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ランスが俺の事を好き。と頬を染めた夜が随分と遠くに思える。

あいつに付けられた傷跡は綺麗に治ってしまった。体の表面だけなら。

普段から喧嘩は多かった。その度に罵倒された。しかし心からの拒絶をされたのは初めてだ。あんなに顔を歪め、目に殺意がこもっているランスを見たのは三男との戦いの時以来だ。それが自分に向けられるとは思っても見なかったが。

コンコン、と控えめなノックが響く。

「ドットくん…今少し大丈夫…?」

「大丈夫、」

お邪魔します、と言って入ってきたのはフィンだ。

久々に紅茶を淹れ軽く世間話をする。しばらく話した後にフィンが本題を切り出してきた。

「ランスくんがドットくんを思い出せそうなんだ。」

「…っえ?」

ガチャンッ、テーブルに思い切り足をぶつけティーカップ達が揺れる。

思い出せそう…?

やっと、やっとか、

「そぅか…」

嬉しい、とか良かった、とかそんな明るい気持ちでは無い。かと言ってマイナスな感情でもない。

そんな気持ちがぽろぽろと液体になってこぼれ落ちる。

「ごめ、気持ちわりぃよな、大の男が…」

「大丈夫だよ、大丈夫、」

馬鹿にするわけでもなく軽蔑するわけでもなく優しく見守ってくれる。俺はいい友達を持ったな。

ひとしきり泣いた後、

「ランスの様子を見に行く。」

「うん、僕も行くよ。」


久々に部屋の外に出た。

ランスが使っている空き部屋へ足を向けるのは本当に久しぶりだ。

前は近づくにつれ震えていた足だが、今はしっかりと地を踏みしめている。大丈夫。あいつは俺が好きなんだ。あの拒絶は本心じゃないんだ。横にフィンがいることもあり、だいぶ穏やかな思考を保てている。

「中にマッシュくんもいるから大丈夫だよ。」

部屋の前に着き扉に手をかける。

「ランス、入るぞ。」

ガチャリ、視界に広がったのは記憶の中にいるランスよりも痩せこけ人間味を失った空色と、心做しか少し張り詰めたマッシュが単調な部屋の真ん中にいる様子だ。

「フィンくん、ドットくん大丈夫なの…?」

「うん、大丈夫だと思うよ。」

フィンとマッシュが話している横を通り抜けランスに向き合う。

「おい、スカシピアス…って、今はピアス付けてねぇしスカしてもねぇな。おい、ランス。」

近づいても睨むだけで罵倒や暴力には走らない様子のランスに少し安心した。

「おい、聞いてんのかランス?」

「…俺とお前はどんな関係なんだ…?」

久々に聞いた声はかすれていて胸が痛い。関係を問われたということは記憶は戻ってないのか。

「俺は、お前のダチだよ。」

そうとだけ伝えると急にランスが頭を抱え悶え始めた。

「ぐ、あっ…カヒュ、あああぁぁっ…」

「ランスっ!?」

慌てて背中をさすってやると更にうめきだす。

「ごほっ、げっ、ぐっ、はっ…」

どうしたんだよ急に、こんな苦しそうに、




「…ドットっ?」


記憶を失ったランス・クラウンと自覚していくドット・バレットのお話

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