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推しには近づくな!

21 - 宵田くんの秘密

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2022年10月13日

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「俺たちー…3年前に会ってるんだけど。」

「え?」

episode21

突然、校舎裏に呼び出されたかと思うと、そのようなことを口にした。

でも、納得してしまった。

これまでも、会ったことがあるのではないか。親しかったのではないかと思うことが度々あったから。

でも、本当にそうだとは…

「…3年前って…俺、記憶が…」

「飛んでて当たり前だよ。俺も覚えてないから。…」

「…俺たち、3年前で話したことあるっけ?」

すると、宵田くんは俯いた。

「…絵美ちゃん。」

「え?」

「絵美ちゃん、君の名前。…俺の、初恋の人。」


3年前なんて覚えていない。それが普通だと思っていたんだ。でも、今名前を呼ばれたとき、何となくわかった気がした。

「初恋って…俺、男だし。それにー…」

「別に今なんて言ってない。細田さんが、女として生活していた頃の話。」

…女として生活…?何言ってんだ?俺はずっと男として人生をー…

あれ?そうだっけ…?

『女として生きれば、何でも手に入る。』

誰か知らない声が、記憶に表れる。その声はもちろんじーちゃんじゃない。

「…思い出してほしいんじゃない。」

「…?」

「ただ、あのときのように、俺の隣で笑ってほしいだけ。…そのためには、話しておこうと思った。ただ、それだけ。」

「…全然、わからない。お前と俺がどういう関係だったんだ?どっちにしても、今は赤の他人だし、クラスメイトとして、これからもよろしく。」

これ以上、聞きたくなかった。

俺は早く話しを終わらせるべく、宵田くんに手を差し出した。

そうだよ。これで疑問はすべて、解決。これから宵田くんとは、友達であればいいだけ。

普通のクラスメイトとして。

「また、逃げるの?」

「え?」

「…俺がどれだけ好きだったか、わからないんだろ?あのとき、どれだけ嬉しかったか!!……違う、そんなことが言いたかったんじゃない。あー…何でだ、何で出てこないんだ…。」

宵田くん…苦しそうだ…。

「じゃあ、また始めよう。」

「は?」

俺も、どうしてこんな言葉が出てきたのかはわからない。でも、これ以上、宵田くんの苦しむ姿は見たくないと思った。

「友達として、たくさん、笑おう。だから、友達として、よろしく!晴海!」

「…」

宵田くんはただ俯くだけだった。

多分、こういう形が宵田くんの望んでいる形じゃないことは分かっている。

宵田くんはそのまま、走って行ってしまった。


「笑!ちょっと来て!!」

皆が帰った放課後、ランドセルを用意し、いざ帰ろうとしていると、尚が焦った様子で俺の元に来た。

「どうしたの?」

「お兄さんが…!!」

類さんが…?


尚に手を引かれ、学校から出ると、何やら校門前が騒がしかった。

先生が必死に止めている。

「え、めっちゃ人いるけど、どうしたの?」

「それがー…」

「あ、笑〜!迎えに来たよ〜!!(^^♪」

その人混みの中から、類さんの声がする。

周りに集まっている女子の視線が怖い…!!

とりあえず類さんを助けないと…。

「笑、気をつけて!」

人混みをかき分けながら行く俺の腕を尚は掴んだ。

「尚こそ、危ないから待ってて」

「僕より笑の方が大事!」

「…」

あんまりにも真剣に言うもんだから反応に困る…。

俺は尚の手を握った。

「離れないで。」

「!…うん…。///」

しかし、類さんにたどり着ける自身がない…っていうか、人多すぎだろ!近所の人まで来てんじゃねーか!

きっと噂で広まったんだろう…。顔立ちのいい男が来てるってな!

ー「写真ぐらいいいよね?」

ー「やば、モデルさん?」

ー「ちょータイプ…!」

…何なんだ?このモヤモヤ…。嫌な感じがする…。写真は普通に犯罪だろ。

「わ!?」

「尚!?大丈夫?」

転けそうになった尚を受け止める。

「へ、平気…///」

「絶対、離れないで!」

類さんも心配だけど、尚も心配…。


すると、誰かに肩を叩かれた。

「え?」

振り返るとそこにはー…

「宵田くん?」

「こっち。」

宵田くんに手を引かれ、人混みの中を進む。まるで、類さんへの道が分かっているかのように…。

尚も俺の手を離すことなく、不思議そうにしていた。

たどり着くと、そこには困ったように笑う類さんの姿があった。

「類さん!」

すると、類さんはその声に気づき、嬉しそうに驚いた。

「ショウにゃん!」

あ!今…!!

類さんは俺を思いっきり抱き上げる。

「ちょ…!類さん!恥ずかしい!!」

「良かった~…会いたかった〜…!」

「っ…!!///」

すると、周りの人達はぞろぞろと帰っていった。

「…さっきまであんなに騒いでたのに…」

「ああ、それは僕が、笑が来るまではいいけど、笑が来たらすぐに帰ってって言ったからね」

「そうなんだ…」

そういえば、宵田くんと尚の姿が見当たらない…。

明日、改めてお礼を言おう…。


❁❁❁❁❁❁

「宵田くん…それって…」

「本当だよ。」

「でも、何で僕に言うの…?」


「アイツに近づくため。」

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