コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
トントン、ドアを叩く音がする。
次の瞬間、聞き覚えのある声がして、目を開ける。
「透君?起きてちょうだい、アイス枕を変えるから」
「んっ…」
情けのない声を出し、腰を起こす。
「先生、八葉峰君、大丈夫そうですか?」
この子は誰なんだろうという考えが頭によぎり、そして、何故頭を打っているのか覚えていない自分自身にも混乱した。
「透くん感謝した方がいいわよ。体育館近くで倒れてたあなたを、このふたりが連れてきてくれたんだから。」
保健の鈴谷先生がそういい、また倒れていたのかとハッとした。
持病があるからって人には迷惑をかけないと決意していたのに、人に迷惑をかけてしまった。
『 大丈夫?』
3人の声が重なり、頭痛がした。
「大丈夫そうなら、教室に戻って授業を受けること!いいわね?」
その勢いのいい、先生の声により、僕は目を擦りながら起き上がった。
「はい、そこの2人もありがとう」
「クラスメイトなのだから普通じゃない?」
「うん、ありがとう」
水色のピアスを片方の耳につけた。二人いたうちの一人が返事をする。その子に合わせるように少し遅れて、赤いピアスの子が、
「ごめんなさい」
「?何が?」
僕には訳が分からなかった。何故、その子が謝るのか意味がわからなかったからだ。
「ううん、気にしないで」
「…、アイもう行きましょう。授業が始まってしまう」
水色のピアスの子が、赤いピアスの子の肩に手を置き、そういう
「そうだね、レイ」
『 さよなら』
2人が息ぴったりで、さよならというと、静かに保健室を出ていった。
僕は不思議だなぁと思いながら、保健の先生には、今は三時間目なので昼休みまで休ませて欲しいとの事を伝え、先生に承諾してもらうと、僕はベッドで横になった。