぱった
「よっ・・・洋平君・・・まだ食べ・・・」
「そんなの後でいい!」
くすくす・・・ああ・・・この人が大好き・・・
くるみは午後も素敵なハッピーハネムーンを体験できるだろうと思った
その時
「くるみちゃん!洋平さん!すっごいぐぅ~ぜぇ~ん♪」
後ろの方からどこからともなく由紀の声がした、嫌な予感がして二人はくるりと振り向いた
「ほんと!奇遇ですね~~~♪お二人もここで買い物を?」
キャハハ「なぁに~洋平さんその冠!でも似合っている~」
なぜか鮫のはく製を片手に持った慎吾と隣に由紀がいた
まっかなビスチェ姿に、カットオフの超短いホットパンツから尻のほっぺがはみ出ている
ま・・・また・・あんな露出が多い格好で・・・お尻見えてるじゃない・・・
くるみは少し腹が立った、どういうわけか彼女の体つきを強調するファッションを見ると、激しい劣等感に苛まれる
由紀はいつも明るく、気さくで陽気な性格だけど、彼女の洋平を見る目つきも気になるし、正直少し苦手な部分もあった
「よかったら、一緒に買い物しませんか?あっちにマカデミア・ナッツ専門店が新しくオープンしたそうですよ!」
「マカデミア・ナッツ・・・・」
くるみは母がマカデミア・ナッツが大好きで、親戚にお配りするお土産用に、大量に買ってきて欲しいと、お願いされていたのを思い出した
「ねぇ~~!行きましょうよぉ~~、慎吾君が日本からクーポン券を発券してくれてるのくるみさんも50%割引で買えるわよぉ~洋平さんもぜひぜひ!」
由紀が即座に提案したその言葉に、くるみもどうしようかと洋平の表情を伺った
「洋平君・・・・」
「僕はくるちゃんに合わせるよ」
優しく微笑む彼にキュンキュンする・・・だけどマカデミア・ナッツもちょっと見てみたい
「じ・・じゃあ・・・ちょっとだけ一緒に・・・」
「やった~行きましょ!行きましょ!」
くるみは由紀に強引に手を引かれ、そっと振り向いて洋平の様子をみると
彼も慎吾にすっかり懐かれてくるみと目を合わせながら肩をすくめ、力なく「しょーがないよね」と微笑んだ
その後、四人はアラモアナの中のABCストア新装オープンに立ち寄った。ワイワイと賑わう店内を見渡してみると、物凄い量の商品で、ハワイの定番お土産はここで全て揃う勢いだ
マカダミアナッツのチョコレートも種類がとても多く、選ぶのに迷ってしまう。コナコーヒーやパイナップルジャム・・・ハワイ名産の岩塩などが棚に並んでいた
「ハイ!くるみちゃん!今マカデミア・ナッツ10箱購入すると、残りの10箱無料になるチケットあげる」
由紀が笑顔でくるみにチケットを渡す
「私が10箱買うから、くるみちゃんは無料になるね!なんでも10箱好きな種類を選んで!」
くるみは驚いた
「ええ~~!それはいけないわ!由紀さん、せめて折半させて!」
「い~の!い~の!親から買ってきてってお金貰ってるの!うちはそんなに沢山いらないから!くるみちゃんのお母さんマカデミア・ナッツ好きだって言ってたでしょ!」
そう言って由紀は胸にマカデミア・ナッツの箱を10箱抱えて、レジに行ってしまった
由紀さんて・・・・悪い人ではないのよね・・・(※お尻出てるけど)
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