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夜、仕事を終えた颯斗が玄関のドアを開けると、リビングからぴょこっと顔を出した△△が走ってくる。
「パパー!ビデオこわかったー!」
開口一番それ!?と、思わず笑いながらも颯斗はしゃがんで△△を受け止める。
「ちょ、え!?こわかったの!?俺!?うそでしょ!?」
「うん!パパ、めがこわいの!こうしてた!」
と言いながら、△△はMVの中のキメ顔をちょっと誇張して再現。
目をぐっと見開いて、眉を寄せて、まるで鬼でも見るかのような顔。
「うわ、それ俺!?マジで!?ちょっと待って、心外すぎるぅ〜〜〜!」
玄関先で膝から崩れ落ちる颯斗。
ママはリビングのソファからそれを見てクスクス笑っている。
「だってMV見せたら、ガチでビビってたんだもん。『パパこわい』って抱きついてきたんだよ〜」
「えー、なんかそれはそれでちょっと嬉しいけど……!いやでも俺、こわがられるのは違うな!?あれは演出!お仕事モードの顔だよ〜!!」
颯斗は子供を抱っこしながら、ひとつひとつ丁寧に説明を始める。
「まずね、MVっていうのは、パパが“かっこいい”をがんばって見せる場所なの。こわいんじゃなくて、かっこつけてるの」
「ふーん……でも、こわい」
「即答!!笑 じゃあ、パパは今こわい?」
「ううん!いまはにこにこだから、こわくない!」
「そうそう、それ〜〜!それが本物のパパです〜〜〜〜!!」
めっちゃデレデレに頭をなでながら、ふたりでぎゅーっ。
ママはその光景を見ながら、スマホでパシャっと1枚。
颯斗のトークに後で載せる気満々。
「じゃあさ、今度のMVは△△が笑ってくれるような、やさしい顔のやつにする?」
「うん!ぱぱはにこにこして!」
「了解いたしました、監督!!次からオーダー通りで!!」
そのままリビングに移動して、颯斗は着替えもせずに△△とクッションでごろごろ。
ママはキッチンでその様子を見ながら、幸せそうに小さくため息。
“こわがられてちょっと凹んでたくせに、
最後にはいっちばん甘やかしてるの、やっぱパパだなぁ”
そんなふうに思いながら、次のごはんの準備を始めるママ。
今日も高尾家、甘々で平和な夜です。