客人は皆、口を揃えて「接客も商品も良い質」と言う。
店内の確認、お客様に商品を勧める、それが私の勤めでもあります。 お客様と雑談をし、商品の脱走を見張れば、店員の指導を行います。
そんな私を嫌う者だって数少なくはありません、仕方なのないことなのでしょう、私だってかつて、いえ、この話は辞めておきましょう。
あぁお客様があの時言っていた事を忘れません。確か、
「お前さん運が良かったなぁ、ここに働いてなきゃとっくに売られとる、その奇妙な髪に尻尾まで」
と、
えぇそうかもしれません、ここでは店の関係者を拉致し商売にかけることは禁止されております、そして何より商品の転売も同様です。
以前【ル・ペピエマン】の商品が売られているという事件が起こり、店主はその事を解決すべくありったけの金を使ってはその商人共をこちらの店の商品として入荷致しました。
しかし、1人が脱走してしまった為か私が責任を負う羽目になりました。
脱走した商品は回収し、奴隷売買から臓器売買への出荷を変え、新鮮な状態を保つ為にその商品の足を切り落としました。
少し前に入荷された184番の商品は3日後にプレミアムとして売られるようです、私はどうすればいいのでしょう。 どうしてか、あの子を奴隷売買にかけるのは気が引けてしまうのです。かと言って臓器売買として売るのも尚更、
ですが店主の判断には逆らえないものなのです。
その商品を私の手で買ってしまうと言う手もありなのですが、私にはあの子を買えるようなお金は持っておりません。
いやはやこれは困りました、何せプレミアムなので買い手はロクな奴が居ないのでしょう。
私は決して恋をしているのではありません、商品として心配しているのです。えぇ、あの子が、 生きてくれさえいればそれでいいのです。
なぜ私がここに居るのかも、働いているのかも分かりません、まだ居なくてはならないのでしょう。
長話…は良くありませんからね。
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