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午後、ちょっと遅めのお昼を食べ終わったころ。ママがふと思い出したようにテレビのリモコンを手に取る。
「ねぇ、久しぶりにパパのビデオ、見る?」
「ビデオー!?ぱぱのー!?みるー!」
ソファの上で飛び跳ねて、ピョンっとママの隣に座った。
リモコンを操作して、YouTubeで検索。
画面に映ったのは、ONE N’ ONLYのちょっとクールな新曲MV。
「これ、前に出たやつだよ。パパ、めっちゃかっこいいんだから〜」
「パパ、かっこいいのー?」
再生が始まり、映像の中の颯斗がビシッとキメて登場。
鋭い目線でカメラを睨みつけるようなカットに――
「……!!?こわい!!パパこわい!!!!」
「えっ!?笑」
△△、即座にママの腕にしがみついて顔を隠す。
でも気になってチラチラ見ちゃう。
颯斗のキメ顔やダンスシーンのたびに「こわい……でも……パパ……?」と小声でつぶやいてる姿がたまらなく可愛い。
ママは笑いながら、我が子の背中をトントン。
「これはね、パパのお仕事モードだから。おうちではニコニコでしょ?」
「……うん。パパ、おうちだとわらってる」
「そう。だからこのパパは、がんばってるパパ」
画面の中では颯斗がラストのサビで見事なキレキレダンスを披露。
△△はちょっとだけ身を乗り出して見て、それからぽつり。
「パパ……がんばってる。……でもこわい……」
「もう、どっちなのよ〜笑」
ママはクスクス笑いながら、MVが終わったタイミングでスマホを手に取る。
LINEを開いて、ふたりのやり取りが並ぶトーク画面にメッセージを送る。
LINE
《MV見たら△△、“パパこわい”ってビビってたよ🤣》
《でも”がんばってる”って褒めてた💮》
少しして返信が届く。
《え、ショック😂 こわくないよ〜って伝えといて!笑》
《帰ったらぎゅーして慰めるからっ🫠》
ママはそのメッセージを見て、ちょっとにやけた顔になる。
「パパ、ぎゅーしてくれるってさ」
「え、ほんと!?……でも、これのパパじゃないよね?」
「うん、おうちのパパだよ」
△△は安心したように笑って、テレビの前でぺたんと座りなおす。
「じゃあ……もういっかい、みてみる……パパのビデオ」
「リベンジ?強くなったねぇ〜笑」
こんなふうに、今日も高尾家は平和です。