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金属の軋む音とともに、狭い保管庫みたいな箱がカタンと閉まった。暗闇。ほんの少しの空気。
そして、目の前には侑の息が触れるほどの距離。
「……最悪やな。よりによって、こんな狭いとこ閉じ込められるとか」
侑は文句を言いながらも、腕はしっかり🌸を抱き寄せている。
逃がさないみたいに、背中に回した手に力がこもって。
「さ、侑……ちょっと、近すぎ……」
「近いも何も、動かれたら俺が動く場所ないんやけど?」
わざと低めで、耳に触れるような声。
それがわかっていて言ってる、完全に意地悪なやつだ。
🌸が不安で息を小さく吸うと、侑がすぐ気づいた。
暗闇の中で、彼の指が頬をなぞる。
「怖いん?」
「……少しだけ」
「ふぅん。俺の胸ん中おるのに?」
からかうように言いながら、腕はさらに強く締まる。
拒否できないほど近い、いや、拒否させる気ゼロの抱き方。
「逃げられへん場所やと、ええな……」
侑が囁くたび、胸の奥がぎゅっとなる。
その声は、不安を紛らわせる優しさと、独占欲でねじれた甘さが混じっていた。
「離したらへんよ。暗かろうが狭かろうが関係ない。
……🌸は俺だけ見とったらええ」
「侑……」
返事をしようとした瞬間、侑がふっと笑う。
その笑みは、普段の挑戦的なものよりずっと意地悪で、余裕があって、独占欲むき出しのやつ。
「そんな顔すんなや。
限界なん俺だけみたいやん」
「な、なにが……」
「惚けんな。今、めちゃくちゃ可愛い顔してるって言うてんねん」
頬に触れていた指が顎を持ち上げる。
逃げられない距離。暗闇の中でも侑の瞳の熱だけは鮮明に感じる。
「キスしてええ?」
言葉とは裏腹に、答えを待つ気なんてない。
唇が触れる瞬間、侑が低く囁く。
「……覚悟しときや。
ここ、狭いし、止められる奴おらん。
俺、ずっと我慢してたんやから」
距離ゼロのまま、息ごと奪うような深いキス。
私を触る侑の手がどんどん熱くなって、箱の中の空気が甘くなる。
不安なんてもうどこにもなくて、ただ侑の支配的な優しさと独占欲だけが胸をいっぱいにしていく。
暗闇の中で、彼の腕はさらに強く、決して離さない温度で抱きしめていた。